この世のあらゆるものに神が宿る。 太古より日本人はそう信じてきた。そしていつの頃からか、その信仰は神道と呼ばれるようになった。では日本人にとって神(カミ)とは何か。それは並外れたもの、霊妙なるものを指す。人々がそこに霊妙なるものを感じ取ればそれは神のあらわれとなる。自然物、自然現象、動物、人、人工物、場所や空間、日本人はこの世のあらゆるものに神を感じ、祈りや祭祀の対象としてきた。ありふれた変哲もない物や場所の中にも、そこに宿る並外れた力を、霊妙なる神のはたらきを感じとる。よっ
鬼畜の所業、殺人鬼、食人鬼など、やはり現代において鬼はマイナスのイメージが強い。 だが近代以前の鬼のイメージは、今より遥かに豊潤で複雑であった。 単純な悪などではない。死と破壊をもたらす恐ろしい存在だが、時に人を助ける存在にもなる。鬼は人間社会の倫理や道徳に縛られない強烈な存在であった。そしてそれを可能にする異形の力を持っている。 いずれにせよ日本の精神文化において鬼は不可欠の存在である。日本人にとって鬼とはどういう存在なのか。日本人の精神性にどんな意味を持って来たのか。それ