おもしろすぎる『SHIORI EXPERIENCE ジミなわたしとヘンなおじさん』について話しました① ~ジミヘンは主人公でラスボス?~

※『SHIORI EXPERIENCE ジミなわたしとヘンなおじさん』最新刊までの若干のネタバレを含みますのでご注意ください

●主人公のなかに「ふたりいる」

ねこ:しおり先生は主人公なんだけど、やっぱりジミヘンは主人公でラスボスだよね。

いぬ:ね。

ねこ:もう圧倒的実力を持ってるっていうのもあるし、そもそもカリスマ的な栄光があるっていうのもあるし。

いぬ:ジミヘンだからね。

ねこ:そりゃそうだけどなんていうか、ちょっとそっからずれるんだけど、シオエクはなんかこう、オチの後にまた大オチを持ってくるのがうまい。

いぬ:あー。確かに。うん。

ねこ:Jack-inのくだりしかり、Jack-inができましたーっていうのも。要はその現実からの、なんていうか半分ファンタジーではないんだけど、空想に片足突っ込んだような、でも納得できるハッピーエンドみたいなのを持ってくるのがうまいなと思ってて。

いぬ:うん。

ねこ:そう考えると最新刊までの流れっていうのは、シオリ先生の状態って、なんていうか他のキャラクターで言うナルトみたいな感じ。

いぬ:あー。ナルト読んだことないんだよなー。

※ここから若干ナルトのネタバレがありますのでご注意ください

ねこ:要はナルトってその主人公であるナルトのなかに、尾獣っていうめちゃくちゃ強い、過去にものすごい大暴れしたやつを封じられてる少年っていう設定なんだよね。

いぬ:なるほどね。

ねこ:その力に翻弄されつつも火影っていう国王みたいなのを目指していく、みたいな話なんだけども。要は一つの体に主人公たちと、わりかしラスボスというか主人公側が制御できない力が入っていて、主人公やその仲間と通じてその力を制御していく。うまく付き合い方を学んでいくみたいな過程が作中にある話なんですけども。

いぬ:なるほど、わかるよ。

ねこ:ちょっとネタバレ気味になってしまうんだけど、少年漫画というか、ナルトはどちらかというと最初から敵対していた感じだったので、最終的に和解をしてナルトは九尾の力を自由に使えるようになるし、九尾もナルトに協力するようになっていくわけなんだよね。

いぬ:なるほどね。和解の方面にいくのねー。

ねこ:そうだね。ただそういう意味で言うとシオエクは多分そうはならなくて、やっぱりジミヘンはジミヘンで確固たる意志を持ってるわけだし。

いぬ:そうだよね。まあ人だしなあ。

※ナルトのネタバレはここまでです

●説得力のありすぎるハッピーエンド

ねこ:シオリ先生もジミヘンを超えるべき目標というかさ、わりかし超えるべき壁みたいな感じでいま捉えてる節もあるじゃないですか。

いぬ:確かに。

ねこ;つまるところ、これからの展開で例えばシオリ先生が、昨日言った囚われのお姫様状態になっていて(※この話をする前日に、いぬが「もしかしたらシオリ先生は囚われのお姫様状態なんじゃない?」と話しました)、すばる先生率いるシオエクをメンバーが殴り込んでいって、例えば27クラブからシオリ先生を助け出したとするよね。

いぬ:うん。

ねこ:そうすると、結局のところジミヘンの願いは叶わないわけで。

いぬ;まあ、そうなんだよねえ。

ねこ:ただ、それって要はさっき言ったJack-inができた状態と同じような状態ってことなんだよな。

いぬ:そうそう、だからそこまでなんだよね。

ねこ:変な話、メタ的な話をしてしまうと多分そこからすべての例えば27クラブもそうだしジミヘンもそうだし、なんか変な変人の会長も、すべてが納得できる半分無理くりみたいなハッピーエンドがくるんじゃないのかな。

いぬ:確かにね。

ねこ:シオエクはなんか半分無理くりのハッピーエンドがものすごい説得性を持ってるというか。たとえばサックスの子なんかは、(すばる先生が)本来シオリ先生たちがやらないことレベルのスパルタとかで無理くり引き上げて、だからこそ、あそこまで到達できた。

いぬ:確かにそういう意味では、シオリ先生を助け出すみたいになってるけど、たぶん(物語の展開の目的は)そこじゃないんだよね。その過程も楽しみなんだけど。

ねこ:ジミヘン側もどう変わるかっていうか、変わるのかがすごい気になる。なまじ現実のキャラクター、唯一無二のキャラクターを書いてしまっている以上、変なことはできないと言えばできない。

いぬ:まあまあ、まあまあまあ。

ねこ:ジミヘン出した、みたいなのは失っちゃいけないわけじゃないですか。主人公たちが目指す最終目標であるジミヘン。最終目的は伝説になることなんだけども、その一歩手前がほぼ同義的に、そのジミヘンを超えるっていうことじゃないですか。

いぬ:うん。まあねえ。

ねこ:ジミヘンを超えられちゃったときにどうなるか、みたいなのも見物ではあるよね。

いぬ:そうね。超えちゃっていいのか、みたいな話もあると思うんだけどね。

②につづきます!

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