妹のいる長女

ダリ好きの彼女、私の生き甲斐は｢恋愛｣で、ただそのためだけに生きていると断言するその潔さに惚れてしまったが最後、言い寄る男達を弄んでは同時に僕を悩ませたのだが、そんな彼女は｢妹のいる長女｣、僕はこれまで｢兄のいる長女｣としか付き合ったことがないので、それはそれで新鮮だったが、やがてそんな彼女と別れてしまうと、今度はマグリット好きの女性と知り合い、しかしそんな彼女も｢妹のいる長女｣、自由意志が存在するとして未来予測は可能かという難問に悩み続けていて、古典的な物理学だと全てのことは最初から決まっていて私達はそれを再生しているに過ぎない、あらゆる運動は法則に従い原因と結果の連鎖に掠め取られてしまう、私が昨日ハイヒールで転んだことは私の両親が結婚する前から決まっていたと泣きじゃくったかと思うと、そんなことはない、人間には自由意志があり、将来のことなど決まっていないと希望に満ち溢れるのだが、次の瞬間、そうするとAIも将来予測も原理的に不可能になってしまう、だって、決まってないことは予測できないじゃないのと結局涙を流し絶望に暮れてから、でも、今、こうして悩んでいる私というのは確実にここにいる、それだけは確かだ、存在は本質に先行するとペヤングにお湯を入れて豪快に啜り始め、別に死に至る病じゃあるまいしと月を眺めているので、絵画好きで｢妹のいる長女｣は色々とムズカシイなと思いました。