ちょっぴり泣いちゃった。

だいぶ長い間サボってしまったな。
サボっている間、色々あった。本当に色々。

まずは私の趣味であるお笑い。
私が好きになった芸人さんがコンビを解散し、今はそれぞれが新しいコンビを組んでいる。
大好きな2人が、今では大好きな4人になっている。
その事はまた後日書こうと思う。

1番変わったのは…私自身であろう。
大好きだったお仕事を辞めた。
大好きな大好きな、お仕事。
大好きな大好きな子供たちと離れ離れになった。
それが今年の8月のこと。
辞めなくてはいけなくなった事も、また後日書こうと思う。
今は、同じ地域の、同じ職種の放課後等デイサービスで働いている。
地域が同じだと、前の職場の人達とも会ってしまい気まずい事もあるかと思ったが、私が退職した理由をみんな知っているし、それほど気まずい事もなかった。
それどころか、みんな口を揃えて「めちゃくちゃ良い顔してる!続けててくれて本当に良かった。」と言ってくれる。

昨日、児童の学校送迎に行ったら、元の職場のお子に会えた。その子は1年生で利用し始めた子で、私が退職したのが8月なので、4ヶ月位しか一緒にいなかった。恐竜と虫が好きなやんちゃぼうずで、お迎えに行って車に乗せるまで40分位かかった職員もいる。

1年生という事もあり、みんな彼の好きなようにさせていた。
歩きたくないと言って泣き叫ぶ。
荷物が重い!と言って怒ることもある。
そんな時、迷うよな。

私はその子の未来を見ていた。本当ならお膝に乗せていい子いい子してたかったし、「歩けない!おんぶして!抱っこして!」と言われた時、本当ならしたかった。「もう持てない!」と怒りだし、ランドセルを放り投げた時、「そうだよね、重いよね。」って、荷物を持ってあげたかった。

でも私はその子が3年生、6年生、中学生になった時のことを考えた。
そして大人になった時。

目に見えない障害を理解してくれる人は多くはない。
目に見ないからこそ、「うるさい」「ウザイ」「キモい」と片付けられる事もある。

私は彼が今より大きくなった時、小さかった時を思い出し、「泣けば誰かが助けてくれる」「叫べばどうにかなる」と思って欲しくなかった。
だから私は心を鬼にして、落ち着いて言う。

「〇〇くんなら歩けるよ。だって1年生だもん。今日1日頑張ったもんね。ならあと少しだけ頑張ってみよう。」
「〇〇くんなら持てる!もし怪我をしていたり熱があるなら先生ひとつ持ってあげるよ。今〇〇くん、痛い所はある?ここまで持ってこられたんだもの、持てるよね☺」と。
それで済む時もあるし、どうしてもダメな時もある。
そんな時は長期戦に持ち込む。
彼が諦めて歩き出した時、これでもかと言うくらい褒める。
「ほら出来たでしょ?頑張ったね!〇〇くん凄いよ!さすが1年生だね!」

褒めてはいたが、彼にとって私は決しておんぶしてくれない、抱っこしてくれない、荷物を持ってくれない大人だった。
1年生と言う、小さな小さな子供。
怖い人だったと思う笑

そんな彼に昨日偶然会った。
迷いはあったが話しかけに行った。
「〇〇くん!」と名前を呼ぶ。
顔を上げた彼は、数秒間私の顔をじっと見る。
やっぱり忘れちゃったか~
そりゃーそうよな。
別に優しくされた記憶もない、たまにお迎えに来て施設へ連れて行っては宿題をさせる大人笑
覚えてないよ。

と、思った瞬間、彼の顔が満面の笑みとなる。
そして、さささっと靴を履き私に飛び付いてきた。

「〇〇くん、久し振りだね!覚えてる?」と聞くと、質問が終わるかどうかのタイミングで大きな声で言う。

「バシてんてーっ(先生)!!!!僕覚えてるよ!バシてんてーっ!!!」

彼は覚えていてくれた。 

人間には色々な長けている部分がある人がいる。
1度見たものを記憶したり、1度聴いた音を記憶したり。
人や物の名前を覚えたり、空間を上手く使う事に長けていたり。

彼は恐竜の長い名前を覚える事が得意だった。
彼が舌足らずな可愛い発音で、肉食のめちゃ怖そうな見た目の恐竜の名前を言うと、不思議と可愛らしい小動物のような響になる。
名前は凄く得意だった。
だから覚えて居たのかもしれないな、と思った時、彼の担任の先生が言う。

「〇〇くん、あの日からずっとバシ先生はいつ戻ってくるのかな…って言ってましたよ。」と。


あの日、大人同士のいざこざで、全く関係ないのに…見慣れた大人達と離れ離れになった彼。
私は新しい子供達の名前を覚えるのに精一杯で…
なのに彼はずっと覚えててくれたんだな…
と思ったら、ちょぴっと泣いてしまった。

そんな私を見て、「バシてんてー、嬉しくないの?悲しいの?」と言う。

「ううん、嬉しくても涙が出るんだよ。〇〇くんの背が伸びて、元気な姿を見たら先生嬉しくなっちゃった」と言う私。
「ふーん、そっかぁ」と言う彼。

入って来た時より背が伸びて、顔つきも大人っぽくなって、靴も1人で履けるようになった彼は、私が元いた放デイの職員と一緒に帰って行った。
私の事が見えなくなるまで手を振り続ける彼は、やっぱりまだ大きく見えるランドセルと、図書室で借りた本の入っているバッグと水筒を自分で持って。
1度も「あ、蟻がいる」とか言って、座り込むことなく。

しっかりお兄さんになった彼を見て、やっぱり私は間違っていなかったかな?って少し思えた。




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