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感想文

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本とか映画とかライブとか。 感想以下の落書き。
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記事一覧

覚書。

敵がいるわけじゃないのだ。

戦う相手がいれば、それを打倒すればいいという話になるけれど、多くの場合の現実と同じく、そんなものはいない。

何かを倒して、誰かに勝って、それで劇的に世界が変わるなんてのは、ゲームやスポーツの中だけの話であって、現実では、そんなわかりやすいことは起きない。

僕が、僕達が向かい合わなくてはならないのは、理不尽とか、不条理とか、そういうものでさえなく、多くの場

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苛虎③

すぐに記憶から切り離してしまったというだけのことで、
記憶を書き換えてしまったというだけのことで、
はっきりと目撃していたのです。

つまりそれは。

私を除け者に。

それを私は、妬んだ。
はっきりと嫉妬しました。

そこは理屈じゃありません。

孤立したくなかったのです。

そんなもの、見たくなかった。
目を逸らしたかった。
燃えるように嫉妬した。

結局すべて、私の責任なのです。
私の心の脆

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苛虎②

親から愛されずに、つまりは虐待されて育った子どもをカウンセリングするにあたってもっとも困難な工程は、まずその子ども自身に自分が虐待されていることを認めさせることだそうです。
自分が苛烈に虐げられていること。

多くの場合、子どもは虐待の事実自体を「なかったこと」にしてしまうのです。事実に対する解釈を捻じ曲げるのか、それとも事実自体をなかったことにするのか、症状は様々ですが、現実から目を背けるという

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苛虎

合鍵を渡されているのでインターホンを鳴らさなくとも入れるが(信用されたものだ)、さすがに気後れしてしまう。
自分の家だと思って、と言われても、そんな風には振る舞えない。
自分の家のように、なんて。
自分の家なんて、私は知らない。
それどころか私は。
自分を知らない。

考えないといけない。
考える私と考えない私も、同じくらいいやなのだ、だって。
考えて。
考えて考えて、どんな気付きがあったところで

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親が子供と仲が悪いというのはね、

覚え書き。猫物語(白)。
羽川が阿良々木宅に泊まった明くる朝、
阿良々木母との会話シーン。
アニメでも出てきた場面。

 学校に行く前、玄関のところで「いってきます」と言い、扉のドアをかけたところで、母の方に声をかけられた。
「きみの家庭にどういう事情があるのか知らないし、今のところ訊こうとも思わないけれど、今こうして、両親の元を離れて私達の家から『いってきます』を言う状態が正常だとは思わないでね

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子宮に沈める

子宮に沈める

10年前の作品になるが、今見ても、当時のものとして片付けられない、
すごく重い、
後味の悪い、
考えさせられる作品だった。

この映画は、母親の役割を果たすという重責に耐えられなくなったシングルマザーが生活することに疲れ、子ども2人を見殺しにするまでの過程をリアルに描いている。

【あらすじ】
主人公は専業主婦の由希子。夫との離婚を機に、仕事をしながら、娘の幸と息子の蒼空、幼いこども2人の世話を独

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白面の騎士

The ideas of my friend Watson, though limited, are exceedingly pertinacious. For a long time he has worried me to write an experience of my own. Perhaps I have rather invited this persecution, since I

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クラブ

誰だって、生まれや育ちにそれなりの傷を所有しているものではあるけれど、
しかし、その主軸がぽっきりと折れてしまった主たる原因は、頑張りすぎたことにある。

頑張ることは時として罪となり、
罰を受ける。

罰を受けて。

心を開かず。
心を許さず。

人見知り。
人間不信。
接触拒否。

たとえ、それが解消されたところで。
懊悩から離れたところで。
苦悩から別れたところで。
心が開かれたところで。

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嫉妬

覚え書。するがモンキー。

助けようとした、助けたかった、
なんとかできると、思った、
抱えているものを、なんとかできると思った。
原因を取り除くことはできなくとも、現象を改善することはできなくとも、そばにいるだけで、心を、癒すことができると思っていた。

だけど、それは、取り付く島もなく、拒絶された。
そんなこと、ちっとも求めてなかった。
むしろ、そばに、誰もいて欲しくなかった。
心的外傷という

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普通を繕う

つばさキャットまで読み返した。

複雑な家庭事情を持っていると、それがトラウマだったりなんだったり、そんな風にとらえられて、偏見の目で見られることがある。
そんな風には、思われたくなかった、
だから、
その程度のことじゃ、私は変わらないって、決めてた

羽川翼の言葉。

だって、わかりやすいじゃない。
そういう生まれで、そういう育ちだから、
だからこそいい子で、だからこそおりこうさんなんだって。

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0か100

備忘。
ひたぎに関する記述。

心を閉ざした人間が、言いたいことを言いたいように言う対象は、二種類だけだ。
ひとつは、嫌われても構わない相手。
もうひとつは、嫌われる心配のない相手。

愛するというのは、求めることだから。
だから、しかるべき相手には、全体重をゆだねる。全力で甘える。
重過ぎる。

何でも話す。抱えているもの全て曝け出す。
自分の持っているものを全て曝け出す。
人に明かしてこなかっ

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想い続ける

覚え書。まよいマイマイ。
八九寺真宵が、昔の、両親の不仲と離婚の話をしている時の、言葉。

人間なんだから、好きになったり、嫌いになったり、そんなこと、当たり前で、だから、好きなものを好きでい続けるために、本当はもっと、頑張らなくちゃいけない。私たちが持つ好きっていう感情は、本来、すごく積極的なもので、頑張って、努力するべきで。
好きなものを嫌いになったりするのは、辛いから、つまらないから。

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影を売った若者

覚え書。化物語より。

アニメには出てこなかった、原作の1シーン。
阿良々木暦が戦場ヶ原ひたぎを連れて学習塾跡の忍野メメを訪ね、おもし蟹の話を聞くシーン。忍野とひたぎとの会話で、忍野が例えに示した海外の昔話。

どんなに重かろうと、他人任せにしちゃいけない、背負わなくてはならないもの。失くしちゃいけないもの。

おもし蟹。
思いし神。
思い、しがみ。思いとしがみーしがらみ。

戦場ヶ原ひたぎの場合

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酔いがさめたら、うちに帰ろう。

酔いがさめたら、うちに帰ろう。

アルコール依存症の悪いところ、
回復に向けての過程、
精神科での入院生活、

僕には馴染みのある風景で、すごくリアルに描かれていた。
分かる分かるー、あるー。
あー、こういう患者対応したことあるー、
こういう患者さんいてはるー、とか。
ここで看護師、医師がこういう言動してるん、こういう理由だけど伝わるかなー?分かるかなー?
この対応やりがちだなー
僕らの言う「個室」って少し特別なあれです。

見て

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