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ノストラダムスの子どもたち

「恐怖の大王」の正体

80年代、「1999年に地球が滅亡する」と心配していた人がたくさんいた……と言っても若い人は信じないかもしれない。ベストセラーになった『ノストラダムスの大予言』という本に、「1999年7の月に空から恐怖の大王が降ってくる」と書かれていたことが、日本中(の子供や若者)を震え上がらせたものだ。

このノストラダムスの予言、正体は星占い。ノストラダムスは15世紀のフランスの医師・占星術師だった。当時はまだ占星術と天文学が未分離で、人は星の動きを見ることで、災害や政変、豊凶の行方を予測しようとした。ノストラダムスが大勢の弟子たちを使って、先々まで惑星の動きを計算したところ、1999年に地球を中心として惑星同士が向き合う形がいくつもできる(グランドクロス)ことを割り出した。「これは地球にとって大変なことだ!」と思ったらしい。

確かに、1999年の星を見ると、占星術用語でいうところのハードアスペクトばかり。ノストラダムスが心配になるのもわかる。実はわが娘、「1999年の7の月」生まれ。恐怖の大王ではなく気持ちの優しい女の子だが、ホロスコープを見ると、グランドクロス、T字スクエアが重なり合うようになっており、数えきれないほどのハードアスペクト。

木星□海王星□水星・太陽
土星□天王星□火星□太陽
金星□冥王星□月……

どうやって読み解いたらよいか、もはやわからないほどだ。
大惑星は進行がゆっくりなので、似たようなアスペクトを持つ1999年~2000年あたりの生まれの人は多いと思う。実際、彼らが生まれた1999年はどんな年だったか、ちょっと振り返ってみよう。

天変地異に金融再編、事件・事故…

まず、地震災害、水害が非常に多かった。
1月、コロンビアで地震、死者1900人。
8月、トルコ大地震、死者1万人
9月、台湾大地震発生、2000人以上死亡。
11月、しし座流星群の大出現……。

日本でも6月の大雨で全国で土砂災害があり、死者39人に上ったほか、8月に関東地方で大雨。神奈川県山北町の玄倉川が増水、キャンプ客の13人が流されて死亡する水難事故があった。

大規模な金融再編も相次いだ。8月に第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行が全面的統合すると発表した(現在のみずほ銀行)。10月は住友銀行とさくら銀行が合併を発表。旧財閥の枠を超えた金融再編に注目が集まった(現在の三井住友銀行)。

通り魔や銃乱射事件、ハイジャックなど、世間を揺るがす事件・事故も多かった。
4月、光市母子殺害事件が発生。米国コロラド州の高校で銃乱射事件(コロンバイン高校銃乱射事件)
6月、山陽新幹線の福岡トンネルでコンクリート壁が剥落。
7月、全日空61便ハイジャック事件。機長が刺殺され犯人が飛行機の操縦をした。
9月、神奈川県警の不祥事が相次いで発覚、全国の警察に波及した。
同月、池袋通り魔殺人事件。男が通行人を次々に襲い2人死亡、6人が重軽傷。
同月、東海村JCO臨界事故発生。茨城県の核燃料施で日本初の臨界事故。2人死亡。
同月、下関通り魔殺人事件。JR下関駅に男が乗用車で突っ込み、駅構内の乗客を切りつけ5人死亡、10人が重軽傷。
10月、桶川ストーカー殺人事件発生。
11月、新宿の飲食街「思い出横丁」で火災発生、28店舗が全焼。

「乗り越える」ために生まれてきた

星の影響か否か、大きなニュース、重いニュースが多かった1999年。2000年と同時に世界中のコンピュータが狂い、世の中が大混乱に陥る……という話もあり、「2000年問題」と騒がれた。思えばなんだか、落ち着かない世相だった。

そして、その年に生まれた子どもたちが今年、そろって成人式を迎える。
ホロスコープにこれだけのハードアスペクトを抱えた世代、人生イージーモードではいかないだろう。政治や経済に絡んで、「〇〇世代」とくくられるような試練を与えられるかもしれない。地球全体の課題を背負うことになるのかもしれない。

いえることは、このハードアスペクト世代は、何か使命があるということ。この人たちの今の姿をみて、「最近の若者は甘えている」とか「スマホばっかりやって勉強しない」といってはいけない。この人たちは時代の困難、苦悩を乗り越えるために生まれてきた、とてもとても強い人たち。

だから、大丈夫。暗い時代にも負けないで、世の理不尽にもへこたれず、どうかたくましく生き抜いてください。

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