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欲しくて欲しくてたまらなかったものがやっと手に入る瞬間に自ら投げ捨てる展開が好き

まあいわゆる自己犠牲の精神ってやつかもしれない。欲しくて欲しくてたまらなかったものをやっと手に入れるまでの積み上げがしっかりしてると、すごくよい。

具体的に何だよって言うと、ディズニーのアラジンとか美女と野獣とか、誰も知らないだろうけど自作で言うとタンデム・オーヴァドライブ(今はもう原稿すら存在しないウェブ小説)とかだ。

アラジンはジャスミンと結婚したくて魔法の力に頼る。で、魔法の力を手放せなくなったばかりに魔人ジーニーと仲たがいし、そこを悪者ジャファーにつけこまれる。その後、結局魔法に頼らず自らの知恵と勇気で戦ったアラジンが勝ち、最後まで魔法に頼ったジャファーは負ける。さあ最後の魔法で再び王子になってジャスミンと結婚!というところで、アラジンはジーニーを自由にするために願いを使うのだ。恋人も、富も名声もあきらめて。

野獣は自らの呪いを解くために愛を求め、ベルを城に軟禁して強引に一緒に生活し始める。なんやかんやお互いに心が通じ始め、案外と真の愛をゲットしちゃうんじゃないかってところで、ベルの父親が体調を崩していることを知り、ベルを解放するのだ。呪いからの解放を、愛をあきらめて。

タンデム・オーヴァドライブは映画部(作るほうじゃなくて観るほう)にたった二人所属する「僕」と女の先輩が、突如現れたホラー映画に出てくるような怪人から逃げ回る話だ。
「僕」は先輩に気があるが、先輩には彼氏がいて、「僕」とは違うサッカー部のエース、学校のヒーローだ。彼氏が海外に留学することになり、先輩は寂しさから「僕」になびいてくるが、先輩が本当に好きなのはやはり彼氏と悟った「僕」は先輩を自分から遠ざけ、バイクにタンデムして彼氏のいる空港へと走るのだ。

欲しくて欲しくてたまらなかったものがやっと手に入る瞬間に自ら投げ捨てる。それが大事だからこそ、自ら投げ捨てる。
僕はその姿を、とても美しいなと思う。

余談。子どもの幼稚園のお遊戯会でアラジンの劇があった。僕はアラジンが好きだったのでわりと楽しみに見に行ったのだが、こともあろうにそのアラジンはジーニーに魔法の剣を出してもらってジャファーを倒してしまった。
おそらく話を書いたのは幼稚園の先生だと思うが、いったい何を考えながらアラジンを見て、何を感じられたのか問い詰めたい。小一時間問い詰めたい。
ストーリーや創作に興味のない普通の人の感覚なんてそんなものなのか。

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