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ユニフォーム

私は音楽と同じくらいファッションが好きだ。ま、音楽とファッションって親和性が高いと思うけど。

自伝とかにも何度か書いたように、子供時代はファッションとまではいかなくても私がちょっとしたお洒落をすることも親は良く思わず、どこからか母が買ってきた/もらってきたダサい服を着ていた。幼稚園時代の写真を見ると、記念写真をはじめ女の子のほとんどはスカートを穿いてるのに私だけズボン。運動会では私は縞模様のシャツを着ている。他の子はほとんど白の運動着なのに。そういうの、本当に嫌だった。みんなと同じがいいのにと思った。
「ミホちゃん、お母さんにスカート買ってもらえないの?」と言われたこともある。

小学校に上がると余計に悪目立ちした。幼稚園では上着と帽子は制服だったのだけど、小学校では上から下まで私服だったし、お洒落に目覚める頃だったからね。何もブランドの服とか流行りの服じゃなくてもいい、従姉のおさがりの普通っぽい服でよかったのにそれは何故か着させてもらえず、タンスに眠ったまま。母が買い物に出かけている間にこっそりそれを取り出して着てはため息をついた。そして変なところでは勘のいい母が
「お前、タンスを勝手にいじっただろう!?」と怒りだす。

中学になって制服というものがありがたくてたまらなかった。個性がないとか何とか言う人もいるけどね、虐待を受けてる子や貧困家庭の子にとっては嬉しく思った子もいるんじゃないかな。

大学に入ってからも親がいちいち干渉してきた。薄い色のリップを塗っただけなのにその口紅は派手だ、お化粧なんてまだ早いとか、そんなシャツ着てる子なんていない、みっともないだとか。私は派手好きなのに本当に辛かったなぁ。友達はバイト代で好きな服を買ってるのに。

19歳の頃、母が奨学金を使い込んで私は退学を余儀なくされた。私が生まれる前から激しい喧嘩を繰り返してた両親だったが、このことが結果的にトリガーになって父は出て行って近くでアパートを借りた。いずれ私と妹を呼び寄せるつもりで。母は子供たちにも出ていかれたらたまらないと思ったのだろう、私を縛ってた数々から解放した。好きな服装をしてもいい、化粧も派手でもいい、泊りで遊びに行ってもいい、煙草を吸ってもいい、など。もう私もやけっぱちだったから、その通りにしたよ。やがて夜の商売も初めて、好きな服を買って着た。

そんなこんなで、それから今まで自分の好きな服を誰がどう思おうが着ている。生まれてからずっと都会で生きてるので多少目立つ格好をしてても多分誰も気にしてない。
あ、父は未だに(もう4年くらい会ってないけど)、私が少しでも派手な格好をしてると
「お前、それヘビメタじゃん」って言う。私が中学生の頃に人気だったテレビ番組でヘビメタ(元祖ヴィジュアル系バンド)がイロモノ扱いされてたから、以来父が派手な人を見ると何でもかんでも「ヘビメタ」と呼ぶようになってしまったという💦

好きな格好を楽しんでいる私だがたまに、イベントやライブに行くときなどは何を着ていいのか悩むときがあって、これを着用しなきゃ入れないって決まり、ドレスコードがあればいいのになって思うこともある。主賓やバンドの次に会場で目立ちたいって気持ちもあるんだけどね。カッコいい人は何を着てもサマになるってのは私はちょっと違うなと思う。まぁ、私がカッコいいかどうかは別として、カッコいい人にはカッコいい服が似合うよ。

私は「ナルシシスト」と名乗って憚らないけど、ナルシシストってのは自分に自信がないから精いっぱい突っ張ってるんだよ。多分。

ヘッダー画像は水仙、ナルキッソス。ギリシャ神話にナルシスという名のナルシシストの少年の話があるでしょう?
数年前に球根を植えたら放置してても毎年勝手に咲いているーーああ、もうすぐ春だ。