浴衣(1)

 大きな花火が頭上で弾けるのを見て、ボーイズは大興奮だった。「野外フェスで演奏して最後にこんな花火上がったらサイコーだろうな」「うわ、ストーンズみたい!」
「ねぇ、明日もまだオフでここに泊まるんでしょ?僕もお祭り行きたいよう!」とリッキーが鼻を鳴らした。
「ギターのお兄さん達ばっかりズルいよ」
ギターのお兄さんこと俺たちは顔を見合せ「…だって〜」「どうする?」
「早い時間から行けばいいんじゃない?」
「楽しかったから皆で行こうよぉ」とスティーヴがニコニコしている。
「サヴはどうする?」とジョーが訊くと
「…俺、人の多いとこはあんまり…んー…でも、皆で行くならいいか😌」そう来なくっちゃ!
「お前結構行きたいって顔してるぞ」とジョーが言うと
サヴは「行くけどさ。この浴衣、寝間着なんでしょ?もうちょっとまともなの無いのかな。…ちょっとフロントにきいてみるか」…「ハロウ?……」

「じゃあ、俺たち寝間着で出てったってこと?知らないって恐ろしいねぇ」俺たちは顔を見合わせ、同時に吹き出した。
「…訊いてみるもんだな。お散歩用の浴衣、各種サイズありますってさ!日本の人とサイズ合わないけど大丈夫かって言ったら、ちゃんと俺たち用のサイズもあるって!」
ワァオ!「人気があるから予約はお早めにって言われた。試着させてくれるそうだから、明日お昼食べたら皆で行こうぜ!」
「わぁ、本物のユカタガウン、着てみたかったんだよ!すっげぇ楽しみ!サヴありがとう!」大はしゃぎのリッキーにつられてみんな笑顔になった。
「お楽しみの明日に備えて、そろそろ寝ようか」ジョーが立ち上がった。「ありがとな、サヴ」
「…何が?…俺は自分がやりたいようにやってるだけだよ」サヴは小声で囁き返し、パチンと音が出そうなウインクをした。
……時々、こいつにはかなわないと思うんだよな。クスッと笑ったジョーの頬には、いつものエクボが出来ていた。

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