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第36回開示請求 塩野義、コロナ陽性者の個人情報・疫学情報に触れすぎ!!

2月22日に吉村知事は、塩野義から、感染拡大により保健所業務が逼迫した際に、同社(グループ会社含む)の従業員を派遣し、感染拡大防止に貢献したい旨の申し出を受け、まずは同日から3月末までの間に研修派遣を行なう旨を発表しました。
塩野義側のリリースはこちらをご参照ください。

これについては、大阪府職労(大阪府関係職員労働組合)さんも、問題提起をされていました。

私はこの案件について、
発表された2月22日に、大阪府と塩野義製薬の間でやりとりされた文書と、大阪府の関連部署内外および関連部署と知事との間でやりとりされた文書を、
研修派遣期間が終わった4月1日に、研修派遣の内容・成果が分かる文書(日報、報告書等)、大阪府と塩野義とのやりとりの文書を、
それぞれ請求していました。

■4月1日請求分 文書

まず、一番衝撃を受けた、4/1請求に対する文書を披露。

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3月8日時点での情報ですが、
保健所Aにおいては、B・C・Dの3名の社員が、なんと900名もの陽性患者のデータ分析を行なったようです。
(後で掲載する派遣スケジュールと照合すると、富田林保健所だと推察できます)
他にも、HER-SYS入力、濃厚接触者の検証、一からカルテを起こしての情報収集・整理・分析、疫学調査の聞きとり、管理台帳入力、陽性者の健康観察を行なうなど、
派遣研修開始からたった2週間の間に、かなりの陽性者の個人情報、疫学情報に触れていたことが分かりました。

研修派遣の発表時には、実施業務は「保健所の事務補助(主に、保健師の周辺業務) (例)患者の発生情報のデータ入力、就業制限通知、検査依頼等の書類の作成、送付、電話による聞き取りなど疫学調査の後方支援等」とされていましたが、
当初発表の範囲よりも、より広く塩野義が個人情報・疫学情報に触れていることが、たった2枚の文書から明らかに。

また、C保健所の備考「様々な人が出入りするため、その都度のオリエンテーションに手を取られた」からは、保健所業務がただでさえお忙しいときに、都度都度、塩野義社員のお世話をせざるを得なくなった職員さんが大変気の毒に感じました。


■2月22日請求分 文書

時系列は逆転してますが、続いて、2/22請求文書。全文255ページあるため、最下段にPDFをアップします。まずは気づきを列挙。

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⇒この施策は、塩野義トップの手代木社長から、大阪府トップの吉村知事への持ち込み案件だったのですね。


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⇒塩野義と健康医療部との面談後、塩野義からは前のめりで派遣を進めたい気持ちが窺えます。


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⇒そして、早速2月5日には先陣隊として和泉保健所および大阪市の保健所で見学が行なわれていたようでした。


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⇒塩野義社員に、府のシステムに入るためのIDを付与する可能性もあるんですね。


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⇒確定版の塩野義の派遣スケジュールは、このようになっています(画像が見づらいですね、アップにしてご確認ください)


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⇒ご開示いただいた、知事レク概要は、この1枚のみでした。


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⇒この、塩野義が保健所に社員を派遣することは、「大阪府と塩野義製薬の人事交流(交流派遣研修)」なんだそうです。
(「相互に職員を派遣」とあるので、後に大阪府から塩野義に職員が派遣されることもあるのでしょうか)


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⇒一番気になるのは、これ。
塩野義は東京へも社員を派遣していますが、「東京では、個人情報の秘密保持に関する誓約書を社員一人ひとりが提出しますが、大阪はいかが?」のメールに対する返答が見当たらず。
一番上に掲載した3/18の文書でも、協定書ですべてをカバーするという考えのようでした。


■4月15日にはこんな発表が!

この塩野義派遣について、感染急拡大しても、4月に入っても、大阪府からも塩野義からも特に発表がないと思っていましたが、本日4月15日に、このような発表がなされました。

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保健所業務が逼迫しているため、今度は研修ではなく正式な応援派遣として、大阪府下全体で合計30名もの派遣を受け入れることにしたそうです。

研修を受けたのは18名だけのはず。なのに派遣されるのは30名?残りの12名は、研修なしで送り込むのか?
大阪府から「頼みます、30人派遣してください」という文書が塩野義宛に出されたのでしょうか。
大阪府は、政令・中核市に対して「あなたの市も、塩野義に派遣してもらう?」と聞いて回ったのでしょうか。
気になることは尽きません。また開示請求をしなければならないですね。


■まとめ(私見)

保健所業務が逼迫して、保健師の方々の勤務状況は非常に酷な状態にある今、マンパワーの助けがないと業務が回らないことは事実です。

ですが、それを民間に頼ることは適切なんでしょうか?
コロナの陽性者情報は、かなりセンシティブな個人情報です。
いくら協定書で「秘密の保持」を記載していたとしても、本当にそれで個人情報・疫学情報は守られると信じて良いんでしょうか?

塩野義は、治療薬の創製、ワクチン開発、診断薬の開発を行なってなっています。だから彼らにとっては陽性者の生データは喉から手が出るほど、欲しくて見たくてたまらないデータなんです。
協定書を締結しているとはいっても、大阪府の陽性者のデータは、研究用に流用されないと本当に言い切れるのでしょうか。

では、どうすれば良いか。
一番は、正規の保健師さんを増やすように、府が動くべきだと思います。
大阪府関係職員労働組合さんのBlogによると、2021年度に「保健所に12人の定数増、各保健所に1人ずつ保健師を増員し、茨木保健所に検査技師1人、泉佐野保健所に検査技師2人を増員」が行なわれたようですが、それでも不十分だから、塩野義が来るんですよね。

正規職員の増員が難しいのだとしても、塩野義のように1~2週間の研修で保健所の応援業務ができるのであれば、公務員としての倫理観を既に持っている別の部局の人を期間限定で異動させて、サポートをさせれば良いのではないですか。
大阪府には、不要不急の業務をしている部局はあるでしょう、副首都推進局、IR推進局、スマートシティ戦略部、万博協力室、等々。
その人たちに塩野義と同様に研修をして、後方支援をさせたら良いでしょう?そちらの方が、府民としては個人情報の観点では安心です。なぜ、そうさせないのですか?
市側の人ですが、某大阪市長(全然「某」になってない 笑)なんて半分くらいしか登庁していないんだから、非登庁の日に保健所に来させて、郵便を送る手伝いぐらいならできるでしょう。

塩野義が「人件費は要らないよ」と言った『タダ』ということにとびついたんですか?
手代木社長からの持ち込み案件だったから、塩野義と維新の間に何か変な関係でもあるんですか?
塩野義の社員お一人お一人には何の恨みもありませんが、どうしてもこういう変な見方ばかりしてしまわざるを得なくなってしまいます。

民間業者の中で、特に塩野義を派遣させることについては、Twitterの相互フォロワーの「大阪が好きやねん」さんは、このように危惧されています。


私は、保健所職員の方々が人間らしく働ける環境、そして、府民の個人情報・疫学情報が適切に守られ、情報漏洩を心配しなくて良い状態を、切に願います。

最後になりましたが、以下が2月22日請求文の文書です。


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