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関西コミティアに初参加してきたのですけども

もやもやぁ…とした気持ちがずっと続いてる。
ここ二か月、このイベントに全てを捧げたといっても過言ではない。バイトもしてない、やることもない。他の人以上に時間だけは大量にあったよ。

漫画をね、描いたのですよ。こつこつアナログで。コミティアに出るためにパソコンも買ったのです。思った以上に良いやつを。入稿やら文字入れやらトーンなどはデジタル機器が無いとできないのでね。

少々時間も経って鮮明さを失いつつあるこの感情。それを振り返りたいのですが今やたら多忙なので、綺麗な文章とはいかないまでも、記録として長々と垂れ流させて頂きたく。

イベント終わってからの総まとめ。要するに、コミティアというものに夢を見すぎていたということです。
商業デビューを目指す中で悩み苦しみ、編集さんの求める漫画ばかりを描こうとする楽しさ失いゾーンに突入。「本当に漫画家になりたいんですか?」と聞かれるも言葉が詰まり、はいなりたいです!!と滝汗を流しながら、捨てられるんじゃないかという恐怖ゆえに出た嘘っぱち感情。
そこから月日は流れ、しばらく漫画と距離を置き、遂に私は「自分は漫画家になりたいなんて思ったことなかったんだ」という本当の感情に出会う。というよりずっとそばに居たんだろうけどずっとちゃんと直視できなかった感情。

しかししかし、何故か私は漫画を描くのです。
コミティアの存在は前から知ってました。丁度コロナ期間に突入する直前くらいに「出てみたいなぁ」と思い始めていました。
商業に揉まれて完全に疲弊した私はコミティアへの憧れをどんどん強くしていったのです。比較の世界はもう嫌だ、下手くそでも良い、つまんなくても意味不明でも良いから漫画を自由に描きたおーん…

そして前回の関西コミティアに一般参加。親の車に乗せられ、最初は入場の仕方も分からずあたふた、リストバンドのつけ方もミスってきょどりまくり。極度の緊張でブースの前に立ち止まれず、約一時間ほど会場の中を歩き続け、会場のすみっこでティアズマガジンを開け…。(ブースの前に立ち止まった瞬間そのサークルさんとの一対一のコミュニケーションが始まるのではないかという恐怖。つまりコミュ障ってことです)
二時間くらい経ってからやっとブースの前で立ち読みできるようになったよ。

結論をいうとですね、めちゃくちゃ楽しかったんです。一般参加。
高揚したというか、目の前に作者さんがいるという状況。各々が自分が作った本を並べている。年齢層も幅広く、これは社会版文化祭だ…!!!と思ったのです。私の居場所はここだ!ここに出たい!と思ったわけです。んで早速申し込み。
緊張のせいでちゃんと読めなかったティアズマガジンを夜寝る前に何度も何度も読み返して…。時間があればあるほど妄想と期待が膨らんでゆく。

忙しさも落ち着き一休憩した後でネーム制作、原稿づくり。
正直色々制約があって、自分の描きたいものが描けなかった。本当に描きたいと思ってたものは時間内に作れなかった、ちょっと後悔。
でもまあネームを何度も練って、一コマに一日を捧げたりなんかして、出せる力は出せたつもり。自分の画力の限界に直面して、自分の実力を認める勇気を振り絞って原稿を少しずつ進めたのでした。

友達と一緒に出たのですがまあ色々ひと悶着あり、自分の熱量と相手の熱量の差に勝手に心が荒み、イライラし…。慣れないパソコン、ブルーライト、覚える情報量の多さにまた心が荒み。

私の良くないところは一つの物事に全てを捧げすぎるところっすかね。それともその物事以外の用事が無さ過ぎたのも良くなかったかね。バイトすれば良かったかー?いややっぱ嫌だな。

この日記、思った以上に長くなりそう。無駄話が多すぎるよ!
忙殺されて心がチリチリしながら入稿。ミスあるんじゃないか…と不安も募りつつ、原稿に張り付きっぱなしだった私はエネルギーを捧げる対象を突然失い、しばらく呆然としておりました。
入稿するまでの焦り期間、友達ののんきさに発狂しそうになりましたが無事原稿も届き、良かった~て感じ。友達はバイトでスケジュールギチギチだったから…。まあ出してくれてありがとうね。他にも色々たくさん手伝ってくれました。こんなにコミティアに真剣なの私だけじゃん、私バカみたいじゃん!!とやんわりヒステリックになってたけど、そんなこと無かった。この記事に友達がたどり着かないことを願いながら書いてるよ。私の中には無いアイデアも出してくれて、色々助かりました、ありがとう。

印刷会社から漫画も届いて良い感じ~♪となり、断ち切りによって「自分の絵こんな小さかったっけ…」と感じつつもちゃんと本の形になってることに感動。本を汚しちゃうんじゃないか、、と読むときは手が震えちゃったね。

さあやっと本題ですよ、コミティア当日ですよ。本題までが長すぎて私もちょっと疲れてます。
私、自惚れておりました。こういう同人イベントは売れない売れないと言われながらも、売れちゃうんじゃない…?開始早々完売しちゃうんじゃない?と思ってました。あのときの感情、今思い出すだけでも恥ずかしい。昔から漫画に関してはチヤホヤされてきたので…。ちょっとしか刷ってないけど足りるかな、もっと刷れば良かったかな、うふふ。こんな自惚れをなかなかの音量で会場でも喋ってたことが大変恥ずかしいです。

当日はめちゃくちゃ緊張してた。バイトもせずにずっと引きこもってたから人間への耐性を失ってたのかもしれない。腹も下し、昼ご飯を買ったが口に入れた瞬間すぐ戻しちゃうんじゃないかっていう気持ちだった。でもやたら自信だけはあった。
Twitterで「一冊も売れないんじゃないかと思ってたけど一冊売れました。喜びで小躍りしたいです!」みたいなツイート見つけてびっくりした。ツイートの誠実さに目が覚めました。
本一冊売れるということは、自分の漫画に興味を持ち、良いなと思ってくれた人が一人いるということなのですよ。わざわざお金出して。それってとても凄いことなんですよ。初心取り戻しました。身内でもなんでもない、通りすがりの人たち一人一人が私の漫画を読んでくれるってこと。すげえよ。

しかし開始前は、私の漫画なら20冊くらい余裕でいけるっしょ…なんて気持ちがちょっとありました。この傲慢もある意味初々しいね…。

ネットで下調べしてた「隣のサークルさんに挨拶する」っていうルール。ほんとにあるのかな…緊張で喉締まりまくりだやべえと思ってたけど、両隣さんとも先に元気な声でよろしくお願いします!と挨拶してくれた。あ…よろしくお願いします…とちょっと愛想悪く返答しちゃったわ。喉締まりすぎて声ガスガスだったのです…。

サークルスペース準備も友達と一緒にやって秒速で終わり。(作ったものが少なすぎたんや。初参加やからね)
みんなの拍手が開場の合図。下調べしまくってたので私は「あ~これが噂の…!」と思ってたけど、友達は何も知らなかったので、えっなになに?とちょっと驚いてた。

そして始まったのですが……まあ人がこない。待機列で並んでた人は分かる。目当ての作家がいたのでしょう。しかし一時間経っても売れない。しびれを切らした友達は「値下げしよう」と提案。500か400でどう?と言われて私はちょっと渋る。自分も想像以上に売れないなと思ってたんで、500にするか…と返答。そしたら友達が「私は100円でも良いと思うけど」とぬかす。
いやいや100円はバカヤローだよ!コピー本でもあるまいし。友達はとにかく同人界隈の値段の相場を知らないのだ。人のこと言えないけど!損得抜きにしてもその値段はクレイジーですよ…。

開場30分経ったあたりから私はもう焦っていた。そうか…こんなに売れないものなのか…。ネットのみんなの忠告をやっと理解。自分の頭の中、相当お花畑だったんですね…。
友達は会場見に行きたい!とのことで私は序盤お留守番。社会に出てないニートの反動がここで来ました。
人が私のブースの方をチラリとみてもどうすれば良いか分からない。ずっとティアズマガジンに没頭してるふりをしていた。ここで気軽に声かけるべきか、営業するべきか、しかし緊張で声が出ない。それにこういうイベントって前のめりすぎても良くないのでは?私はただ固まってマガジンを見つめ続けることしかできなかった。

すると目の前で立ち止まるお兄さんが。日に焼けた、アウトドア系だけど内気そうな青年。20代か30代か。
見本を手に取ってくれた。しかし私は固まったままマガジンを見つめる。
わ…という気持ちがありつつも、しかし頭真っ白。
そしてしばらくして…青年は見本を指さして、私に人差し指をスッと立ててくれたのです。これ一冊、と。そう……初めて漫画が売れたのです。
私は感情を置き去りにしたまま、あっ一冊ですね、ありがとうございます。えーと値下げしたので…はい、500円です…と、ロボットなのか?というように無感情に行動しました。
青年は恐る恐るフリペーパーを遠慮がちに手に取りました。他のサークルを回って思ったのですが、ああいうときは新刊に添えて渡すのが普通なんですね。あっフリーペーパーなんで大丈夫です、と不愛想な声かけをしてしまった。
ここまでの私のセリフは全て超絶小さボイスです。自分でも自分の声が聞き取れないくらい。漫画を手渡して、ありがとうございましたーと青年の背中を見送る。嬉しさよりも突然の出来事で、感情よりも行動だけが反応していたという感覚。少しずつ、ああ、売れたのか今。そうか…。とじわじわ実感し出した。

今思えばあの時の私はなんて態度が悪かったんだろう…と反省。微笑みもたたえずやる気の無いコンビニ店員みたいな対応をしてしまった…。あの青年、もう一度会えたら全力のありがとうを伝えたい。本当にありがとう…。この文章書きながら、今彼はどこかであの漫画を読んでくれているのかも、と思ったら心がジワッとしてきた。

記念すべき第一冊の旅立ちです。友達はそこにおらず、私一人で見送りました。
まだまだ書きたいことがあるけど今日はこの辺で。次回に続く。

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