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第82回 国語教育全国大会を研究要項で自学する③(2019年11月4日)

 毎年参加している日本国語教育学会の夏の全国大会ですが、今年は仕事の都合で参加できませんでした。
 残念に思っていたところ、毎年一緒に参加している友人が、研究要項を貸してくれました。公開授業やワークショップはもちろんその場にいないとなりませんが、基調提案とそれを受けてどのような実践報告等がなされているかを分析することはできると思いました。
 そこで、今回からしばらく、大会の研究要項を自分で読んでいきたいと思って始めた連載の第3回目です。第1回目と第2回目は以下をクリックしてご覧下さい。

 国語科の「言葉による見方・考え方」とは、「自分の思いや考えを深めるため、対象と言葉、言葉と言葉の関係を、言葉の意味、働き、使い方等に着目して捉え、その関係性を問い直して意味付けること」であるため、「事物、経験、思い、考え等を言葉で理解したり表現したりする際には、対象と言葉、言葉と言葉の関係を、創造的・論理的思考、感性・情緒、他者とのコミュニケーション の側面から、言葉の意味、働き、使い方等に着目して捉え、その関係性を問い直して意味付けるといったことが行われており、そのことを通して、自分の思いや考えを形成し深めること」という“言葉の役割”を十分に理解した「言語活動」が国語教育の場では重要になることについて前回は触れて終わりました。

 鳴島先生は基調提案の最後で、以下に示した、答申の一部分を引用しています。

〇国語科においては、こうした学習活動は言葉による記録、要約、説明、論述、話合いの言語活動を通じて行われる必要がある。したがって、国語科で育成を目指す資質・ 能力の向上を図るためには、資質・能力が働く一連の学習過程をスパイラルに繰り返す とともに、一つ一つの学習活動において資質・能力の育成に応じた言語活動を充実することが重要である。(127ページ)

 国語科の学習活動は「言語活動」を通じて行うことになっていることの確認です。そして、こう述べられます。

 そこでの「言語活動の充実」を図るためには、学習者が本気になって活動する「場」の充実が欠かせない。そういう「場」を国語単元学習では「実の場」と呼んできた。しかし、いつ、どこでも通用する「実の場」などというものは存在しない。それを自覚したうえで、地域や学習者の実態に即した国語単元学習は常に開発され、実践報告されてきている。今年度は、「言葉による見方・考え方」焦点が絞られているが、国語単元学習はこれまでの実績からしてもこれに十分対応できるものを持っている。

 今年の大会での小学校の公開授業は「単元名 漢字遊び計画を立てよう」、中学校の公開授業は単元名「言葉を見つめ、今改めて問う――われらこそ水戸の初花――」でした。折しも、全国大会を特集した『月刊国語教育研究』も送られてきました。
 「言語活動の充実」のための活動の「場」として、どのような模索がなされているのか、次回以降、何回かを費やして分析してみたいと思います。(つづく)


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