道端で輝くもの

 キラリ。横断歩道の向こうで何かが光る。
 キラキラ、ピカピカ。
 日の光を受けて輝いている。
 ここ、ここ、ここだよ、ここにいるよ。
 私を呼んでいる。

 信号が青になり、横断歩道を渡るとそこできらめくのは個別包装チョコレートの袋。金色に輝いて、拾われるのを待っている。私はさっと手をのばして指先でつかみ、そっとポケットにしまう。
 歩いているときにゴミを拾うようになって、4年ほどになる。いつもきちんと拾うわけではなく、余裕のあるときに拾えるものだけだけど。道端には驚くほどゴミが落ちていて、ぜんぶ拾おうと思ったらなかなか前に進まないから。
 私が優先して拾うのはプラスチックゴミ。それらはキラリと光って主張してくる。例えばパンやおにぎり、お菓子の袋。飲み物のプラカップやペットボトル。コンビニの近くには食べ物の袋が多い。お腹が減ってコンビニでおにぎり或いはパンを買い、歩きながら食べ、お腹が満たされたらそこらへんに放る。想像しては、なんて身勝手なことを、と憤る。
 こういった道に落ちているゴミがやがて川に飛ばされ、海に流れつくのだろう。そして魚やカメやくじらや鳥が誤飲するのだとしたら。やっぱり見過ごすわけには行かない。身勝手な誰かのゴミを、別の誰かが処理しなくては。
 持って帰ったゴミは外の水道で洗う。大抵は土やほこりがついているので、外側も内側もざっときれいにする。真っ黒に固まったタピオカなんかも掻き出して洗う。中に入り込んでいるアリはできるだけ、拾うときに振り落としてくる。
 1番いいのは、ポイ捨てする人がいなくなること。一人ひとりがモラルを持って行動し、自分のゴミはきちんとゴミ箱に捨てる。でも、どうしたってそれをしない人が一定数存在するのだろう。そういう人たちはきっと、これからも存在し続ける。
 解決策として、コンビニから数十メートルのところにゴミ箱を設置するのはどうだろうか。彼らはやっぱりそこにも捨てないのだろうか。
 カフェのテイクアウトの容器を変えるのはどうだろう。タンブラー持参でなければテイクアウトできない、とか。
 行政が動いたっていい。ポイ捨てを禁止して、厳しく取り締まるとか。いっそ、ロボット警察の導入はどうだろう。
 そんな夢を見ていても、何も変わらない。だから私は今日もゴミを拾う。できる範囲で。イベントではなく、日常的に少しずつ拾う。
 ほんの少し、いい未来が来ると信じている。

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