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「かけた時間がそのまま形になるもの」を作る

ろうそくを溶かして固める。
ろうそくを溶かして流し込んだだけ、やがて冷えて固体になり、
装い新たなろうそくが出来上がる。

それは、卒業制作のアイデアに悩んでいる時期だった。
友人が学園祭で売るためのろうそくを手作りしていて、
それを手伝ってほしいと言われた。
ろうそくを作るのは初めてだったのと、
アイデア出しに息が詰まっていたので、気晴らしがてら、と承諾した。
3時間ぐらいの作業で、20個くらいのろうそくができた。
それだけのろうそくを作っていると、
最後の方にはろうの扱いにも慣れてきて、
まるで自分はろうそく職人になったかのような気分になる。
ラッピングを終えたろうそくを並べてみると、とても達成感があった。

***

普段、デザインという、どちらかといえば設計などの
思考の方に重きを置くようなことをやっていると、
これだけ考えたのにボツ、最初からやり直し、みたいなことがよく起きる。
それはいいものを作る上では仕方のないことだけれど、
どんなに必要なことだとわかっていても、
時間をかけて考えたものが泡になるのは悲しいことだ。

そんな時、せっけん作りとか編み物とか、
「かけた時間がそのまま形になるもの」を作ることは、
精神的にかなり必要なことなんじゃないかと思った。

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