中小企業の母集団形成とは?15の手法を一挙紹介!|採用広報TOBEマガジン #6
「人手不足で早く採用したいのに、応募者が集まらない」
「面接をしてもミスマッチが多い」
「せっかく内定を出しても、大手企業に人を取られて辞退されてしまう」
採用活動を行なう中で、こうした課題を抱えていませんか?
採用活動を成功させるためには、適切な母集団形成と採用広報と掛け合わせることが重要です。そこで今回の採用広報TOBEマガジンでは、採用活動に課題を持つ中小企業の担当者に向けて、15の母集団形成の方法と採用広報の重要性を解説します。
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母集団形成とは?中小企業の現状
母集団形成とは、「自社に興味を持ち、応募してくれる求職者を集める活動」を指します。適切に母集団形成を行えば、ただ応募者数を増やすだけでなく、自社の要件にマッチする人材を集めてミスマッチを減らす効果も期待できます。
現在、生産年齢人口の減少による人手不足やミスマッチの増加などで、多くの中小企業が人材の獲得に課題を感じています。2024年版 中小企業白書・小規模企業白書 では、従業員DIのマイナスが続き、2022年も-20〜-25となっています。従業員DIとは、従業員の水準について、「過剰」と答えた企業の割合(%)から、「不足」と答えた企業の割合(%)を引いた数字であり、マイナスの数字は人手不足を感じている企業の方が多いことを示します。また25卒の大卒求人倍率は、5000以上の大企業で0.34倍であるのに対し、300人未満の中小企業では6.50倍となっており、中小企業における人材獲得の難しさを物語っています。(リクルートワークス研究所 第41回ワークス大卒求人倍率調査(2025卒))
人員も費用も限られた中で効果的な母集団形成を行うためには、適切な手法を選び、求職者に自社の魅力を訴求する必要があります。次の章からは様々な母集団形成の方法をご紹介します。
要チェック!多様な母集団形成の方法を知ろう
母集団形成を効果的に行うことは、次の4つのメリットがあります。
狙った人材を集めることで、採用活動を計画的に進められる
採用活動のコストを抑え、効率化が進む
採用後のミスマッチを防ぎ、定着率を高められる
自社に合った優秀な人材を採用することで、生産性の向上や企業の成長に繋げられる
インターネットやSNSが発達した今は、母集団形成の方法がたくさんあります。今回は15の方法をご紹介します。採用したい人物像や採用人数に合わせて、自社にあった方法を選びましょう。
自社採用サイト
自社採用サイトは、自社のHP内や採用サイトを立ち上げ、応募者を待つ方法です。求人情報のほか、社員インタビューや人事制度、福利厚生なども掲載し、長期的な視点でコンテンツを充実させ、応募者に自社への理解を深めてもらいます。
自社HPへの導線が確立していたり、社名検索されるための一定の認知度を持つ企業に向いています。自社採用サイトを作成することには、以下のメリットがあります。
自社で運用方針を決められるため、コンテンツや求人掲載数に制限がない
アクセス履歴等のデータを蓄積し、自社でPDCAを回せる
応募者の企業理解が深まり、ミスマッチを減らせる
なお、制作時の初期コストや、導線設計・運用におけるWebの知識が必要な点は、注意が必要です。
採用オウンドメディア
採用オウンドメディアは、人材の採用を目的として情報を発信するサイトです。転職潜在層に向け、働く環境や社員インタビューなどの発信を通じて、自社で働く魅力を伝えます。
そのため、これから転職市場で自社の知名度を上げていきたい企業や、組織風土とのマッチ度を重視する企業に向いています。採用オウンドメディアを作るメリットは以下の通りです。
転職潜在層への発信を通じて認知度を高められる
自社の社風を理解してもらうことでミスマッチを防止できる
コンテンツを蓄積していくため過去の施策が資産として残る
なお、コンテンツ制作では、社員インタビューなど人事部以外の部署の協力を得る必要があります。
求人検索エンジン
求人検索エンジンとは求人情報に特化した検索エンジンで、「求人専門のGoogle」をイメージするとわかりやすいかもしれません。例えば世界最大手の求人検索エンジン「Indeed」では、キーワード(職種、フリーワード、会社名)×勤務地(県名、市区町村名)で求人を検索します。またカカクコムが運営する「求人ボックス」は検索軸の自由度が高く、人気を集めています。
クリック単価の低さや細かいエリア指定ができることから、採用予算の少ない企業や、Uターン・Iターンなどを狙う地方求人の募集に向いています。求人検索エンジンを活用するメリットは以下の通りです。
広告予算をコントロールしやすい
細かくエリアを指定できるため、地方求人に強い
雇用形態や職種に限りがない
自社採用サイトへのアクセス数を増やせる
メリットが多い手法ですが、検索エンジンのロジックを理解した情報設計が必要なため、高度なWebマーケティングの知識が求められます。
求人広告
求人広告はメジャーな母集団形成の方法の1つで、求人サイトに自社の求人情報を掲載します。リクナビNEXTやdodaのように幅広い求人を掲載する大手媒体から、年齢や職種、業界などに特化した媒体まで様々なタイプがあります。
多くの転職顕在層に発信できるため、短期集中で大量募集したい時に使いやすい手法です。求人広告を活用するメリットは以下の通りです。
登録者が多く、顕在層へアプローチがしやすい
短期間で集中的に応募者を集めやすい
サイト上で応募者の管理や応募者とのコミュニケーションが可能
しかし、結果に関わらず求人掲載費がかかる点や、媒体ごとに求人票のフォーマットが決まっているため、他社との差別化がしにくい点は、注意が必要です。
ダイレクトスカウトサービス
ダイレクトスカウトサービスは、人材データベースを元に、採用担当者が直接求職者にアプローチする手法です。売り手市場の今、従来の「応募を待つ」スタイルに代わる「攻めの採用」として注目されています。
ピンポイントで自社のニーズに合う人材にアプローチしたい時や、0から採用ノウハウを蓄積したい企業、求職者の傾向を知りたい企業に向いています。ダイレクトスカウトサービスを使うメリットは以下の通りです。
1対1のメッセージで候補者を口説ける
自社の採用ノウハウを習得できる
採用担当が候補者のプロフィールを読み込んで直接スカウトを行なうので、ミスマッチを減らしやすい
個別対応になるため担当者の作業負荷が大きく、数重視の母集団形成には向かないことや、スカウトが軌道に乗るまで、試行錯誤の時間が必要になる点は注意が必要です。
人材紹介
人材紹介は、人材紹介会社に自社のニーズに合う候補者を紹介してもらう手法です。求人広告と同様、メジャーな母集団形成の方法の1つです。
採用ターゲットが明確で、自社で探すリソースがない時に有効な手法です。人材紹介を使うメリットは以下の通りです。
成功報酬型のため、採用が決定するまで費用が発生しない
自社で見つけにくい人材を探してもらえる
ある程度スクリーニングをされるので工数を省ける
Webに掲載しにくい非公開求人も依頼できる
初期コストはかかりませんが、採用決定時に採用決定者の理論年収の30%〜40%が請求されるため、採用人数が増えるほど費用が増えていくため、注意が必要です。
SNS
ソーシャルリクルーティングとも呼ばれ、SNSの拡散力や、発信力を活かして応募を促す手法です。Linkedinなどのビジネス用SNSや、XやInstagramなどのビジネス向けに限定していないSNSがあり、いずれも無料で始められます。
SNSを活用している、流行感度の高い人材や、転職潜在層にアプローチしたい企業に向いています。
SNSを使うメリットは、以下の通りです。
リアルタイムで最新情報を伝えられる
潜在層も含め、認知度向上やブランディングに役立つ
DMを通じた個別のアプローチも可能
SNSは採用に特化した手法ではないため、顕在層に絞ったアプローチや、転職者の経歴を踏まえたアプローチには向きません。また、オウンドメディアと同じく、継続的に発信し続けることが重要になります。
デジタル広告
デジタル広告は、Web上で表示される各広告を指します。商品やサービスの広告が多いですが、自社採用サイトのリンクなどを貼ることで、応募者獲得に向けた導線を作っていくことができます。
ターゲットを絞り、転職顕在層・潜在層の両方に採用活動を認知させたい時に効果的です。デジタル広告を活用するメリットは以下の通りです。
従来の広告に比べてコストをコントロールしやすい
地域、年齢、Web上での行動などから細かなターゲティングをしやすい
短期間で効果測定ができPDCAを回しやすい
ただし、リスティング広告や、ディスプレイ広告、SNSやYouTubeの広告などそれぞれの運用で効果を出すには、専門知識が必要なため、広告運用を専門にしている代理店への委託が必要になります。
オフライン広告
オフライン広告は、広告や看板、チラシ、デジタルサイネージなど、インターネットを介さず出稿するタイプの広告です。
特定のエリアに働きかけるため、地方求人の募集や、短期間で世代問わず幅広い層に認知度を高めたい企業に向いている手法です。オフライン広告を使うメリットは以下の通りです。
ターゲットをエリアごとに分けて訴求できる
採用だけでなく自社の認知度も高められる
ビジュアルで訴求できる
オフライン広告では、エリア内の人口全体に働きかけるため、特定のターゲットへのアピール力が弱くなります。また、採用ができなくても掲載料がかかる上に、広告効果の測定が難しく、費用対効果が明確にわかりにくいというネックがあります。
リファラル採用
リファラル採用は、自社の社員の友人・知人の紹介を通じた母集団形成の方法です。似た言葉に縁故採用がありますが、縁故採用は、紹介者が経営幹部など影響力の大きな存在で、入社を前提として紹介されることが多いです。一方リファラル採用では、社員の誰もが紹介者になりうる点や、紹介された候補者が他候補者と同列で選考される点が、縁故採用とは異なります。
社員からの協力を仰ぎやすく、質の高い母集団形成をしたい企業に向いています。リファラル採用のメリットは以下の通りです。
社員が紹介するため、マッチング精度が高く、定着率が高い
潜在層にもアプローチが可能
採用コストを抑えられる
選考プロセスを最小限にし、スピード感を持った採用ができる
リファラル採用は社員の人間関係をベースにした手法なので、選考見送り時や入社後の人間関係へのケアは必要です。また、リファラル採用の仕組みやインセンティブ制度の設計・導入が必要になるため、開始までに時間を要します。
クチコミサイト
クチコミサイトには、年収や社風、働き方などに関する、自社での勤務経験者のコメントが集まっています。クチコミは社員のリアルな情報を得られるため、応募者の多くが企業選びの際に参考にしています。中途採用では、OpenWorkや転職会議、キャリコネ、enライトハウスなどが有名です。
従業員満足度が高い企業にとっては、求職者への魅力づけを行ないやすい手法です。クチコミサイトを活用するメリットは以下の通りです。
クチコミを見た上で応募をしているため、企業理解ができており、定着率が高い
クチコミ内容から、応募者が感じている懸念が推測でき払拭に努められる
クチコミサイトは退職者のコメントが多く、ネガティブな内容も一定数含まれます。そのため、面接やクチコミサイト以外の手法で、応募者への懸念を払拭していく必要があります。
転職フェア、採用イベント
転職フェアとは、大型のイベント施設に複数企業がブースを出展し、訪れた求職者に対して直接アプローチを行う採用手法です。地域や業界、ターゲットなどを限定したイベントも多く、自社のニーズに合わせて出展先を選べます。
不人気業界や、ニッチで知名度が低く広告掲載をしても応募がまったく集まらない企業ほど、転職フェアを利用するメリットがあるでしょう。広告上で一方的に判断される前に、求職者に直接アプローチをして自社の魅力をプレゼンすることが可能なためです。この手法を活用するメリットは以下の通りです。
直接会って求職者を口説ける
不人気業界でも「人」のイメージで払しょくできる
その場で面接設定をして選考プロセスを減らせる
参加費を払って出展することになるので、自社のブースが埋もれないよう、求職者には積極的に声がけすることが重要です。
副業人材の募集サイト
正社員での母集団形成が難しい場合は、副業人材の活用も検討しましょう。副業として業務を任せた後に正社員としてスカウトすれば、マッチ度の高い即戦力を採用できます。
人手不足で即戦力が欲しい時や、担当業務が決まっている企業に向いています。副業人材の募集サイトを活用するメリットは以下の通りです。
即戦力と出会える
話が決まれば、現職の退職を待たずに自社の業務を任せられる
実績を見て正社員としてスカウトできる
ただし業務委託の契約と、雇用契約はまったくの別物です。社会保険や給与形態などが変わってくるため、契約締結時は注意が必要です。また、副業人材・フリーランス人材は正社員雇用を望んでいないケースもあり、確実に正社員登用が叶うわけではない点にも注意をしましょう。
ハローワーク
ハローワークは厚生労働省が各都道府県に設置しており、求職者が多く集まる場所です。
世代やエリア問わず離職中の人にアプローチできるため、特に地方エリアで効果を発揮します。ハローワークを活用するメリットは以下の通りです。
無料で掲載が可能
離職中の人を中心に幅広い層へのアプローチがしやすい
地域密着型の採用ができる
助成金の対象になり得る
なお、ハローワークでは細かなターゲット指定ができないため、自社の採用要件に合わない応募者からのスクリーニングが必要になります。
ハローワークインターネットサービスはこちら
アルムナイ
アルムナイは「卒業生・同窓生」という意味で、何らかの事情で退職した元社員を再度採用することをアルムナイ採用と言います。
円満退職した社員を受け入れる土壌がある企業や、ピンポイントで即戦力を求める企業が活用しやすい手法です。アルムナイ採用のメリットは以下の通りです。
自社の社風を理解している即戦力を採用できる
採用コストの抑制や選考フローの簡略化ができる
入社後の教育コストが低い
アルムナイ採用では、勤続年数や実績、退職理由などの受け入れ条件を設ける必要があります。そのため、就業規則や人事制度の改訂が必要になり、導入までに時間がかかります。
母集団形成を強化するなら採用広報が重要!
以上、15の母集団形成の方法を解説しました。人材確保が困難になる今、優秀な人材を獲得するためには、質の高い母集団形成が必要です。目的やターゲットに合った方法を選びましょう。
いずれの手法でも、他社と差別化して応募者に自社の魅力を伝え、自社の理解を深めてもらうことが重要です。また、近年ではWebサービスを複数併用して母集団形成を行うケースが増えており、コンテンツ制作やWebマーケティングの知識が求められます。
母集団形成のための発信活動=採用広報は、今や採用活動における必須スキルと言えます。
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今回は、中小企業で特に課題となっている人材獲得に向け、母集団形成の重要性と15の方法について解説しました。いずれの方法でも採用広報の観点やコンテンツ作りが重要となります。
人手不足の状態では、継続的に採用広報に取り組むことが難しいと感じる方も多いでしょう。HR-TOBE Consultingでは、採用広報のサービスを定額で提供しています。ご興味のある人は、お気軽にお問い合わせください。
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