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魔女と白銀のドラゴン

はじめに

 こんにちは、だうです。

 この記事のショートストーリーは、Podcast番組『騒ぎますけど、なにか?』の配信内で妄想し、発表したものを、加筆修正した文章版になります。
 Twitterで流行していたハッシュタグ、「魔女集会で会いましょう」の形式に沿ってドラフトを行い、魔女が拾ってきた子を決定しました。
それを基に、メンバー4人それぞれがストーリーを制作したものを発表しています。


 魔女が拾ってきた子を決定するドラフトはこのような内容でした。

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 『騒ぎますけど、なにか?』の配信では、メンバーの朔夜・柴汪汪・みか・だう、の4人で希望を取り合っている様子が確認できます。


そして私だうは以下のような結果に。

 ・種族→幻獣
 ・性別→男の娘
 ・身長(?)→子供
 ・体格→普通
 ・顔→かわいい
 ・髪型→ショート
 ・特徴→ほくろ
 ・一人称→私、あたし
 ・魔女の呼び方→お姉さん、お姉ちゃん
 ・属性→風
 ・性格→無気力
 ・趣味→読書、映像作品鑑賞


 この設定から、ショートストーリーを創作しました。よろしくお願いします。


魔女と白銀のドラゴン

出会い

 湖では、葦毛とも白毛とも言えない、強いていうなら銀のたてがみーーーを生やしたドラゴンが、水を飲んでいた。
周りを囲む木々を通して日が差し込まれ、ドラゴンが水を飲むポイントを指している。そして水から反射された光は、ドラゴンの白い鱗を輝かせていた。
 一目見た時、この風景は精巧に描かれた絵だと思った。しかし私は文字通り谷間を塗って、抜けた先にそれをみたのだ。巨大な絵画などない。


 ドラゴンは私が近付いても、水を飲むのを止めなかった。気付いていない、というよりかは気にしていないようであった。相当喉が渇いているのか、口を冷やしているのか。
 どちらにせよ、私はドラゴンに魅了されていた。ドラゴンの中でも珍しい見た目をしているが、人間になるとより一層美しさが増すのではないか---。

「この子は…攻めにも受けにもなれるかもしれない」私は思ったことをそのまま口に出していた。


 近付いてくる人間をどうでもよさそうに、湖の側でくつろぐドラゴンは、微笑んだ(にやけた)全身黒ずくめの女を紫の瞳に写していた。

 幸運にも、私は魔女である。
その気になれば人間をカエルに出来てしまう。つまり逆もしかり。
 私はスケッチブックを取り出し、簡単にだが眼に写る風景を描いた。描いてみるとわかるが、意外とこのドラゴンは小さい。様々なドラゴンの平均を取っても、まだ子供だということがわかる。
 そしてドラゴンだけ着色をした。透き通る鱗を表現するには白だけでは足りない。本来であれば水色やピンクを部分的に取り入れればいいのだが、今回は特殊な着色料をひとつだけ使う。
「私は二次元の魔女、ドロテーア。あなたはもっと外の世界を知った方がいい」
 今度ははっきりと、ドラゴンに向かって言った。
 私はドラゴンから目を離さず、胸ポケット入れた試験管を取り出し、そこに入った粉を絵にかける。そして描いた絵をスケッチブックから外し、湖の浅瀬に浸けた。

 水に濡れた絵は瞬く間に発光する。
目を開けるようになった頃にはドラゴンはもとの位置にいない。
視線を絵を浸けた湖の方向に向ける。そこには銀髪で紫の瞳をした少年が、裸で湖に座っていた。
「ごめん、水も滴るなんとやらを見たくて」
「はぁ」
 しばらく声を出していなかったのか、ややかすれ声だった。少年は声変わりをしていなく、喉が渇いていたらしい。


拾った

 なんだかんだあって、私は少年の姿をしたドラゴンを匿うことにした。
名を教えたくないのか、そもそも名前という概念がないのか、私はこの少年の事を「シャルトルージュ」と呼んでいる。
 当然、ドラゴンは人間の歩き方をはじめから出来るわけもなく、まずは立つ動作を教えたが、赤子よりも知性はあったため、早々に歩けるようにまでなっていた。
 さらに、シャルトルージュは言葉は交わせるものの、人間のことはそれほど理解していなかった。一緒に過ごすことになった私を何と呼べばいいのかだったり、男女の違いーーー男の子は自分の事をどう呼ぶのかまでは知らなかったようである。
 かわいそうに、と思った。残念ながら二次元の魔女である私は、様々な作品を読み、様々な性癖を抱え込んでいる。シャルトルージュは不幸にも、私の好きなように仕立て上げられるのだ。

 まずは自分自身の事を「私」と呼ばせた。魔女である私のことは「お姉様」。
 そして人間の姿を得たシャルトルージュは、とても可愛らしい見た目をしていた。仕草は素っ気ないが、ショートボブといえる長さの銀髪に、紫の瞳を垂れさせ、口元にはほくろ(ドラゴンの姿の時も、衣に隠れているがあるらしい)まであるのだ。

 一目ではどこの国の者かわからないような少年は、異国の民族衣裳と合わせるのが一番いいと思った。私は文献を頼りに、知人に頼み込んで「着物」を縫ってもらった。
 我ながらよくスタイリング出来たと思う。瞳や髪の色調と合わせ、ピンクから紫へグラデーションがかかるようにし、花レース模様を施してもらっている。
「こんな格好がいいんですか。お姉様も物好きですねぇ」
 少年はそんなことを言うが、私はかなり気に入っている。ほぼ理想通りの格好だからこそ、面倒くさがりの私でも、着付けから手入れまで学んだのだ。


現在

「お姉様、お茶を飲みませんか」
 淡い紫色の着物を着た少年は、二時間近くその場から動かない私に、休憩を促してきた。
「あと少しで、この二人は付き合い始める。その決定的瞬間を見逃すなんて、心の無い人間にしかできない」
「はぁ」
 水晶から壁に向かって投影された映像では、若い男女が公園のベンチに座っていた。
死角から撮っているが、遊ぶ児童は写らず、遠くから笑い声が聞こえるのみである。
 そんな映像を尻目に、少年は私の隣に座り、脚を組んだ。
「人間のオスは暗かったり、地味な色ばかり身に纏うんですね。鳥類はメスの気を引くために、オスの方が派手な色使いしますけど」
「人間は白と黒だと、黒の方が格好いいと思うものよ。それを他の色でも分別して、格好いいと思う色を纏いたがるの」
「それだとまるで、ドラゴンの姿の私は、格好いいの逆で可愛い、ということになりませんか?」
 女性の格好をした少年の疑問に、ハッとした。
シャルトルージュは、「自分は可愛い見た目をしている」というのに気付き始めている。
深く考えずに会話をして後悔する。私は画面から目を離さず、淡色に包まれた少年の気配を探った。

 シャルトルージュは、どうでもよさそうに自分が淹れたお茶を飲み、小説を読みはじめていた。最近は児童文学から卒業して、若者に人気だった古典的な推理小説を読んでいる。
「このお茶、紅茶の魔女さんからもらった茶葉なんですけど、やっぱり美味しいですよ。お姉様も飲んでください」
「頂くわ。今度会う予定があるから、その時にお礼しないとね」
 私は差し出されたカップをもらってすぐに飲み干す。この子に物事を探るような気力がなくて、本当に良かった。

画面の男女は互いの手を愛しそうに触っていた。



おわり

 読んでくださり、ありがとうございました。人生初の執筆でした。読みづらくて申し訳ありませんでした。
 実はこの妄想をPodcastの収録で発表した後、noteでも投稿しようと提案したのは私でした。他のメンバー三人の発表が、「是非小説としても読ませてくれ」と思うほどにクオリティの高いものだったからなのですが、とうの私は語彙・文章を構成する能力が乏しく、Podcastではプロットのみの体当たり状態でした。
 今回なんとかnoteに綴りきれたのは、メンバーの柴汪汪さんが紹介してくださった、はやみねかおる先生の「めんどくさがりなきみのための文章教室」という本のお陰です。自分の幼少期を楽しいものに変えてくれた方だけあり、大人になっても文章一つ一つが染み入ります。更にいえば、読みきった時には泣いていました。ぜひ購入して読んでみてください。最高。

 拙い文章にしかなりませんでしたが、今後も練習を兼ねて、気が向いたらドロテーアとシャルトルージュが出てくる小説を出そうかなと思います。といっても、『騒ぎますけど、なにか?』のアカウントではなく、自分のアカウントで出す予定です。私の汚文で「さわなに」を穢すわけにはいかない。

 最後に、ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
それではさようなら、よろしくね~。


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