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『ザ・エレクトリックパレーズ』考〜作品の取扱説明書~

まえがき
2021年1月にこの『ザ・エレクトリックパレーズ』という作品をみて、気持ちが盛り上がり、勢いで記事を書き出し、公開されないまま1年の月日が経ってしまいました。
はじめは気恥ずかしい思いでいて公開をためらっていましたが、時間の経過で自分の作成した記事ではないような気分になってきたので、今回公開することにしました。

ちなみに、当時熱狂的になっていたのは、知人に一部この作品の関係者がいたためでした。

今は冷めちゃってますが。

ニューヨークのテレビでのめざましい活躍は1年前ではあまり考えられなかった気がします。ちょっとうれしい。
そして、「ラフレクラン」は現在「コットン」という名前になっています。
いつの間にか名前が変わってる。

この当時は大学を卒業してから数年しか経っておらず、まだ、卒論の狂気に毒された頭でいて、なぜか論文チックに作成しています。
そうは言っても全く説得力を感じられないのは、大学の4年間をまじめに過ごしていなかったことの証明でもあります。

最近の一時保存した記事を読み返しても、顔が熱くなりバックスペースを連打することも多いですが、昨年の私の文は読めたもんじゃありません。
初めに書いたとおり、今はそれも通り越した境地にいるため、今回公開いたします。

では、ご覧ください。

出典:俯瞰的な自分(2022年1月)

こんにちは

ついに見ました
『ザ・エレクトリックパレーズ』

皆さんはご存知でしょうか
今回はその内容について、語りたい回です。

公開から2ヶ月経って、やっと観終えることができました。

いえ、言い方に語弊があります
2時間の長さに躊躇していましたが、いざ観出したら一瞬でした。

まだ見たことない人が大半だと思います
この投稿のネタバレ寸前(1章)まで読んでみて、興味が湧いたら、是非!、エレパレ観てみてください

そして、、、
なんと、作品には登場してませんが、この話をよく知っている人物が私自身の身の回りにいました。

そんなことで、ちょっと自分事のようになり、ちょっと感情が昂ぶっているので今回こんなものを書きました。

お笑いに詳しいわけではありませんが、お笑いを一つの文化として世間には認知されていると思います。

お笑い芸人の文化的活動が活発化している現代のひとつの参考例として、皆さんに魅力を提示していけたらと思います。

1 この作品について

1-1 要覧


 この作品は、お笑い芸人ニューヨークのYouTubeチャンネルにて、2020年11月6日に公開されたインタビュー形式のドキュメンタリー映画です。

 令和3年1月19日現在、既に85万回もの再生をされ、レイザーラモンRG、コロコロチキンペッパーナダルをはじめ、多くの芸人が話題に取り上げお笑い界隈を賑わせています。

 今後映画祭への出品も予定され、今後さらなる飛躍が期待されるコンテンツです。

1-2 梗概

 2011年の東京NSC17期を中心として展開される、人間ドラマ。

 決して東京○ィズニー○ンドのあのパレードのことではないです。
 元ネタはそのパレードです。

 そして、題名は「ジ」ではなく「ザ」だし、「ド」じゃなくて「ズ」です!

 東京NSC17期に発生したエレパレと言われる芸人グループについて、当時のその実態を知る人々がそれぞれの立場から回想し、「どうしてエレパレは発生したのか」「その中心には誰がいるのか」、、、、、とある結論に向かって展開されていきます。

1-3 17期メンバーについて

 この映画の主題であるエレパレ騒動があってか?お笑い好き以外にはあまり知られてない芸人が多い東京NSC17期。
 ニューヨークの話では生徒は500とも600人とも語られていました。
 8クラスまであったようですね
 主に有名な芸人及び映画の出演者は以下の通りです。(個人的に有名だと思う人々)

・空気階段
・オズワルド
・ガーリィレコード
・ラフレクラン
・侍スライス
       など、、、、
 
 このほかにも出演者はいますし、
上に挙げた人がエレパレという訳でもありません。

 コロチキのナダルも言ってましたが、そんな中で人気が出るのはホントにひと握りなんですよね
能力だけでなく運も必要なのかもしれません。

1-4 魅力

 まだ見てない人のために、見たくなるように程よく内容を載せつつ紹介します。

 題材自体はすごい面白いものでもないし、イジり方もかなり相手を嘲笑する汚いイジリであり、見せ方次第ではとても印象の悪い内容になりかねないと思いました。
 
 ただ、それを埋もれさせないのが作家の奥田さんの能力です。

 今回約10年も前のことをわざわざ掘り返すのには、意味があるはずなのです。

 その意図を汲み取ることが、まずひとつの面白さです。

 そして、それを自分に当てはめることができる作品であります。どこかに所属する社会性を持った人間という存在、自分のヒエラルキーをどうしても意識してしまうのが人間です。
 そうしたマウント思想をかき混ぜる構成にさらなる面白さはあります。

 最終的なオチも全体の内容を上手にまとめ上げ、人を乏しめるだけじゃない面白さがあると私は思います。

 私自身の実体験で言えば大学入学当初に、同じ科の中で発生したグループに良く似ていることが、共感と興味の湧水点でした。
 エレパレと同じようにTシャツを作成し、体育館を占領してバレーをし、仲間意識を全面に出す存在。
 私はその中にはいなかったので、どちらかと言えばガーリィレコードや空気階段に近い存在だったでしょうか。

 これは、私だから共感できたわけでなく、およそほとんどの人が経験してきた組織内の「ハミデモノ」の者の物語な訳です。

内容について少し話し過ぎました、、、

詳しい内容はこの後語らせてください。



↓↓↓以下、ネタバレを含みます↓↓↓

2 考察


 
これまでは、内容を振り返りながら作品の前提情報をまとめてみました。
 以下は内容を見ての私の考察、感想となります。

2-1 技術的な流行

 この作品が流行するに至る理由をこのコンテンツの特徴を元に検討していきます。
 まず、この作品には以下の要素を持っています。

ⅰ YouTube上での公開であること
ⅱ お笑い芸人(作家)主導であること
ⅲ ドキュメンタリーであること

大きく3点であると思います。

2-1-1 YouTube上で公開されたこと

 誰もがわかることですが、これはYouTubeにアップロードされた無料のコンテンツです。

 非常に多くの人に見てもらいやすく、間口が広いと言えます。

 また、今YouTubeでは数多くのお笑い芸人がチャンネルを持っており、ナダル、鬼越トマホークなど他の芸人達にも紹介されています。
 やはりお笑いエンタメというのは話術が基本の分野ですから、話題が広がるスピードも速いです。多くの芸人の中で話題になり、レイザーラモンRG、蛙亭などもラジオ等で発信しています。

 ニューヨークは元々好きでチャンネル登録していたのですが、このYouTubeチャンネルは、若手のカリスマであるニューヨークが吉本の若手お笑い芸人を多く紹介しており、その一環で今回のドキュメンタリーが作られたのでしょう。

 スポンサーに左右されないという強みもあります。
 テレビや映画は何かと縛りが多いですが、YouTubeならなんら縛りはありません。
 あえて言えば、吉本興業が承諾しさえすれば自由です。
 若手芸人が自由な発信ができるところが、親近感があり、大学生のような素人感を醸しているのだと思います。

 私は動画の長さから公開から2ヶ月も見ずに放置していたのですが、その間しきりにオススメ動画動画の一覧に載せてきました。
 実際2ヶ月後に見た私は大満足なわけですから、AI技術はすごい。
 
 そうした、YouTubeの特性を追い風に広く認知されるようになったのだと考えます。

2-1-2 お笑い芸人(作家)主導であること

 前項2-1-1でも、述べましたがこの動画はお笑い芸人間での評価が非常に高いです。
 一般人を大きく置き去りにしていると言っても過言ではありません。
 そういった層にもっと興味を持ってもらう事が出来れば、さらにバズる動画となる可能性を秘めた作品であると思います。
 その反面、お笑い芸人、お笑い好きな人の間では、身内のこととして大きく広がることとなりました。
 数多くのお笑い芸人がこのことを話題にしており、毎日のようにYouTubeにも関連動画が、上がっております。

 ニューヨークのチャンネルの他の動画を観ていて思うのは、本当に芸人同士の内輪話の広がり方が速くて、発信の場も多い

 テレビで紹介されるような内容ではありませんが、ラジオの枠を持った芸人は結構多く、その中でサブカル的なこの内容は芸人同士で話題になった結果ラジオで紹介され、YouTubeでオススメされじわじわ広がっている状況です。
 これはお笑い芸人特有の広がり方ではないでしょうか。

 面白いと思うことを自由に表現できる強み(YouTube)を使ってお笑い芸人が自由にやるのだから面白いのです。

 また、自由だから、テレビや映画のように作りがしっかりしていないかというとそうではなく、しっかり作家がついており、作品の構成もしっかりしており、初めはフラフラと内容が揺れつつも、決められたラストに向かってグッと進んでいく様は観ていてとても気持ちが良かった。
 それでいて、コイツを黒幕に持ってきたか!という裏切りと、個々の芸人らしさが作品を飽きさせないと思わされます。

2-1-3 ドキュメンタリーであること

 芸人に求められる能力は、大喜利、コント、漫才等フィクションの面白さだけではなく、フリートークをはじめとするノンフィクション要素も重要であると思います。

 この作品はそのフリートークの寄せ集めの構成になっています。
 だからこそ、それぞれ嘘はつけないし、それぞれの記憶の断片が綺麗に整理された時、全容が見えてくるのが面白いのです。

 ひとりだけではなく多角的に話を持っていく。その中で個々のフリートークが他の人と絶妙にマッチしていくのが面白い。

 ノンフィクションのガチンコさが、多くの人に響くのです。
 エレパレ(多くはラフレクラン)側もその他も美味しいように調理されていて、絶妙なバランス感覚を持っていると思います。

2-2 作品の内容的魅力

 多くの人の共感を得ているのはなぜ?

 最後にこの作品の構成を軽〜く考えていきます。

2-2-1 今こそ、この話題

 間が命のお笑い芸人。
 やはり、タイミングを見計らうのが上手いんです。
 ノンフィクション作品は、イマを切り取って写すと、どうしてもリアルすぎて面白みにかけます。
 「情熱大陸」や「ザ・ノンフィクション」はそのイマを徹底的に取り扱っていて逆に魅力が発生しているのですが、、

 エレパレ事件を取り扱うにあたり、現在ではなく、過去のふんわりしたでも確実にあった出来事であります。

 その意味で、過去になり過ぎず、ニューヨーク側も元エレパレ側もWin-Winな絶妙なタイミングだったと言えます。

2-2-2 誰にも当てはまる

 映画を見て泣くのは、内容を客観的に見て心を動かされる場合だけでなく、自分自身の体験を照らし合わせた実体験に基づいて感動する場合もあるのではないでしょうか。

人間は社会的に生きようと思うとどこかに所属をするものです。 

所属の中身は皆平等とはいかず、組織の中にヒエラルキーが生まれます。
特に学校というのは、同年代の様々なレベルの人が集まる場所なので、グループがいくつも発生します。

エレパレはクラス内で、「お笑い」という分野で少し出来がいいことに気をよくした上位?集団です。

社会人になった今でさえ仕事をバリバリやって目をギラギラさせた女の子をはべらせた人も多くいます。

私の大学の学部の科のなかでは、まさに”エレパレ”のような集団がありました。

大学1年の夏前まだ、大学生になりたてで、皆がひとりぼっちになることを嫌がって群れていたころ。

私の所属していた科は、80人程の科で、それが大学の中では大きい組織なのかどうなのかはわかりません。
教育学部に所属しているため、必修科目に体育がありました。

その中でバレーが好きな人たちが集まった集団が一つできました。
その人たちは、自分たちを”歩くトレンド”、略して”アルトレ”と名乗りだしました。

しかも、お揃いのTシャツを作成し集団意識を高めていました。

本人たちの意識はどうであったかわかりませんが、”アルトレ”以外の男子学生を見下し、敵として認識されていたような気がします。

私は、その集団の外にいる存在でした。
”エレパレ”でいう、鈴木もぐらのような存在ですかね。

本編10分くらいのもぐらの話が本当に、自分の経験そっくりで笑えて来てしまいます。

サンプル1の経験話をしてしまいましたが、皆さんも同じような集団の存在、経験をしたことあるのではないでしょうか。

実体験と重なる部分に面白さを感じることができるのではないでしょうか。

2-2-3 わかりやすい構造

いけいけ集団の「うち」と「そと」に構造を分けて

ニューヨーク、視聴者は、「そと」の立場としてスカッとするというわかりやすい構造も面白さを増幅させていると思います。

3 まとめ

 すこし疲れてしまったので、締めます。

 ・お笑い芸人が
 ・YouTubeという媒体で
 ・自由、でも構成は作りこみ
 ・どこにでもありそうな題材で
 ・ノンフィクションな
 ・ドキュメンタリーを
 ・過去の話として絶妙なタイミングで
 ・ニューヨークというお笑い芸人が取り上げた。

上記の要素がうまく絡み、面白さを増幅させていると考えました。

本当はもっと再生回数が伸びるポテンシャルを持った作品であると思いますが、伸びが爆発しないのは、一般の人すべてに当てはまるわけではないからだと思います。

ちょっと人を馬鹿にするような陰湿な心も持った、お笑い好きな人にははまりますが、少し間口が狭い事が伸びが弱い理由だと思ってます。

この記事を公開することで、少しでも再生数が伸びるとうれしいです。

また、ニューヨークはじめ、ラフレクランや空気階段、オズワルドはとても面白い芸人なので、東京吉本17期がみんな売れてほしいとも思います。


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