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ぱんでみっく♡

セクシーだがスピリチュアルになってしまうというラスプーチン病(RSP-21)が蔓延している。感染した人はフェロモン異常によってとてもセクシーになるのだが、あらゆることをおまじないや占いで決めなくては落ち着かなくなり、やがては事件や事故に巻き込まれるか、発狂してしまうという奇病だ。

明確な予防方法は解明されていないが、おでこに不二家のペコちゃんシールを貼ればいいという噂が広まり、それが定着してしまった。人々は外出の際に必ずおでこペコちゃんマークを貼る。効果は疑問だが、そんなことは関係なかった。

だって、みんなしてるから。

不二家は、ぺこちゃんは単なるキャラクターであり、伝染病を防ぐ効果はないと主張するが暴走した群衆には関係ないらしい。もはやおでこにペコちゃんを貼ることは、自分は感染拡大を防いでいるということをアピールする意味合いでの単なるポーズ、医学的な根拠の乏しい免罪符に過ぎなかった。

たとえスピリチュアルでもセクシーになりたいという若者が敢えて感染するという事件が頻発した。占いのラッキーカラーが黄色だったのでバナナ以外食べられなくなり、発狂して死亡した。また、おまじないで南の方角に幸せがあると言われ、ひたすら南進し東京湾に落ちて死んだ。意中の人に思いが通じると言われて反町隆史にファンレターを出し続け、陰毛と婚姻届を送りつけたところでストーカー行為によって逮捕、獄中死した。

感染者の数がメディアで放送され、交通事故のように交番にその数が掲げられるようになったが、その途端、人々は興味を失った。興味を失った途端、その病気が話題になることはなくなり、話題にならなくなった時点でそれはもう存在しないかのようだった。そもそも酒や煙草に明け暮れているのに、ラスプーチンだけを恐れているという滑稽さに気付いたというのもあった。再び平和が訪れたが、今度はチンポコみたいな髪型になってしまうジョンウン病(NKR-69)が猛威を振るい始めていた。疫病との闘い、というよりは、人間の滑稽さは永遠に続く。


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