24歳の夏
わたしの24歳の夏が、始まって終わった。
1年ぶりの花火大会。
浴衣ではないけれどお気に入りのワンピースを着た。
わたしは花火に特別な感情を抱きすぎていたんだと思う。あの時の幸せが、花火のおかげだと勘違いしていた。
今年も花火はただただ綺麗で、今隣にいる人がにこにこしていて嬉しかった。
胸がいっぱいで焼きそばを食べ切るのが大変なほどだった。
彼を思い出して苦しくなるだろうなと覚悟していたけれど、全然そんなことなかった。思い出さなかった。むしろ幸せだった。夏が始まった気がした。
正直なところ、この数ヶ月はどん底だった。絶望とともに目を覚まし、起きている間はずっとぐるぐるぐるぐる考えて、過去の温もりを追い求めて、毎日毎日泣いていた。
この世にはあたたかい人はたくさんいるのだ。
わたしは自分の居場所を自分で探し出し、作り出すことができるのだ。そうやってきっと生きていけるのだ。
あの花火はわたしに、きらきらした光と、儚い幸せと、少しの希望を与えてくれた。
誰を思い出すでもない花火は、ただただ美しくわたしたちを照らした。どうか終わるなと願ってしまった。思いの外長く打ち上がり、たっぷりサービスをして終わった。
こんなにも素晴らしい夏の思い出ができたのでわたしの今年の夏は終わってもいいくらいだ。いや、嘘だ。もっと今を楽しみたい。まだ夏、終わるな。
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