街中で食べられる野草:スベリヒユ
まさかの続きました第2回。やっぱり反応があると書いてみようという気になるものです。
スベリヒユは野草の中でも比較的食べやすく、地方によっては常食されるほど美味な野草です。基本的には畑の害草として扱われますが、それゆえに採取機会が多く、意識せずとも増えていく性質を持っているため食用とするに非常に向く野草です。
種は小さいためこぼれやすく、1株から24万個の種が生産されたこともあるということで増えやすい。またちぎれた茎からも根が生えて独立した個体になる。乾燥に強いため他の植物が枯れる環境でも生き残る、となかなか厄介な性質を持っています。
街中でもポーチュラカという名前でスベリヒユの園芸品種が栽培されており、こちらも食用可能です。あまり草の生えていない空き地や砂利の上に這うように生育していることが多く、意識して探してみればどこにでも生えている「雑草」であることでしょう。
スベリヒユは多肉植物の一種でありCAM型光合成を行います。そのためリンゴ酸由来のわずかな酸味とヌメりがあり、これがただの「雑草」とは一線を画する食味となっています。
日本では茹でて、海外では炒めるまたは生で食べられているようです。個人的にはほうれん草と同じくシュウ酸を含むため、茹でて食べるかカルシウムを含む食品と一緒に食べたいところです。
山形ではおひたしにして芥子醤油で食べられているらしいですが、個人的には茹でた後に荒く刻んでめんつゆで和えてで食べるのが癖もなく、おいしくいただけました。玉子でとじて食べたりもしましたが、美味でした。
扱いとしてはオクラやモロヘイヤのような調理方法ができると思います。もちろん生でも食べられるため、これら二つよりも幅広く料理に使うことができるでしょう。
ただしスベリヒユは生薬として用いられるような薬効を持っています。カリウムを多量に含んでいるせいか、冷え性気味の人にはよくないとされています。逆に夏場ならカリウムを含んだ食品は最適でしょう。またω-3脂肪酸を含んでいるため、健康食品として適しているというのが健康志向の人にはすぐにピンとくると思います。
6畳ほどの大きさの日当たりのいい土地があれば家族3人で常食できます。数本出た枝を一つだけ残したり、枝の途中から摘み取れば、そこからまた大きく枝を伸ばして次もまた食べられます。といってもあまり気にする必要もなく、加熱する前に不要な部分を土に捨ててしまえばそこからまた芽が出て増えます。
スベリヒユは園芸においてグランドカバーとして用いることもありますから、スベリヒユまたはポーチュラカを自宅の庭のグランドカバーとして育てておき、いざとなれば摘み取って食べる。そんな使い方もできる一石二鳥な「野草」です。この植物がスーパーで売られていないことを残念に思うほど、食べるには非常によくできた植物です。
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