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もしコロナが収束したとしても、また「オンライン記者会見」をやろうと思った4つの理由。

4月22日に、#福祉現場にもマスクをという新しいプロジェクトを立ち上げました。きっかけは、福祉現場にマスクが足りないと知り、仲間たちと連携し、3000枚のマスクを現場にお届けしたことです。

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すると、「実は私の現場でも困っている」という声がどんどん集まってきました。この課題ときちんと向き合うためには、より多くのマスクを、より多くの現場にご提供する新しい仕組みが必要です。そこで、日頃から交流のある団体の皆様に急遽お声がけをし、1週間(大急ぎ)で体制と仕組みを整えました。こうして生まれたのが、「#福祉現場にもマスクを」プロジェクトです。

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さらに、「#福祉現場にもマスクを」をより多くの人に知って頂くために、初めての試みとして4月24日に「オンライン記者会見」を開催しました。結論としては、実施してよかったし、もしコロナが収束したとしても、また「オンライン記者会見」をやろうと強く思いました。理由は大きく4つあります。

1.リードタイムが短くても集まりやすい

ビフォーコロナ時代の記者会見は、本番から逆算してリードタイムを5日から1週間設け、メディアの皆様にご案内をしていました。しかし今回のプロジェクトは、そもそも急に立ち上げたものなので、記者会見のご案内ができたのは本番2日前。果たして集まっていただけるのか…。

蓋を開けてみると、20社以上のメディアの皆様にお集まりいただきました。もちろん、一緒にプロジェクトを立ち上げた東ちづるさんさん(一般社団法人Get in touch代表)、松田崇弥さん(株式会社ヘラルボニー)、上原大祐さん(NPO法人 D-SHIPS32)が、日頃から築き上げてきた関係性によるところが大きいです。また、福祉にもマスクを、というテーマ性も集まっていただけた理由の一つでしょう。

加えて、オンライン開催だったことも有利に働いたと思います。現に私も、テレビ局の友人に声をかけたところ、「その前後は詰まっているけど、ちょうどその一時間は空いているから参加します」という連絡が。これまでの「オフライン記者会見」(←もうこう呼んでしまう)の場合は移動も生じるので、ピンポイントで一時間空いていたとしても参加は叶わなかったでしょう。

早速、多くの記事がリリースされています。スピーディな対応に、本当に感謝しています。

2.圧倒的に地球環境に優しい

オフライン記者会見は、とにかく製作物が多いのが特徴です。垂れ幕、ポスター、バックボード、配布冊子など、イベントが終了したらすぐに破棄するものを多く製作します。以前から私も、「もったいない…」「グレちゃん(グレタさん)に叱られる…」と気になってはいました。

今回のオンライン記者会見では、もちろん造作物や出力物はゼロ。代わりに、ある工夫をしました。それは、バックボードデータを製作し、zoom背景として活用することです。(製作:ヘラルボニー西野さん)

記者会見背景デザイン④-2

これなら地球環境に優しいのはもちろんのこと、登壇するのが自宅からだろうと、記者会見しずるを演出できます。オンライン記者会見の写真を掲載してくださった岩手日報の新聞記事を見ても、ちゃんと記者会見らしい緊張感が伝わってきます。

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当日、紙の配布資料はもちろんありません。代わりに「#福祉現場にもマスクを」の超優秀な事務局メンバーから、メディアの皆様にこういうメールをあらかじめ送りました。

・記者会見中は画面のスクリーンショットをするなどして記事にご活用ください 
・当プロジェクトのグラフィックデータは下記URLよりダウンロードしてご活用ください
https://www.dropbox.com/sh/2zs8esdk2oyfl18/AAAVemzRl4TKZORf_WTkEU5ea?dl=0 

記者会見当日は、画面共有した資料と共にプロジェクトの説明をしたのですが、「このスライドは資料として使える」「そのまま掲載できる」とそれぞれのメディアの皆様が判断しながら、スクショをとるというスタイルです。それぞれに、カスタマイズされた資料ができるという狙いがあります。例えばForbes JAPANに掲載された記事では、スクショがこのように活用されていました。

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このようにオンライン記者会見は、イベント廃棄物を生み出さないので地球環境に優しいのです。また、イベント終了後にポスターを剥がしたりする「撤収作業」がないのも魅力でした。

3.同じ方向を向くことによる縁側効果

オンライン記者会見の良さは、画面上で「みんなが同じ方向を向いている一体感」なんだなと、本番中にふと思いました。良質なコミュニケーションを取るために、人は必ずしも相手と向き合う必要はありません。むしろ物理的に同じ方向を向き、同じ景色を媒介としながら会話する方が、心が通い合うことがあります。

縁側に腰かけながら行うコミュニケーションは、まさにその典型と言えます。また、相手とより親密になりたいときに、カウンターで食事をとることも同じ効果を狙ってのことだと思います。ちなみに私は車とテレビの役割も同様だと捉えており、「番組を見る」「移動する」という主目的の他に、そこにいる全員が同じ方向を向いていることの一体効果の方が実は大切だと思う次第です。

オフライン記者会見では、登壇者とそれ以外の参加者(メディアの皆様や一般来場者、ときには登壇しないチームメンバー)が、対峙する形となります。もちろんこのフォーメーションだからこその良さもあります。登壇者の顔を会場に向けることによる伝播力の強さや、シンプルに登壇者をカメラでおさえやすいということもあるでしょう。

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しかしオンライン記者会見を実施してみて、独自のグルーヴを感じました。それは、登壇者も、登壇していないメンバーも、メディアの皆様も、画面上で同じ方向を向いていたからです。残念ながら、メディアの皆様のお顔を承認を得ないままこちらで紹介できないのですが、その光景は圧巻。全員で同じ方向を向いている「ように見える」という、擬似縁側効果が生まれていました。メディアの皆様も含め、そこにいる全員が#福祉現場にもマスクをプロジェクトのメンバーではないか?と優良誤認するほどの一枚岩感を確かに感じました。このいきなりチーム感はオンライン記者会見の強みでしょう。

4.なにより手話通訳が見やすい

もしコロナが収束したとしても、また「オンライン記者会見」をやろうと思った最後にして最大の理由。それは「手話通訳が見やすい!」ということです。

例えばステージの様子をカメラで抜き、巨大モニターで映し出すような大規模イベントでは、会場のどこにいても手話通訳が見えます。

しかし、小〜中規模レベルのイベントだと、当然ステージの様子を映し出す巨大モニターはありません。場合によってはステージそのものがなく、手話通訳士が見えづらいということもままあります。

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今回の会見では、手話通訳士の森本行雄さんにお力を頂いたのですが、森本さんが登壇者と同じ大きさで表示され、かつ何にも遮られること(例えばその前を誰かが通ること)がないことで手話通訳がクリアに見えました。

会見序盤、中継を見ていた方から「名前表示とかぶって手話が見づらい」との指摘が届きましたが、すぐに修正できたのもオンラインならでは。

当日について、森本さんからもコメントをいただきました。

「コロナウィルス感染の不安もなくストレスフリーでした。これは、マスクをして話している知事さんたちには気が付かないことなのでしょう。マスクをすると、口元や表情が見えず伝わり難い手話通訳者ならではの苦悩なのです」
「リアルな手話通訳では話者の声が聴き取れないこともよくあります。でも、イヤホンを使用してパソコンから直接聞くことができましたので、その心配もありませんでした」

また、zoom上で「ビデオがONになっているユーザーだけが表示される」設定にすることで、最小限の人だけが映し出されながら、常に森本さんの手話通訳がストレスなく見える環境を整えたことも効果的でした。


以上、もしコロナが収束したとしても、また「オンライン記者会見」をやろうと思った4つの理由でした。

「#福祉現場にもマスクを」プロジェクトは始まったばかりですが、既に1万枚以上のマスクを30以上の福祉現場に発送済みです。しかし、まだまだマスクを必要とする福祉現場は全国にあります。どうか皆様のお力を貸してください。

おまけ。久しぶりに登壇して長時間話したので、途中で少しむせてしまいました。そんなときでも、一瞬ビデオをオフにし、会場(自室)を離れてキッチンに向かい、水分補給できたのもオンライン記者会見の良さだなあと思ったのでした。

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