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電気風呂とみょうがについて思うこと


電気風呂について

見た目は普通の湯船。
しかし、目に見えないビリビリが浴槽の中で待ち構えている。

近づくのには勇気がいる。
手のひらをぎゅっとにぎり、
徐々に背中を近づける。

なんだ。ビリビリしないじゃないか。
なんて
なめた態度で向き合うと痛い目に遭う。

少し距離を詰めたとたんに
私の背中に飛びついてくるのだ。

みょうがについて

初夏になると姿を見せる。
赤紫色とも緑色とも茶色とも言えないそいつ。

薄くスライスされて味噌汁に忍ばせてあったり
堂々と白い豆腐の上に鎮座している時もある。

ほうれん草のおひたしと混ぜてあると
かつお節に紛れて姿をくらます。

気が付かずに口にすると、独特な苦味が口の中を全支配する。

そういえば

先日、いつものスーパー銭湯で電気風呂に入っていてふと思った。

「あれ、そういえばいつから電気風呂に入れるようになったんだっけ?」

小さい頃は電気風呂の看板を見つけるなり
逃げていた。
ばあちゃんたちが取り合っている理由が全く分からなかった。

それなのに今は真っ先に電気風呂へ直行し、
ビリビリを肩と腰に当てて「くぅーっ!」と声を漏らす。

みょうがも同じだ。
いつから食べられるようになったのだろうか。

料理にみょうがを見つけるなり
父の皿に移動していた。

それなのに今や冷奴に欠かせない存在になっている。
薄くスライスして
めんつゆとかつお節をかけて
それだけで食べるくらい好きだ。


嫌だと思っていたものが好きになったり
その逆もある。
年齢を重ねたからこそ楽しめることがあるのかもしれない。
歳をとるのも悪くないな。
電気風呂の強烈なビリビリをくらいながら
ふと思った。

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