羽菜と雄4

一目置かれるのはいい事か悪い事か…少なくとも、仕事量は増えた。
先輩方には説明の手間が省けると重宝がられ、同級生には何やかやと理由をつけて仕事を代わってほしいと頼まれ。
羽菜は特に部活動にも入らず、進んで仕事を引き受けては中庭いじりをしていた。

「ヴィオラさんーヴィオラさんー綺麗に咲いてくださいねー♪」

作業をしながら時々、気分に合わせて歌を口ずさむのだが、それはそれは小さな声で、羽菜は聞かれたら恥ずかしさで死ねると思っている。
と、不意に後ろから声をかけられた。

「三島、雑草……」
「うひゃおぉう!?」

思わず変な大声を上げてしまい、それはそれで真っ赤になった羽菜。

「ひゃい…いえ、はい、なんでしょうか…」
「…抜いた雑草、まとめて捨ててくるぞ。ついでだし」

そう言って雄は、羽菜が抜いた雑草を台車に乗せ、さっさと行ってしまった。

「……うう、立花くんに恥ずかしいとこ見られちゃいました…」

雄も、特に部活動に入ったという話を聞かない。
スポーツとかするのかなぁと思っていた羽菜には意外だったが、一緒に作業してくれる人がいるのはちょっと嬉しい。

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