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「好きなことを突き詰めたら、趣味が仕事になった」金子拓人さん(2015年卒)

第13回目は、2015年に札幌大学文化学部文化学科(当時)を卒業された金子拓人さんを取材。認可外保育施設「ぐりゅっくの森」で施設管理者として勤務される傍ら、川遊び講師として活動される金子さんに、大学時代の思い出やお仕事についてインタビューしました。

札幌大学について


札幌大学在学中の思い出

Q:どんな学生でしたか?とくに心に残っていることなどがあれば教えてください。

▲川遊び講師の金子拓人さん

サッカー部とゼミ活動の二本立てで大学生活を駆け抜けた

サッカー部に所属し、授業以外の時間はほとんど部活動とゼミ活動に費やしていました。

サッカー部では、選手としてだけでなく主務として選手登録なども担当しました。他大学の監督や職員の方々と関わる機会が多かったので、選手としてサッカーを練習するだけではできないような経験をたくさんさせていただきました。大変でしたしプレッシャーもありましたが視野が広がりました。

▲サツダイ生だった頃の金子さん

また、ゼミナールの活動にも積極的に参加しました。所属していた増田敦教授のゼミでは、地域の方々と協働で行う活動が多かったです。児童会館や小学校などでの企画を任せていただいたことが印象に残っています。

実は増田先生とは高校3年生の時に出会いました。当時お世話になっていた平岸児童会館のイベントに増田先生やゼミ生の方々が参加されていたのです。大学生の皆さんがすごく楽しそうに活動しているのを見て、また子どもたちと関わる姿が素晴らしくて、大学では絶対このゼミに入りたいと入学前から思っていました。

増田先生とは今でも交流が続いていて、年に数回電話して近況報告の会話を楽しんでいます。

キャリアについて

Q:大学を卒業されてから現在までのご経歴や、現在のお仕事の具体的な内容を教えてください。

仕事を通して見つけた「本当に好きな仕事」

大学卒業後、公益財団法人さっぽろ青少年女性活動協会に入職し、5年間勤務しました。同協会は、青少年山の家や定山渓自然の村などの野外施設や、札幌市や千歳市の児童会館などの児童施設の施設管理および運営などを行う団体です。ある時、キャンプ事業などを担当する野外活動課に異動になり、子どもたち(主に小学生)を対象としたさまざまなキャンプ活動に参加するうちに、「自分はこれが一番好きな仕事だな」と気づいたのです。自分一人でやるアウトドアではなく子どもたちと経験を共有することに魅力を感じました。

▲金子さんが講師を務める川遊びイベントの様子

私は20年以上「ガサガサ」という川遊びの魅力に取りつかれているのですが(「ガサガサ」については後述)、当時の上司にもうるさいくらい「僕はこれが好きなんです」と話していました。すると「もしかしたらその遊びは子どもたちもやりたいものなんじゃないか?」と言われました。そこで川遊びイベントを企画したところ、定員を大幅に上回る人数の方々が申し込んでくださいました。これは、子どもたちが求めていることなんだと感じました。

それからは協会内でも川のイベントを企画するようになり、私が担当者のようになって(笑)。最初は「今まで自分がただ楽しく遊んでいたことがまさか仕事につながるなんて」と驚きが大きかったですが、次第に「子どもたちに川でもっといろいろなことを伝えたい」という思いが膨らみ、最終的に退職して自分の事業に専念するという選択肢につながりました。

独立後は副業しながら3年で今のワークスタイルに

「川遊び講師」という活動で独立しましたが、やはり最初はそれだけでは生計を立てることは難しく、配達の副業もしていました。配達の仕事が休みの日に川の講師をして、という生活を3年間続けていました。

そろそろ転職した方が良いかと悩んでいる時期に、今勤務している認可外保育施設「ぐりゅっくの森」で川遊びの講師として呼ばれるようになり、その後「常勤で来てもらえないか」と有難いお話をいただきました。現在は「ぐりゅっくの森」で施設管理者として勤務しながら、土日や祝日、長期休み中などで個人事業として川遊び講師の活動を行うというスタイルで働いています。

▲「ぐりゅっくの森」では豊かな自然の中での遊びを大切にしているそうです

「ぐりゅっくの森」では、就学前の子どもたち(3~5歳)の日中活動を主に担当します。川遊びに限らず、さまざまな活動を子どもたちと一緒に行います。施設管理者なので施設内の物品管理や修繕などの仕事もします。

川遊び講師ってどんな仕事?

川の講師はとくに何か資格が必要なわけではありません。私がそう名乗っているだけです。自分と同じ職業の人とは出会ったことがありませんが。

私は野外活動に関する二つの資格を持っています。一つ目は日本キャンプ協会が認定する「キャンプインストラクター」という資格。この資格があると、キャンパー個人やグループに対して、キャンプのプログラムなどの指導を行う役割を担うことができます。もう一つは「Project WILD(プロジェクト・ワイルド)」という環境教育プログラムにおける「Project Learning Tree(プロジェクト・ラーニング・ツリー)」という資格も持ちます。Project WILDは、アメリカで1980年より開発が続けられ、現在では最も広く活用されている教育プログラムです。1999年に一般財団法人公園財団が日本に導入し、国内でも広く活用されるようにました。「自然や環境のために行動できる人」ことをテーマにしており、学校や野外活動において、生きものを通じて環境学習を進めます。どちらも川遊びに直結する資格ではありませんが、子どもと関わりながら野外活動を行うという点で大変役に立っています。

▲たも網を持ってガサガサ遊びに出かけよう!

川遊び講師としては、児童・幼児施設からオファーを受けて親子活動を担当することが多いです。川遊びと言っても色んな遊び方がありますが、私の専門は「ガサガサ」という遊び。「タモ網を使って川で魚を捕まえる遊び」と言ってしまえばとてもシンプルですが、生き物と触れ合いながらじっくり自然観察できるとても魅力的な遊びです。

「ガサガサ」というネーミングは私によるものではありません。あまり知られていませんが、川遊びに関する書籍などで使われている言葉です。魚の住んでいるような場所をガサガサするから「ガサガサ」という名前が付けられたのではないでしょうか。

▲こんなに大きな魚に出会えることも

「ガサガサ」の魅力は、まず誰でも気軽にチャレンジできる遊びであること。川にタモ網を持っていきさえすれば、簡単に遊べます。また、同じ川で同じ遊びをしても、一度たりとも同じ生き物に出会うことはありません。いつ行っても新しい発見があり、四季折々でさまざまな生き物と出会えるので、飽きることがありません。生き物を傷つけずに捕まえてじっくり観察できるという点もポイントです。小さい子どもが自分よりもさらに小さい命を目の当たりにして、それに直接触れることは、子どもたちにとっても貴重な経験になるのではないかと思っています。

札幌大学の後輩に向けたメッセージ

Q:札幌大学の後輩や同窓生に向けてメッセージをお願いします。

大学生の皆さんは、やはり就職活動について色々心配されるのではないでしょうか。しかし、大学生活が充実していれば悩むことはありません。とにかく今注力できることに全力で取り組んでください。

就職活動でもとくに悩むのが面接対策ですが、実は私はとくに何も準備しませんでした(が、問題なく就職できました!)どんな質問が来てもゼミの活動の中から返すことができたからです。川遊び(ガサガサ)にしても、好きなことを突き詰めた結果、今こうして仕事になりました。皆さんもぜひ好きなことに思う存分取り組んでみてください。その経験がきっと将来に結びつくはずです。

TOPICS

金子さんが主催する川遊びの活動予定や内容についてもっと知りたい方は、金子さんのインスタグラムをぜひご覧ください!

「わたしと藻嶺」について

「わたしと藻嶺」は、卒業生の皆さんが大学時代の思い出を共有し、それぞれの卒業後の活躍を応援する場です。さまざまな分野で活躍するサツダイOB・OGの皆さん、ぜひ取材させていただけないでしょうか?取材にご協力いただける方、また卒業生をご紹介していただける方は、札幌大学企画部入試・広報課までご連絡ください。本メディアに関するご質問やご意見、ご要望などもお寄せください。

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