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「別居中・離婚前のひとり親家庭」への緊急支援・全国調査を実施 すべてのひとり親家庭が児童手当を受け取れるよう提言を開始!

新型コロナウイルスの影響により、ひとり親家庭は引き続き苦しい状況におかれています。
しんぐるまざあず・ふぉーらむが今年9月に実施したひとり親家庭へのアンケートによると、引き続き経済的に苦しい状況にあると回答した方が70%おりました

プロサッカー選手・長友佑都による「#ひとり親をみんなで支えよう」プロジェクトの活動を通して、私たちにはさまざまな公的支援から漏れてしまっている多様なひとり親家庭からの悲痛な声が日々届いています。そこで、ひとり親家庭の中でも、特に厳しい状況におかれている別居中・離婚前で子どもと同居している実質的なひとり親家庭への緊急支援を実施。あわせて、こうした家庭の生活実態・公的支援の利用状況、必要な支援策を明らかにすべく全国調査を実施しました。

その結果、子どもと同居している方の親に支払われるはずの児童手当さえ受け取ることができていない「ノーセーフティネットひとり親家庭」の存在が明らかになりました。2020年11月11日、「ノーセーフティネットひとり親家庭を救え!」と題した記者会見を厚生労働省にて開催し、調査結果を発表しました。ひとり親家庭が多大な苦労をせずとも児童手当を受け取ることができるよう、本プロジェクトの発起人である長友佑都も提言の賛同人となり、行政に働きかけています。

ノーセーフティネットひとり親家庭とは

別居中・離婚前で、子どもと同居していながら児童手当をはじめとしたセーフティネットを剥奪され、精神的、経済的、社会的に追い詰められた状況にいるひとり親家庭です。
今回私たちは、様々な理由で別居中で離婚できず、かつ子どもと同居しているにも関わらず、子どもと同居している方の親に支払われるはずの児童手当を受け取ることができていない実質ひとり親家庭の課題を取り上げました。

【別居中・離婚前のひとり親家庭アンケート調査 概要】
・実施期間:2020年9月10日(木)~9月23日(金)
・実施方法:Questant(マクロミル)を利用したWebアンケート
・対象世帯:別居中・離婚前のひとり親
・有効回答数:262
・実施者:「別居中・離婚前のひとり親家庭」実態調査プロジェクトチーム(事務局:認定NPO法人フローレンス)
認定NPO法人しんぐるまざぁず・ふぉーらむ 理事長 赤石千衣子
シングルペアレント101 代表 田中志保
認定NPO法人フローレンス 代表理事 駒崎弘樹
福井県立大学 名誉教授 北明美
※端数処理の影響で、紙面上の数字の合計が100%にならない場合もあります

アンケート結果はこちらからご覧いただけます。

アンケート結果サマリ

● 厚労省調査の「母子世帯」の就労年収200万円未満の割合58.1%に対し、本調査対象者は71.8%と経済的により困窮している層である(N=262)

別居中・離婚前のひとり親家庭では年収200万円未満と回答した方が7割超。厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」における「母子世帯」の就労年収200万円未満の割合58.1%を大きく上回る数値となりました。「収入がゼロになってしまった」「子どもの体重が大幅に減少してしまっていて不安である」との声が寄せられました。

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●公的には離婚していないが実質的な「ひとり親」状態が年単位で長期化している家庭が6割いた(N=262)

7割以上に離婚意志があり、6割以上の方が1年以上別居状態が続いていると回答。長い方では11年以上別居状態の方もいました。「コロナで業務が増え、負担も増えたのに、調停のストレスと相手のいやがらせでPTSDがひどくなり鬱になり働けなくなってしまった」「いつまでこの苗字を名乗らないとならないのか、いつになったら本当にシングルマザーになれるのか」といった悲痛な声が寄せられています。

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●約7割が相手からのDVを経験。身体的なDVだけでなく、9割は精神的なDVを経験しており、経済的・性的暴力も複合的に受けていることがわかった

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アンケート結果から見えてきた「別居中・離婚前のひとり親家庭」の課題

【利用できるはずの公的な手当・制度を利用できていない】
・中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方に支払われる「児童手当」は、父母が離婚協議中などにより別居している場合は、児童と同居している方に優先的に支給されることになっているが、別居中・離婚前のひとり親家庭の18.1%では「子どもと別居中の相手が児童手当を受け取っている」

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・児童手当の受給者変更できることを知らない人が約4割で、制度の運用・周知に課題がある

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・窓口で言われた不受理の理由は「別居の相手(現在の受給者)が住民票上の世帯主になっている」「こどもが別居中の相手の健康保険等の扶養家族であるため」という声が挙がっており、別居中の相手と生計同一でないことの証明が難しいために、同居親優先の原則が適用されていない可能性=制度の運用に課題がある

【別居中・離婚前のひとり親家庭は社会的に孤立している】
・こどもの学校関係者へ実質的にひとり親となっている状況を打ち明けられてない家庭が約6割で、職場の人に伝えられていない家庭も多い
・現在の悩みは「家計に関すること」が8割以上。悩みや困りごとがあっても、行政や専門機関等に相談していない家庭が約6割で、理由が「相談しても解決しないと思う・解決しなかった」「相談しても支援を受けられないと思う」と相談する前にあきらめているケースも多い
・一度相談してみたが「離婚していないので助けられない」という対応を1度でもされた経験が、相談することへの”あきらめ”につながっている可能性がある
・「制度の利用なし・利用している制度がわからない」世帯が41.6%で最多。家庭への支援の案内に課題がある

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【新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、別居中・離婚前のひとり親家庭の生活は苦しくなっている】
・コロナの影響で「生活が苦しくなった」実感のある家庭は7割、直近3ヶ月の収入が15万円未満が約7割(うち無収入は2割)と経済的な困窮が深まっている
・現在、生活や子育てに困ったときに相談できる人、何かあったときに手助けしてもらえる人が明確にいないと約5割が回答。コロナの緊急対策でも対象外になったことなどを受けて、さらに孤立化が進んでいる傾向が伺える

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<ノーセーフティネットひとり親家庭の声>

当事者Aさんのコメント
「不安で弱っている、また生活を立て直さなければならない状況、子どもたちと生きていく決意の中、児童手当という制度は心強く、生活スタートには欠かせないはずです。ひとり親になり子どもを育てていくシングルマザーの支えになるはずです。住民票、世帯主の観点だけでなく、現場へ、駆け込んできたシングルマザーの状況、生の声を聞いて欲しいとお願いしたいです。」
当事者Bさんのコメント
「私たちは離婚はしていませんが、実質、ひとり親です。なかなか進まない相手との離婚手続きをなんとか解決したいと思いながら、必死で仕事をし、子どもたちを育てています。どうか、いまだに児童手当を受け取ることができない親子のために、皆さまのお力を貸してください。」

<ひとり親支援プロジェクト「#ひとり親をみんなで支えよう」概要>

ひとり親家庭の約半数は貧困状態にあり、20代のシングルマザーに限れば約8割にものぼります。非常に厳しい状況にもかかわらず、新型コロナウイルスによる影響で更に状況は深刻になっています。現場で支援を続ける私たちのもとには、収入が減り生活が困窮する家庭の声が日々届いています。

そんな状況を知り自身もひとり親家庭で育った長友佑都選手が、ひとり親家庭を支えるためにプロジェクトを立ち上げました。クラウドファンディングで資金を集め、国内の親子領域の課題解決実績をもつ認定NPO法人フローレンスを協働パートナーにひとり親家庭に直接支援を、さらにはひとり親家庭の全国ネットワーク、全国の団体を通じてひとり親家庭や経済的に困窮する家庭を支えます。

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<ひとり親支援プロジェクト「#ひとり親をみんなで支えよう」プロジェクトメンバー>

・長友佑都 (33)
愛媛県出身
プロサッカー選手。オリンピック・マルセイユ所属。2013年アジアサッカー連盟から国際最優秀選手賞に選出。日本代表としても活躍し、ワールドカップ3大会連続出場、アジアカップ3大会連続出場などの実績を持つ。自身がひとり親家庭で育った経験から、今回のひとり親支援を目的としたクラウドファンディングの立ち上げに至る。
・認定NPO法人フローレンスhttps://florence.or.jp/
現在所属スタッフ650名規模・国内有数の認定NPO法人です。安価な病児保育の提供などを通じたひとり親家庭の支援は12年の実績があります。困窮世帯に食品を宅配してアウトリーチを行う支援活動モデルである「こども宅食」の運営と、このモデルを日本全国に普及させる中間支援組織である「こども宅食応援団」の事務局を運営しています。

ひとり親支援プロジェクト「#ひとり親をみんなで支えよう」特設サイト


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