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「赤から」での出来事。わざわざハズレくじを引いてくれた人。


先日、一ヶ月お疲れ様ということで、まいちゃんと「赤から」に行ってきました。普段はあまり外食はしないのだけど、たまにはということで、久しぶりにお腹パンパンまで食べました。

ぼくは赤からに行くのが初めてだったのだけど、美味しかった。でもやっぱり外食は味濃いめなので、たまにでいいなと思いました。量もそんなにたくさん必要ない。たまにだからいいのですね。



さてさて、金曜の夜だった方もあって、少し混んでいたのですね。店先で20分くらい待ちました。地方の店舗ということもあって、都内の人がイメージしている店舗とは異なり、かなり広々としたお店で、入り口も3人がけのソファーが四つほど並んでいました。

感染症対策のためにそれぞれのソファーの真ん中の部分には養生テープでバッテンじるしが付けてあって、座れないようになっていました。

赤からには「くじ引き」のような小さなガチャガチャがあって、一回100円引けます。引いたくじには当たりの場合は品物の名前が書いてあって、無料で注文ができるといったような感じになっています。ハズレの場合は5枚でソフトドリンクと交換できます。

まいちゃんと「へぇ〜おもしろいね」と言いながら、1回やってみることに。ガチャガチャの側には、その隣のソファーで座っている3人組のお客さんがいました。男性2人、女性1人の3人組だったのですが、なにやらキャップを被った30代後半くらいの男性がガチャガチャを引いて当たったらしいのです。

盛り上がっていたので、ついつい「当たったんですか?すごいですね!」と声をかけてしまいました。そうしたらその男性が「そうなんです、3回目ですけどね!笑」と笑いながらお返事してくれました。

「あ、そうなんですねー!やっぱりそんなくらいなんですね!」と店頭に貼ってあるチラシに「5回に1回は当たり」と書いてあったのを思い出して、なんとなく頭の中で計算をして、答えました。

そして、ガチャガチャに100円玉を入れて、ガチャリとまわすと小さなガチャが出てきました。まいちゃんが待っているソファーに戻ってからそのガチャをあけると、なんとも「ハズレ」。あちゃーと思いながら「ハズレちゃいましたー!」と先程の3人組のお客さんにハズレくじを見せたのです。


お互い笑い合いながら、ぼくの方はまいちゃんと「また来たときにやって、5枚集めるか」と話していたんですね。そうしたら、先程のキャップの男性がもう一度ガチャにチャレンジをしていました。ガチャリとまた小さなプラスチックの玉が出てきて、その中からくじの神を取り出すと、なにやら何かが当たった様子。

どうやら「おもちゃ」と交換できる券が当たったようです。よくファミレスの店先にあるような子供向けのおもちゃコーナーがその店舗にもあって、そこから好きなものを選べるようだったのですね。

そうこうしているうちに、店員さんが準備をし出して、その3人組のお客さんの順番を知らせにきました。「◯◯様、どうぞお待たせしました!」そうやって声をかけると、先程のキャップの男性が「これって、ここにあるやつなんでもいいんですか?」と紙を見せて言いました。

「あ、おめでとうございます!はい、なんでも大丈夫ですよ!」と店員さんがいうと、その男性は「これにします!」と小さなベビーカーのようなものを手に取り「実は赤ちゃん産まれたばっかりなんですよ」と嬉しそうに店員さんに話していたのです。


店員さんに促されて席に行こうとすると思いきや、キャップの男性は連れのもう一人の男性に100円を渡すともう一度ガチャをやるようにと催促しました。少しハテナマークを浮かべながらもう一人の男性がガチャをしています。また小さな玉が出てきて、なか身を取り出します。そして、ハズレが出たことを確認すると、手元にあるハズレの券をガサガサとまとめてこちらにやって来ました。

「あの、良かったらこれ、ハズレ4枚あるんで使ってください!」ポカンとするぼくらを見て、笑顔で男性はハズレの券を手渡して来ました。「え、あ、いいんですか?!ありがとうございます!」と驚きながら伝え、そういえばと「それ当たったやつ、赤ちゃん産まれたんですね!おめでとうございます!」とお礼も込めて、伝えました。

「そうなんです、この前生まれたばかりで」と嬉しそうにするキャップの男性。そして、「じゃあ!」と言って、先に席に向かった仲間を追いかけるように立ち去っていったのです。





──




それはとても素敵なやりとりでした。見知らぬ人とコミュニケーションが取れたことが嬉しかったし、わざわざハズレくじを出すためにもう一度ガチャやって、ぼくらにくれるなんて。なんてこの世界は優しいのだろうと思ったのでした。

たぶん、少し前の自分だったらこんなことは起こらなかったのではないかなぁと思うのです。なにかこう、自分から発するムードというか雰囲気というか、軽くて心地よいものが漂っていたからこうなったと思うのですね。

昔の自分はもっと他人との距離をとっていました。知らない人に話しかけるなんてことはそうそうなかったし、なんとなく見た目だけで評価して「あの人はあんまり気が合わなそう」とか勝手に壁を作っていたのです。

そうやって知らず知らずのうちに、自分で勝手に壁を作って孤独になっていくとが人生にはしばしばあります。心を開いていれば、勝手に優しい出来事はやってくるのに、「そんなはずはない」と塞ぎ込んでしまうのですね。

ここ数年自分のそういうところと向き合って来て、できることならば優しい繋がりの中で生きていきたいと願ってきて、やっとここまで来れたなぁと実感できた出来事でした。


きっとまだまだ良くなるに違いない。




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