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調理後の廃油活用SDGs

使用済みの食用油(大豆、菜種、綿実etc...)を回収し、メタノールと化学反応させてディーゼルエンジンで利用できるバイオディーゼル燃料(以下、BDF)にリサイクルすることができます。

このBDFの主なメリットとしては
⑴  改造無しに一般的なディーゼルエンジンの燃料として利用可能
⑵ 植物油はカーボンニュートラルなので二酸化炭素の排出量を削減できる
⑶ 廃油からBDFへのリサイクル効率が高い(概ね95%以上)

デメリットとしては
⑴ 自動車メーカーの動作確認がされていない燃料のため、メーカー保証が受けられなくなる
⑵ 排気ガス規制をクリアするための浄化装置に不具合が起こる場合がある
⑶揮発油等品格法により軽油にBDFを5%以下しか添加できない

BDFの製造価格としては約109円/ℓ なので、現在の様に軽油価格が148円/ℓとなっている状況ではコストメリットも大きいです。

日本国内では、1997年に採択された「気候変動枠組条約に関する京都議定書」を契機として京都市がBDFの利活用を行なっています。

市内の事業所や家庭から出た廃食用油を回収し、BDFの製造を行い京都市のゴミ収集車や市バスの燃料の一部として利用しています。

令和2年には年間41万ℓのBDFを利用し、1,100トンのCo2削減に成功しています。京都市は深刻な財政難なので、この削減したCo2排出権も売却して財政の健全化に使って欲しいですね。(Co2が1トンあたり14,000円として1,540万円だと焼け石に水ですが)

一方で現在製造し使用しているBDFには問題が発生しています。

気候変動対応のために排気ガス規制が強化されており、デメリットにもあげた様にBDFを利用すると排ガスが正しく浄化できず、その規制をクリアできません。

気候変動対応のための排気ガス規制が、気候変動に対応するためのBDFを排除するという皮肉な構図となっています。

京都市では新たに、「使用済てんぷら油等に高熱を加えて触媒を反応させた燃料に,長期安定性を高めるための水素を添加することにより,軽油の代わりとなりうる燃料を製造できました。」(京都市情報館より)と発表しています。

しかしこの燃料は、リサイクル率がBDFに比べて低く製造コストも高いという問題を抱えており実用化への道のりはまだ遠い様です。

排気ガスの規制とBDFの二酸化炭素削減効果を客観的に検証して、科学的に気候変動に有効な方を推進すれば良いと思いますが経産省と環境省など縦割行政の問題で簡単では無さそうです。StaySDGs!!
#sdgs  #bdf #京都市 #co2

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