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善人はなかなかいない【スタレ】感想

  ※崩壊スターレイルの冒険クエスト>ピノコニー「黄金の刻」の感想です。ネタバレを含みます。


あらすじ

   主人公はピノコニー「黄金の刻」で、皇帝を自称する、善人「テイソク二世」と出会う。彼女はとても優雅な佇まいで、ピノコニーで起こる小さな事件や面倒事を心からの善意により解決してまわっている。
現実世界の彼女が本当に「皇帝」なのかどうかは夢境にいる誰も実際には知らないが、ピノコニーでのその善意にあふれる行動に多くの人が好感を持ち「皇帝」として彼女を扱っていた。
 ひょんなことから皇帝の善意に協力をした主人公は、彼女の悩みを聞くこととなる。その悩みとは、「1人でいるときに自分をつけ狙い暗殺を試みる者がいる」というもの。夢の中で殺されても現実で死んだことにはならないが、主人公は彼女に協力し犯人と接触することに成功する。
  ところが、犯人であるはずの彼等は善人であるはずの「皇帝テイソク二世」に対し、おまえのした行いを思い出せと怒っている様子。欠落した記憶があることに気がついた彼女は主人公とともに「現実世界」で彼女が起こした誤ちを想い出すことになる。。。

【ネタバレと感想】

 様々なプレイアブルキャラクターが大事を成すこの「崩壊スターレイル」の世界の中にも勿論たくさんのモブがいて、彼女もピノコニーで主人公が出会う1人のモブに過ぎません。
  でもいつも皆様も感じているように、モブでしかない存在にも当然人生はあって1人1人多くの理由をもって「夢の国」ピノコニーにたどり着きます。
  実際の彼女は、そう、少なくとも子どもの頃は民の為に世の中を少しでもいい方向に、と幼くも真摯に奔走する皇族の少女でした。兄であった皇帝がクーデターにより彼女の姉により殺されたことで、「テイソク二世」の人生は大きく動き始めます。

   後に彼女自身が「皇帝」となりますが、政治の世界には多くの裏切り、暗躍などがあることをあまりにも早く知ってしまった彼女。皇帝の立場を揺るがしかねない些細な疑惑に怯え、自身の地位を脅かす者たちを少しずつ「排除」するようになりました。
  記憶の中で「灰騎士」として彼女の側近を勤める主人公は、その「皇帝」が周囲に怯え次々と不安因子となる存在を排除、すなわち殺戮していく様子を目の当たりにすることとなります。
  最初の暗殺を行った「情報官」をわたしは、お役御免として排除する選択を出来ず、野放しにしてしまいました。反発し、彼女を狙う者たちの前でも彼らの命を心配し、わたしは早くここを離れるようにと見逃しました。そうする間にも、彼女の殺戮は続いています。最後に、灰騎士であるわたし自身も余りに多くの人達を「見逃し」すぎたと、処刑される運命にありました。
  結局、激しい動乱が起き彼女は国を亡命、「夢の国」ピノコニーに逃げ込み、自分の犯してきた多くの罪や恐怖と向き合うことをおそれ、ファミリーに記憶を消してもらいます。
 本来心の優しかった「テイソク二世」はピノコニー黄金の刻で、数々の善行を積みたくさんの人々から慕われるようになったのでした。
 
 記憶を取り戻した彼女は自身の「善人であるべき」という信念のもと、現実世界に戻り裁きを受けることを受け入れました。ピノコニーで彼女がしてきた善行を多くの人は忘れはしないでしょう。わたし自身も、些細なことにでも耳を傾け心からの善意で協力する彼女の姿には胸を打たれるものがありました。
一方で、彼女は現実世界での殺戮において、1つの市をまるごと燃やし尽くすほどの悪行を働いており、余りにも沢山の人を死に至らしめました。それは、ピノコニーでどれだけの善意を働いたところで消すことの出来ない事実でもあります。彼女はどこで「間違えた」のでしょうか。人間には誰もが弱さがあり、少しずつズレていく人生の歯車は彼女自身の力ではどうにもならなかったのではないかとわたしは思います。彼女は所謂「サイコパス」でも何でもなく、ただの権力をもった「普通の人間」であるが故に起こってしまった出来事とわたしには思えました。
 わたし達の「現実世界」における歴史上の残虐者ももしかしたらこのように生まれたのかもしれませんね。
 「現実」とはかくも残酷なものです。このような世界で「調和」など本当に叶えられるのでしょうか。

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