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【法律】ステマ規制まとめ(後編)

前回のおさらい

 前回は、ステマ規制の趣旨、検討手順、事業者による表示についてお話させていただきました。できるだけ簡潔にまとめるつもりでしたが、それでもやや長文になってしまいました。

一般消費者から見て広告とわかるか

 事業者による表示にあたることを前提に、それが一般消費者から見てもわかるようにするためには、事業者による表示であることが明瞭に記載されていることが必要とされます。

一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭となっているものについて
⑴ 一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭となっていると認められるためには、一般消費者にとって、表示内容全体から、事業者の表示であることが分かりやすい表示となっている必要がある。
 例えば、以下の場合が考えられる。
ア 「広告」、「宣伝」、「プロモーション」、「PR」といった文言による表示を行う場合。

(注) ただし、これらの文言を使用していたとしても、表示内容全体から一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭となっていると認められない場合もある。

イ 「A社から商品の提供を受けて投稿している」といったような文章による表示を行う場合。

別紙2 「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準より

 SNSの投稿では、よくハッシュタグ(#)が使用されたり、あとは・ SNS プラットフォームの関係性明示機能を使用されている場合もあります(いわゆるブランドコンテンツタグなど)。

こんな感じ

WOMJガイドライン

 なお、消費者庁の運用基準とは別に、一般社団法人クチコミマーケティング協会(WOMJ)のガイドラインがあります。

(WOMJ ガイドライン本文と解説)
https://womj.jp/admin/wp-content/uploads/2023/09/guideline_230901.pdf

 このガイドラインは、景表法よりも厳しい水準で作成されているため、このガイドラインを遵守している限り、景表法も遵守できると考えられています。

 内容的にもなかなか炸裂してまして、かなり細かく記載されてます。例えば、事業者と関係性があるものの表示については、関係性明示を行う必要がありますが、この関係性明示の方法として、

関係性明示は「マーケティング主体」と「関係の内容」の両方を、情報受信者が容易に認識かつ理解 できる方法で示さなければならない。

a 主体の明示 :マーケティング主体の名称(企業名・ブランド名など)を明らかにすること

b 関係内容の明示:マーケティング主体と情報発信者との間に、どのような関係性があるのかを 明らかにすること。
具体的な関係の内容を言葉で説明する他に、「関係タグ」 を使用することもできる。

WOMJ ガイドライン本文と解説

そして、関係性明示の方法として、#(ハッシュタグ)を利用する場合(関係タグと言います。)、

(1)「関係内容の明示」の方法として、次の「関係タグ」の使用を認めます。 関係タグ:#プロモーション、#PR、#宣伝、#広告 ※「#PR」は、パブリックリレーションズと混同のおそれはあるものの現状のクチコミマーケティングの実態に鑑み使用を許容します。

上記以外の関係タグの使用は認めません。 ※「#AD」「#pr」「#Promotion」などの英語表記・小文字表記は推奨しません。

(2)関係タグを用いる場合にもマーケティング主体の明示は別途必要です。
マーケティング主体の明示をハッシュタグで行う場合には、関係タグを先に記載してください。
なお、関係タグとマーケティング主体の名称を組み合わせて一つのハッシュタグにまとめることは認めません。

正しい例: #PR #A 社
正しくない例:#A 社#PR、 #A 社 PR、 #PR A 社

(3)複数のハッシュタグとともに関係タグを用いる場合、関係タグは必ず先頭に記載してください。

(4)関係タグは「#PR」のようなハッシュタグでなく、【PR】のように表記することも認めます。

(5)関係タグを用いずとも、マーケティング主体と情報発信者の具体的な関係の内容を明瞭に記載することも許容します。

WOMJ ガイドライン本文と解説(太字は筆者)

 もう細かすぎて気が狂いそうになります。

 とはいえ、ガイドラインだから、大筋で合ってればそれでええんちゃう?

 自分もそう思ってました。

 しかしながら、このWOMJに加盟してる企業(Dとか)が取引先の場合、このガイドラインに沿った記載を求められることがあります。なので、これが今後業界標準になっていく可能性は十分にあります。

まとめ

 以上、主にSNS投稿を念頭にステマ規制のお話をしてきましたが、動画の場合はどうか、アフィリエイト広告の場合はどうか、ステマ規制は規制施行前の過去の表示まで適用される点など、まだ検討すべき点がたくさんあります。

 また、昨今、広告表示に対する一般消費者の目が厳しくなりつつあることからすると、しばらくの間は表示についてはギリギリを狙っていくより、保守的に考えていくのがよいかもしれません。

 最後に、おすすめの書籍を紹介させていただいて終わります!

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