羽菜と雄5

それは5月の連休に入る前、美化委員による休み中の学内整備についての会議だった。
説明を受ける羽菜の顔はどんよりしていた。
曰く、委員全体を5班程度に分け、一日交代、1班辺り2回の担当で見回りすること。
学内を清潔に保つこと。
そして――
中庭の整備は最低限度の水やりで可とする。

砕けた感じで言えば、
休み中の仕事は学内の清掃が主です。みんなでちゃっちゃと見回って終わらせましょう。中庭はテキトーに。
という所だろうか。

なお夏休み期間も似たようなものらしい。期間が長くなるだけだ。

正直、中庭の手入れを楽しみに美化委員を引き受けた羽菜にとって、がっくり来る内容だった。

「何か質問は?」

委員長の声掛けではっとした。おずおずと手を上げる羽菜。

「あのぅ、水やり以外のお世話は…中庭の…」
「時間に都合がつくようでしたら、見回りの後好きなだけどうぞ。倉庫の鍵は当直の先生に申し出て借りてください。」

羽菜の中庭好きはもうすっかり知れ渡っていて、委員長も心得たように返事をしてきた。
ほっと胸を撫で下ろす羽菜を見て、雄は少し、眉根を寄せた。

会議が終わって教室へ戻ろうとした羽菜を、雄は呼び止める。

「悪いが…連休の間、中庭の手入れ、手伝えないと思う」

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