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一文無しになっても引っ越ししたかった

お久しぶりです。さとうです。
6月の8日に全速力で引っ越しました。東京の三鷹に実家があり、2か月ほど居候していました。お金のことやもろもろを考えたら実家にいるほうが最適解なんですが、家を出て文京区で一人暮らしを始めました。2か月分の給料が吹き飛んでいったのでほぼ一文無しです。まだカーテンの無い家でPCをたたいている。

初期装備という趣


ということで引っ越しに至る経緯と、新居のコンセプトについて書いていこうと思う。
まず引っ越しをしたかった要因を3つ挙げたい。

1.通勤電車


7時前に起きる。7時半に家を出て、吉祥寺駅に向かって、7時56分発東西線妙典行きに乗り込む。最寄り駅で降りて、歩いて会社について、9時前に業務用PCを開いて勤怠を打ち込む。この1日の始まり方を2か月間ずっとするのは厳しいものがあった。

基本的に僕は公共交通機関が好きではない。歩く、走る、自転車が好きだ。化石燃料に依存した他力本願の移動を毎日やり続けることで気持ちが少しづつ萎びていくような気がした。人身事故が起きたりしたら車内の空気は最悪になる。この日々を続けていたら、自分が線路に飛び込む側になる可能性を否定しきれないなと思った。
京都から東京に来て可処分時間が減り、常に「次」に追われている感覚がある。次の電車に間に合うように、次の朝に起きれるように、次の月曜に響かないように、みたいな。でも本当に重要なことはいつも「今」起きているはずで、そこへの意識が散漫になると人生の密度が薄れてしまう。
ということで通勤電車に別れを告げ、引っ越して片道5㎞の自転車通勤が始まった。最高の気分だ。

2.料理ができない

ありがたいことに実家ではすべての食事を母上が作ってくれた。母の料理はシンプルで美味しい。自分の味覚の大部分が母親の料理によって作られてきたことを再確認出来て有意義だった。

とはいえ、自分で料理がしたい。誰にも気を遣わずに、自分だけのキッチンが欲しい。その気持ちは増すばかりだった。
2か月間、実家で料理をしなかった。大学に入って一人暮らしを始めてから、こんなに料理しなかった期間は無いので(というかずっと料理が仕事だったので)、本当に戸惑った。料理ができないとこんなに自分のバランスが取れないんだと思った。
料理を作って食べることを通して、自分の心身の状態と向き合ったり、成長を実感したり、自分の未熟さに歯噛みしたりする。その時間がないと自分の連続性を保てないような気がした。


3.イキれない


母の洗濯した服を着て、母の作ったご飯を食べて、父の稼いだ金で借りた家から出発して、会社でイキれなくないですか??イキるというか、自分が胸張って一人前としてかっこつけられなくないですか??
自分の中にこうありたい自分像がいつもあって、イキって、かっこつけて、それをなんとか実現しようとしている。しかし、実家の両親は僕が赤子の頃から知っているので、どうにも格好がつかない。

僕が弱くても甘えてもいいと両親が思っているのは大変ありがたいことなんだが、そのまま一緒に過ごしてしまうと未熟だった高校生の頃に逆行してしまう恐れがあった。

上記の理由などを含めて、早く引っ越さないとやばい!と思い立ち、不動産屋を巡り、魂で内覧をしまくった。

とにかくキッチンが広く、Vamoを入れたかったのでガスコンロ2口非ビルトインで、あんまり小奇麗すぎない物件を探した。
変な家もたくさん見た。墓と寺にはさまれている木造アパートで、開けた瞬間大きいクモが出てきた。同行した不動産屋さんは「僕クモむりなんですう」と言って外で待機していたため、僕だけが中を見て回った。


キッチンは広かったが、家全体が傾いていたので却下となった。
1階が串焼き屋のビルの5階も見に行った。エレベーターが無いため日々筋力が試される家だった。8畳のキッチン、10畳のベランダ、4畳半の生活空間という無茶苦茶な家で、かなり心惹かれるものがあった。

こわい

しかしあまりにも階段が陰気なオーラを放っていて、疲れて帰ってきてこれを登ると思うと気が滅入るので、ここにも住まないことにした。正しい判断だったと思う。

1日中内覧をし、15㎞歩いてへろへろになり、「自分に合う物件なんて無いのかもしれない、いい家に住みたいという欲望を捨て、置かれた場所で咲いていくのが大切なのだろうか」などと悟り一歩手前の境地まで追い込まれた。
その日のうちに家を決めたくて、日も暮れた中で最後に見た物件がドンピシャで良かった。広く拡張性の高いキッチン、程よいボロさ、街の雰囲気、全てが好みだった。

そして引っ越しの日を迎え、父に軽トラを借りて運転してもらい、全てを運んだ。ガスの立ち合いに失敗したので、1週間ガスなし水風呂生活だったが、そんなことは些事と思えるぐらい毎日が楽しい。

軽トラの荷台で冷蔵庫を押さえている様子

新居は「泊まれる飲食店」をコンセプトに作っていきたいと思う。
キッチン、ダイニング、和室が分かれた家のため、キッチンを厨房、ダイニングを客席、和室をバックヤードとして設計していきたい。
ステンレス作業台を2基設置し、給料をつぎ込み、キッチンを計画的に拡張し、炭火焼き、ラオス料理、和食、野生動物食などに対応できる強い家にしていくつもりです。

お店はお客さんが来ないと成り立ちません。ということで東京で料理ガンガンやっていくのでたくさん食べに来てください!ではまた。


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