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第82回 国語教育全国大会を研究要項で自学する④(2019年11月10日)

 毎年参加している日本国語教育学会の夏の全国大会ですが、今年は仕事の都合で参加できませんでした。
 残念に思っていたところ、毎年一緒に参加している友人が、研究要項を貸してくれました。公開授業やワークショップはもちろんその場にいないとなりませんが、基調提案とそれを受けてどのような実践報告等がなされているかを分析することはできると思いました。
 そこで、今回からしばらく、大会の研究要項を自分で読んでいきたいと思って始めた連載の第4回目です。第1回目から第3回目は以下をクリックしてご覧下さい。

 国語科の学習活動は「言語活動」を通じて行われるため、「言語活動の充実」には学習者が本気になって活動する「場」の充実が欠かせないこと、普遍的な「場」の存在はないとしても、それを自覚したうえで、地域や学習者の実態に即した国語単元学習は常に開発され、実践報告されてきていることを、鳴島甫先生は基調講演でお話しされています。そして、国語単元学習は、これまでの実績からしても、時代の要請に十分にこたえうるという認識を示されています。

 そこで、本ブログでは今回、今年の大会での小学校の公開授業である「単元名 漢字遊び計画を立てよう」(四年生)について分析してみました。

◯年間帯単元「最高漢字学年を楽しもう」/A「お気に入り漢字カードを交流しよう」/B「漢字遊び計画を立てよう」
東京都・西東京市立田無小学校 秦 美穂先生

①授業者の「一定数の児童は漢字に興味が持てず、積極的に使わず、学習効果があまり高まらない」という問題意識、つまりは授業づくりの原点が明確である。(学会理事・今村久二先生の「授業趣旨説明」によると、漢字学習は「中学年がつまづきの時期、特に四年生での大きな抵抗が特徴」とあった)。

②年間を通した帯単元を土台とし、その上に成る二つの単元(A単元・B単元)を交差させた一単位時間の構成は、帯単元での取り組みによって漢字の日常指導の必要性を重視しつつ、一時間を用いた二つの単元を導入で漢字への興味・関心を授業者側が意図する一つの方向にまとめる効果が期待される。

③児童たちが、授業を通じて「漢字のよさや特質を体感」して、表語文字としての漢字のあり方にまで考えが及ぶことで、語彙学習への可能性を開く取り組みとなりうる。

 帯単元は、授業の冒頭などで5分なり10分なりの時間を取って一定のテーマを年間を通じて扱うもので、漢字・語彙や文学史などで活用すると効果的であるとかねてより私も考えています。
 また、私がこれまでしてみたいと思って実現できていないアイデアがあり、それは、漢和辞典を用いていろいろな漢字の成り立ちや用法を調べさせるというものです。自分の氏名などはきっと好奇心を持って辞書を引き、多くの情報を得て、周囲の人にも伝えたいと子どもたちが目を輝かす姿をいつも思い浮かべています。

 漢字の指導には常に頭を悩ませています。いずれの校種の先生も同じではないかと思っています。ゆえにこの公開授業は、多くの先生方にヒントを与え、勇気付けてくれたのではないかと思います。(つづく)

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