アスファルトのSDGs
アスファルトには「天然アスファルト」と「石油アスファルト」があり、天然のアスファルトはギリシャ時代から建築用の接着剤として使われていました。
現代社会で道路の舗装等に使われているのは「石油アスファルト」(以下、アスファルト)です。アスファルトは、原油からガソリンと軽油と重油を取り除いて製造されます。
アスファルトは、世界的な気候変動対策で石油の消費量が2050に年に向かって半減していく中で、社会の需要に対しての絶対的な供給量が不足することが見込まれています。しかし、アスファルトに代わる有力な素材は現在も見つかっていない状態です。
では、アスファルトの環境負荷について考えてみましょう。
アスファルトの大部分は道路の舗装に使われていますが、2020年9月に科学誌「サイエンス アドヴァンス」でイェール大学が驚きの発表をしました。
ロサンゼルスの大気中に存在する揮発性有機化合物が、かねてより喘息やシックハウス等の健康被害を引き起こしていましたが、長らく発生源を特定できていませんでした。
イェール大学の研究チームによると「道路のアスファルトから揮発性有機化合物が発生しており、特に夏場は気温の上昇により自動車(ガソリン・ディーゼル)よりも多くの量の揮発性有機化合物がアスファルトにより発生しています。
一方でアスファルト業界も、アスファルトの運搬や施工時の環境負荷を下げる努力をしています。
アスファルトは高温で溶かした状態でプラントにより砂や砕石と混ぜられて、トラックで運搬されます。この際に温度が下がってしまうと、アスファルトが固まってしまって道路に敷くことができません。
そこで、アスファルトは温度を維持しつつ運搬するために高温で製造していましたが、この高温が温室効果ガスの排出を増加させていました。
現在は技術開発により30度の低温化を実現した「中温化舗装」により20%程度の温室効果ガス発生が抑制できていると思われます。
またアスファルトのリサイクルも進んでいます。「路上表層再生工法」により、現場で古いアスファルト舗装を削って、プラントから運搬してきた新しいアスファルトと混ぜ合わせて舗装します。
新しいアスファルトの製造と輸送の量を削減し、現場の古いアスファルトをリサイクルする工法です。2012年のデータでは、アスファルトのリサイクル率は99.5%です。
アスファルトは無くてはならない素材ですが、揮発性有機化合物の発生問題と石油由来ではないアスファルトの代替素材開発が待ったなしですね。StaySDGs!!
#sdgs #アスファルト #揮発性有機化合物
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