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【映画】「ザ・ホエール」レビュー

▼あらすじ

40代のチャーリーはボーイフレンドのアランを亡くして以来、過食と引きこもり生活を続けたせいで健康を損なってしまう。アランの妹で看護師のリズに助けてもらいながら、オンライン授業の講師として生計を立てているが、心不全の症状が悪化しても病院へ行くことを拒否し続けていた。自身の死期が近いことを悟った彼は、8年前にアランと暮らすために家庭を捨ててから疎遠になっていた娘エリーに会いに行くが、彼女は学校生活や家庭に多くの問題を抱えていた。

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▼感想
ほぼ全編主人公チャーリーの行動範囲内である部屋の中、そして彼を入れて5人の会話でストーリーは進む。

薄暗い部屋の中で1人では身動きも満足に出来ないチャーリーは、深い海底で横たわる、もしくは誰もいない海辺に打ち上げられた鯨のよう。

自分の過去に罪悪感を持ちながら、8年前に自らが捨てて出てきた娘の事を想い続けている。

チャーリーが自分の身体についてのネットで調べ現実を突きつけられた際や、ピザ屋の青年がチャーリーの姿を見て引いた様子を見た時に自暴自棄的に過食に走ったりする様や、周囲の人に病院をいくら勧められても頑なに行かず、しかしながら残された時間で娘との絆は取り戻したいと願う姿はとても奔放に映った。
娘と同居する母親が「evil」と言い放つ位の娘のエリーを「素晴らしい人間だ」と信じる事により「自分は人生の中で良い行いをした」と信じたいだけなのかもしれない。
それらの矛盾を抱えている所も全てとても人間らしさを感じた。

この物語の中でチャーリーはリズを救い、エリーを救い、間接的にだがトーマスも救った。
やはり人は人により救われるのだろうか。
色々と考えさせられた。

贖罪と救いという重いテーマの作品だが、
俳優陣の高い演技力により全体的に緊張感があり最後まで全く飽きずに観れた。

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