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「美術について」

2014年に書いた「美術について」。
今もこの考え方は変わっていない。

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●「美術」について。

私は「美術」という言葉が「美しい絵画」「立派な彫刻」だけを指す言葉だとは思っていない。ましてや「わけのわからないもの」を指すなんて論外。私の心を動かす全ての物・事に「美術」という言葉をあてている。勝手な解釈だが。「美術」とは「美」を作り出す「術」。この「美」は「美しいモノ」をピンポイントで指す言葉ではなく、「美しいモノを見て心が動く」という感情の動きを指す言葉だと思っている。多くの人と共有できる普遍的な心の動きの1つとして「美」という文字をあてたんだと思う。だから、何かわからない物を見て「これ美術っぽいね」みたいな言葉を聞くと、なぜあなたの心を動かさない物をみて「美術」という言葉を使うのか?と思う。「美術」という言葉がいつのころからか、この社会で持ってしまったであろう燻んだ色を感じ、悲しくなる。このままでは「美術」という言葉は「わからない」の派生語になり、「美術」というジャンルに関わる人は、社会の部外者になってしまうのではないか?まず「美術」という言葉を、あなたの心を強く動かしたモノを指す言葉として使ってもらいたい。宣言したい。国立奥多摩美術館では、「美しい絵画」「立派な彫刻」は見れない。見せるのは「美術」という言葉が持っている可能性。この世界を敏感に鋭く意識化している人間からのメッセージ。「美術」という言葉に「わからない」という言葉をあてはめている人にこそ、国立奥多摩美術館で出会いたい。(佐塚)

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