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23歳新卒入社と、45歳転職中途入社。2人の新入社員を観察し、子育てを考える。

私は金融業で働いています。


昨年4月、私の部署に2人の新人が入社しました。
1人は新卒の23歳の正社員。
もう1人は45歳で、異業種から転職してきた契約社員。
どちらも男性です。
私は45歳契約社員の指導をすることになりました。

同時期に入社した、年代の違う2人を観察する中で、子育てについて深く深ーく考えることがありましたので、記録します。

23歳新卒 A君
・最終学歴は有名国立大学理系
・両親とも音楽に関係するお仕事
・当社の社会的存在価値を生かして、地域活性化   を図りたいという熱意を持って入社。

うちの会社は新卒人気企業ランキングで毎年上位にランクインする企業なので(どこに判断軸を置いて入社を希望するかは置いといて)、そこそこ競争率は高いです。
そのため、新卒入社組は高学歴で優秀であることが多い。
(ちなみに私は26歳で転職し、入社しました。
地方での中途採用は、そこまでハードルか高くありません。)

A君も例外ではなく、超優秀。
やりたいことが明確であるということもあり、一生懸命。
また、いろいろなことに興味を持ち、知らないことは必ず調べて自分のものにしている。
仕事に直結しなくても、周辺知識もどんどん勝手に自ら学ぶ。
そしてZ世代であるため、ITリテラシーも高く、その辺は逆に教えてもらうことも多い。
なーんも教えることない。
よくできた子です。

45歳転職 Bさん
・最終学歴は私立大学卒
・小学校から高校まで野球一筋
・お父様は地方公務員、お母様は専業主婦

新卒で入社した会社を一年で退職し、その後地方公務員に。
結婚後、奥様の実家が経営している中小企業に入社。
じきに専務と言う肩書きをもらうも、名ばかり専務。
決定権も人事権もなく、商工会等の会議やゴルフコンペに参加するだけの要員。
また、お子さん3人に恵まれるも、現在離婚協議中。
義実家が営む会社には居づらくなり退職、その後当社に入社。

結論から言うと、彼は入社5ヶ月で退職しました。
理由は、軽度の鬱。


40代半ばでの転職は相当覚悟がないと難しい。
ましてや未経験の業種。
当社の業務は専門性が高い。
一から学んで習得するには、相当根性がいる。

前職で専務と言う肩書きをもらっていたため、ある程度の雑務は部下がやってくれていたそうです。
しかし、転職してヒラでやっていくとなると、実務は自分がしなければならない。
彼はもともと勉強は好きではないらしく、とにかく読解力や言語化能力がかなり乏しい。
規定を読んでも全く理解できない。
これが致命的でした。
どこまで理解できて、何がわからないのか言語化できないため、分かりませんと繰り返されるだけで、指導する側としてはかなり骨を折りました。

転職するだけでもストレスなのに、家庭がうまくいってないためダブルのストレス。
それにより、過去に診断を受けたことがあったという適応障害が再発し、軽度の鬱状態となり、入社4ヶ月目にして休職となってしまったのです。

この2人を観察しながら、自分の子供をどんなふうに育てれば良いのか、ものすごく考えました。
そして3つの重要ポイントを見つけました。

①自分が何に困っているのか人に伝える練習が重要

コロナ禍となり、オフラインでのコミュニケーションが激減。
日本人特有の空気を読む対面型ではなく、メールやチャットを使って非対面でコミュニケーションを取る機会が増えました。
これは今後も続いていくでしょう。
自分は何に困っていて、どうして欲しいのか、ということを明確に文章や言葉にできないと、適切な助けを出してもらえない。

②文章を読む力をつける

文章を書く力も必要ですが、求められていることを正確に理解する力も不可欠です。
家電の説明書、区や市に出す申請書、保険の補償内容など、ある程度固い内容の文章を理解できないと、誰かが口頭で全て訳してくれるなんて事はありません。
これについては、日々の読書に勝るものはないな、と実感しています。

③うまくいかないことを自分以外のせいにしない

矢印が他人だと、自分がどう改善すればいいのかというところに視点がいかない。
人生って、答えのない問題の繰り返しです。
他人が全てを教えて導いてくれるわけではない。
正解のない問題に向き合い、問題解決のためにできることは何なのか考えることが、すなわち自分の人生を生きていくこととイコールだと思うのです。

ずっと文章を書いたり読んだりすることや、自分の頭で考えることを避け、人に指示してもらい続けて45年生きてきたBさん。
苦手だから、と今まで登らずに逃げてきた壁が、また自分の前に立ちはだかったのです。
どこかでそれを乗り越えなければ、ずっと追いかけられることの繰り返し。
そして今回も、腰を据えて向き合わずに
「僕は力が強いので、力仕事の方が適性があると思います」
と退職しました。
45歳という決して若くはない年齢で、今さら力仕事?とちょっとびっくりしましたが、まぁ私が口を出すことではない。

彼を見ていて、『逃げれば逃げるほど壁は自分の周りそびえ立ち、自分の可動域がどんどん狭くなってしまうのだ』と恐ろしくなりました。

Bさんは、45歳からの人生をどう生きていくのか。
A君は、どんな45歳になるのか。

さぁ、明日も頑張ろう、私。

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