仕事に対する姿勢を看護学生さんから学んだ話

今日はBLS講習に行ってきました。薬剤師がBLSとか意識高い系の極みかもしれません。
まぁ俺なんてのは、資格取得とテキスト収集が趣味の「意識高い系」だ。形から入るのも悪くないでしょう?たまたまそこに止まってしまっただけなんですよ。

勤務先で年に1回BLS講習があるのですが、それはただ人形に心マするだけの、1人あたりで割ると5分もあるかないかの講習です。
それでいて、院内講習をやってるからには、いざというとき動けないとカッコ悪いし後輩に示しがつかないという地獄。
いつかはちゃんと勉強せねばと思っていたところでした。
そこで、抱えてた仕事がひと段落したので外部のちゃんとしたBLS講習(ACLS協会主催)を今日受けに行ってきたところなのです。

会場は地元の市役所からほど近いところ。
私を含め4名の参加で、私のほかには看護師さん1人と看護学生さん2人でした。
 
看護学生さんの2人は休憩時間中も熱心に練習してるし、もっとやらせて下さい教えてくださいという感じ。
ほんとすげぇ…。
こんなのどうせ全員合格するんだしまーいーだろとか思ってた私は猛省だ。

そういえばこの講習、参加費16800円するんだよな…。
学生に16800円はきつくないか?
学生でない俺だってきついよ。
16800円出して、自分の時間を半日つぶして講習を受けにきてるわけだ。
いや、時間をつぶしてって表現がそもそも所詮意識高い「系」にすぎない俺の考えなわけだが。

俺も学生のころ、そういう時期があったかもしれないなと過去に思いを馳せた。
座学は嫌いだったけど、少しでも患者さんのためになることを身につけたいという思いはあったかもしれない。
かもしれないってのは遠い昔の話なもんで、もう記憶も朧げなんだ。

講習のあいだ、学生さんたちを見てるとすごく一生懸命なんだよね。俺、仕事に対する一生懸命さが足りてねーわと猛省した。
確かに、社会人としてそれなりに仕事を続け、任される仕事はいろいろ増えてきた。
全部が全部、全力投球したら身がもたない。
俺だって気分転換の時間とか、ぼけーっとただ頭使わない単純ゲーをやるだけの時間も欲しい。
そしてなかには、明らかにやったテイが必要なだけのしょーもない仕事もある。
だけど最近、しょーもない仕事だけでなくて全ての仕事が「やっつけ」になっているのも否めない。

なんだか危機感が薄れてしまってる。
学生のころや新卒のころは、一つの凡ミスで患者さんが死ぬと脅され、危機感をもって仕事をしていた。
それが経験を積むにつれ、よっぽど相当のことがないと患者さんが死ぬレベルのことは起きないし、そして万が一起きてしまっても私一人で十字架を背負うわけではなく、管理者責任で病院や役職者も道連れじゃないけど、一緒に背負う人がいるというのもわかってきた。

この仕事は、一人で背負い込むと考えるとあまりにも重すぎる。
就職して数年、いつしか「手取り20万そこそこでそんなリスキーなことをやらされてたまるか!」という思いも生まれる。
どうせ責任も取れないんだし、提案なんてしても仕方ないと思った時期もある。
実際その思いは、「根拠に乏しい提案は(ターミナルとか在宅医療みたいな個別色の濃い場合を除いて)やめておこう」という形で今も残っているが、バランスが取れた思考(と自分では思ってるが)にたどり着くためには必要な過程だったのかもいれない。

本題に戻すと、私自身も抱える仕事が増え、それを言い訳に日々「やっつけ仕事」になってしまっている。
学生さんのBLSの手技を学ぼうとする意欲に触れて、普段の自分自身の仕事を振り返る良い機会になりました。
本当にやっつけで良いような仕事もあるけど、ちゃんとやったほうが良い仕事はちゃんとやるべきだよね!反省した。

そして自腹で2万円弱を払ってBLS講習を受けるような学生さんはぜひウチに欲しい。
ウチみたいなマイナー病院にはもったいないけど、こういう人たちと仕事できたら俺は幸せだし毎日刺激になって楽しいだろうなって思う。
それは単に、自腹で勉強してくれるからコストかからなくて良いわーって話じゃなくて、まず1つは知識や技術を得ることに対する貪欲さです。
それだけお小遣いを使ってでもスキルを身につけたいとう意欲。
これがとてもご立派で、有り難い。

そしてもう1つはそこでBLSを選んだというセンスです。
実態がよくわからない自己啓発セミナーや資格商法的な資格など、ちょっと高いお金を払ってでも成長したいと思っている人間を食い物にするビジネスが確かに存在します。
そういうのにひっかからない、定評のあるAHA準拠のBLS講習を選ぶという選択眼。これもすごくセンス良いです。

どうやったらこういうふうに育つのか。
どうやったらこういう人がバリバリ実力を発揮して活躍できる組織が作れるのか。
どうやったら俺もこうなれるのか。
肝心のBLSの手技も大事だけど、こういう方面で大変勉強になったし反省させらました。

そして私が今の職場に居続けたらいずれ部門長となる可能性が見込まれるなか、いざ私が部署のリーダーとなった日に周囲にどういうフィードバックをしてどうモチベーションを保ってもらうか、今後何年にもわたって考え続けねばならないテーマをいただいた一日でした。

コース自体は半日で終わりましたが、そのあとの一人反省会が終わり見えない形で、さっきから自問自答を繰り返しています。


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