表現力の貧困 東大寺乱

現代の日本に表現力が貧困だという印象があるのは、現在表現されているものの質に対して不満があるからでしょう。身近な例をあげればテレビのアナウンサーや解説者の言葉遣いや身振りに、明晰さと豊かな演出が乏しいという印象があるし、その表情も硬直していて全く魅力がない。デパートに陳列された家具や衣類も、まるで人間の感覚や知性を侮辱するようなものが群をなし、「グッドデザイン」といった宣伝文句がうつろに反復されているに過ぎない。

東大寺乱[2000]『美学大全 表現者の美意識』(沖積舎)

著者の東大寺乱については、『詩人・東大寺乱の物語』をご覧ください!