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敬語指導Q&A〔廃刊メルマガ記事より〕(2013年2月27日)※2020年5月16日改筆

 後輩の先生からの質問です。


【Q】国語表現のテストで、生徒の記した敬語が正しいのか正しくないのか採点に困ってしまいました。何か基準はありますか。

【A】敬語…難しいですよね。私もいつも悩みます。ただ、基本的なラインを示してあげないと、子どもたちは混乱するばかりです。


 では、後輩にはどう指導・助言したのか…。
 
 正解(と言うのかな?)→ 敬語について一緒に調べて、採点の基準をどこに置くのかを考えて決めました。

 文部科学省HP「平成18年度版 文部科学白書」コラムの18番「文化審議会「敬語の指針」(答申)について」と、そちらでも示されている文化庁の答申全文(「敬語おもしろ相談室」内の「敬語の指針(PDF)」)を参照して、後輩とは一緒に答案の解答を検討して、生徒たちが記した敬語の是非を判定しました(もちろん、その経緯は子どもたちに説明します)。

*文部科学省HP「平成18年度版 文部科学白書」コラムの18番「文化審議会「敬語の指針」(答申)について」


*「敬語の指針(PDF)」https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/pdf/keigo_tosin.pdf

 現在、「敬語おもしろ相談室」内での「敬語の指針」(PDF)掲載はなくなっていましたが、ページがグレードアップしていました。

※YouTube動画も存在しました!


 古文の現代語訳でも時々、その敬語表現でいいのかと迷います。古文での敬語の現代語訳の取り組みについてはまた別の機会に譲りたいと思いますが、敬語表現の指導ではいつも、言葉は生き物であることを痛感します。
例えば、答申でもとり上げられている新しい敬語(コンビニなどでマニュアル化されていると思われる、ちょっと違和感を覚えるような敬語)を認めるか認めないかといった判断は、授業で生徒と一緒に考えてみてもいいと思います。敬語とはどういう言語表現であるのかを、子どもたち自身が自覚するきっかけにもなると考えるからです。
 
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 上記Q&Aに関する参考書を以下に紹介します。

①尾崎善光(国立国語研究所 主任研究員)『しくみで学ぶ! 正しい敬語』(ぎょうせい/2009年8月)
 メルマガで紹介した、文部科学省の「文化審議会「敬語の指針」(答申)について」と、文化庁の答申全文(「敬語の答申」)の説明だけではよくわからない…という時に使っています。敬語で誤りやすい点、混乱しやすい点を焦点とし、用例やデータを用いて敬語運用のルールがわかりやすく説明されています。
 また、「言う」「行く」「来る」「居る」「する(為る)」「見る」「聞く・聴く」といった40個の動詞について、尊敬語・謙譲語のヴァリエーションを一覧表にした「第3章 練習問題 -40の動詞を敬語に変換!-」は便利、かつ、敬語の形式を学ぶためによく工夫をされたものだと思います。


②監修=川本信幹/文=須永哲矢/絵=角愼作『日本語検定 これならわかる 図解日本語 超入門用』(東京書籍/2008年9月)
 こちらは、東京書籍が主催している「日本語検定」用のテキストでもありますが、敬語の形式をイラストや図で示してあり、「超入門」という性質上からも、初学者の学習教材作りのヒントにもなる内容です。「敬語」の項目のほか、「文法」(陳述の副詞など)と「いろいろな言葉」(類義語や対義語など言葉同士の関係など)も興味深いです。


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