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国立奥多摩美術館館長の他の美術館に行ってきた!(Vol.22)_豊田市美術館『未完の始まりー未来のヴンダーカンマー』

国立奥多摩美術館館長の
他の美術館に行ってきた!(Vol.22)



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豊田市美術館
『未完の始まりー未来のヴンダーカンマー』
会期:2024年1月20日〜5月6日
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2024年3月29日(金)晴れ。愛知県豊田市にある豊田市美術館に行ってきた。この日は天気も良く桜の花がちらほら咲きだしていた。ここには何回か足を運んだことがあるのだが、こんな美術館が近くにあったらいいな、と思わせてくれる素敵な美術館。いつも意欲的な展覧会を企画している。そんな美術館の隣に4月26日、新たに豊田市博物館がオープンするらしい。今回はそれにちなんで、美術館と博物館をテーマにした展覧会が開催されていた。入館して会場を見て回っていると、14時からボランティアガイドによるギャラリーツアーがあるという館内アナウンスがながれてきた。時間の余裕もあったので参加してみた。そこで今回の展覧会タイトルにまつわる説明をしてくれた。15~18世紀、ヨーロッパの王侯貴族や文化人の間では、自然物や人工物を隔てず、様々な珍しい物を集めた陳列室を持つ事が流行していた。その陳列室の事を、ドイツ語で「ヴンダーカンマ―」という。そのヴンダーカンマ―が前身となり、こんにちのミュージアムがある。その昔、美術館と博物館は区別されていなかった。それが現在日本では、人間が作り出した作品を扱う施設が美術館で、自然に形つくられた物や、作品としてつくられていない産業や文化を物語る物を扱う施設が博物館。というように分かれている。そもそも、日本においてミュージアムという概念自体が明治期に輸入されたもので、それを美術館・博物館という言葉で区別している。そんな話を最初にしてくれて、一緒に会場に入っていった。会場内では、ガイドさんが詳細に作品の説明をしてくれるかと思いきや、作品を前に「これはどう思いますか?」という質問を常に投げかけてくれていた。作品についてみんなで一緒に考える場をつくろうとしているように感じた。参加していたオジサンが、作品から感じた事を饒舌にしゃべっていて、それがとても面白かった。やっぱり素敵な美術館だなと思った。新たに出来る博物館も楽しみだ。(佐塚真啓)

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「西の風新聞」第1751号掲載

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