【うろうろてくてく、サツダイしぜん散歩#5 芽吹きの季節】
みなさん、こんにちは!
春の到来が早かった今シーズンですが、その後もぽかぽかというわけにいかないのが札幌の春ですね。日差しが明るく一見暖かそうに見えても、まだまだ風が冷たく感じる日も。その傍らで、草木は着実に芽吹き、ふと気が付けば、いつもの見慣れた景色もずいぶんと青々としてきました。
キャンパス内の桜
前号#4でエゾヤマザクラのつぼみをご紹介しました。
その後、キャンパス内の桜は、エゾヤマザクラ、ソメイヨシノの順に満開を迎え、最後に八重桜が咲きました。
これらのうち、エゾヤマザクラは北海道の山野にも自生していますが、ソメイヨシノや八重桜は栽培品種です。
この八重桜のような栽培品種を総称して「サトザクラ」と呼びますが、品種の数は200種類以上とも300種以上とも言われていて、中には室町時代からあったといわれる古い品種もあるそうです。
同じ桜でも、花びらの色や枚数、花の付き方、開花時に葉があるかどうかなど、ずいぶんと印象が違いますよね。
日本ではソメイヨシノが広く植えられていて、桜と言えばソメイヨシノという方も多いかと思います。でも、北海道の街路樹や公園ではエゾヤマザクラが多数あります。本州育ちの方と北海道育ちの方とで桜の話をしたときに、実は思い浮かべている桜の姿がかなり違うということもありそうですね。
ハウチワカエデの花
この季節、多くの方々が桜の動向を気にしている中、目立たないながらも花を咲かせている樹木がたくさんあります。
こちらはハウチワカエデというカエデ・モミジの仲間です。
開きかけの葉っぱの傘の下に隠れて、でもしっかりとたくさんの花をつけています。
カエデ・モミジと言えば、やはり美しい紅葉がよく取り上げられますよね。手のひらのような葉っぱの形や、翼を付けたタネ(#3でイタヤカエデの翼果を紹介しました)も興味をそそります。でも花はあまり注目されていない気がするのは私だけでしょうか。
ちなみにこの木には、アブラムシがずいぶんついていました。そしてアリとテントウムシも。もしかしたら、子どもの頃に本で見た「アリはアブラムシのおしりから出る甘い露をもらう」、「テントウムシはアブラムシを食べる」といった様子を観察できるかもしれないと、しばし見上げて観察してみましたが…。
首が痛くなってしまったので今回は諦めました。
謎のもじゃもじゃ
大学の森も、様々な植物が姿を現し始めています。林床の花でいえば、エンレイソウ、ニリンソウ、スミレ類、クルマバソウなどが次々と開花し、にぎやかです。
そんな中、ちょっと目を引く存在が…、
見慣れている方ならなんとも思わないかもしれませんが、先日、とある場所で同様のものを見つけた小学生が、「なんだ!この謎のもじゃもじゃは-!」と騒いでおりました。確かに、動物並みにふさふさした毛で覆われていて、かなり奇妙です。
さて、こちらが12日後の様子です。
分かりますでしょうか? 正体はシダです。
私たちが日常的に目にしている植物はその多くが「種子植物」ですが、シダの仲間は種子をつくらないなど生活環が種子植物とは異なるため、「シダ植物」という別の種類に分類されています。シダ植物にもいろいろな姿形のものがありますが、規則的かつ複数回に切れ込んだシダの葉はとても美しいです。身近なところでは山菜のワラビやゼンマイ、そしてツクシ(=スギナ)もシダの仲間です。
ちなみに、もじゃもじゃの横に、にょきっと生えている変わった模様の細長いものも気になりませんか?こちらも特徴的な形の植物なので、またの機会にご紹介したいと思います。
終わりに
サツダイの緑豊かなキャンパス内にはさまざまな植物があり、季節ごとの野鳥も見られます。こんなキャンパスに毎日通えるのはとっても恵まれていますよね!
これからは屋外でも気持ちよく過ごせる季節になりますので、学生のみなさんもキャンパス散歩をぜひ楽しんでみてください。じっくり観察しなくても、草木の緑でリフレッシュできますよ。
※「大学の森」は自然林です。散策の際には次の点に注意しましょう。
マダニ、ハチ、ウルシ等の動植物に注意してください。マダニに咬まれないよう、長袖・長ズボン、足を完全に覆う靴、帽子、手袋を着用するなど、肌の露出を少なくしましょう。
頭上からの落枝に気を付けてください。風の強い日は特に注意しましょう。
安全と植生保護のため、散策路以外の場所にむやみに立ち入らないようにしましょう。
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