あいつは絶対的に若い

2月21日(水)

母(88歳)の病院に付き添う。


平日午前中の整形外科クリニックには高齢者しかいない。それも女性がほとんど。平均寿命の男女差を如実に感じさせる空間である。

この空間において私は最年少。圧倒的若さ。待合室の椅子に座ることもためらわれるほど若い。

そこへ突然現れたのがエグザイルのATSUSHI(と同じ髪形と口ひげの他人)。
ATSUSHIがクリニックに入ってきたとたん井戸端会議に花を咲かせていた常連患者たちが口を閉じた。彼女たちは異質に敏感だ。異物と言ってもいい。彼の服装は現場仕事用の作業着っぽいもの。腕にケガをしたのかギプスを付けている。

ATSUSHIの登場により彼が圧倒的最年少、圧倒的異物となり、私はあっという間に高齢者女子と同じカテゴリーに放り込まれた。

年齢とは相対的なものである。
娘といれば私は年長者となるし、夫といれば同級生となり母といればいつまでも小さな末っ子なのである。
絶対的な年齢を持つのは赤ちゃんだけだ。生まれたばかりの赤ちゃんは絶対的に若い。生まれたての赤ちゃんには後輩はいないのだ。そりゃ天上天下唯我独尊だわな。私は裏も表もない融通の利かない絶対的なものに心惹かれるので赤ちゃんが大好きである。

諸説あるだろうが、縄文時代の人々の寿命は平均して31歳ほどと言われている。

31歳・・・

3 1 歳 ❢ ❢

びっくりした。
現代人はすっかり長生きになったものだからいつまでたっても生きている。
色んな仮面を付け替えながら。

帰り道にある家系ラーメンの店にはクリニックとは逆にATSUSHIみたいな輩がたくさんいたのであった。年齢も異物感も相対的である。

おわりです。


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