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つまり、佐藤の本棚。

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今まで読んできた本にまつわる「記憶」の記録です。
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#本

古本をめぐる冒険「春と修羅 宮沢賢治」

わたくしが「古本の装丁」に興味を持つきっかけになったのが「春と修羅」でした。しかし当然のことながら、初版本はとても手がとどく金額ではありませんでしたので、復刻版を探すことにしました。何軒か古書店を巡ったり、ネットで検索したりして、ようやくこの一冊に出会えた時は「お宝を発見!」したような気分になったことを覚えています。 布の表紙にアザミが描かれています。賢治は「青黒いザラザラの布」を探していたらしいのですが、実際に見つけてもらったのは「まったく違った色の布」だったそう。すると

【文学テスト】第一回「夏目漱石」作品名(β版)

noteに、Googleフォームが設置できるようになったので、試みに漱石の作品名テストを作ってみました。全15問。よろしければお試し下さい。 Googleフォームでテストを作ったのは初めてなので、不具合やリクエスト等あればお寄せください。 「送信」クリック後、白い画面が表示される場合は、上にスクロールすると答え合わせのページに進めます。 参考

【92冊目】 井伏鱒二は悪人なるの説(佐藤春夫)

こんにちは、コピーライターの佐藤(さったか)です。100冊を目指して更新を続けてきたこのブログも、今回で92冊目、のこり8冊です。ここまでくると、逆に「まだゴールしたくない」ような気がしてくるのは、なぜなのでしょう? 人間の心理は不可思議なものです。 さて、今回紹介するのは「井伏鱒二は悪人なるの説(佐藤春夫)」です。今まで自分が信じていたことが、実は「出鱈目かもしれない」と知った時、あなたならどう考えますか?  井伏鱒二は悪人なるの説(佐藤春夫) 高校生の頃「太宰治は遺

本をつくる: 職人が手でつくる谷川俊太郎詩集

「紙の本」に対する、あこがれ。私は、子供の頃から「本」に対する憧れが強かった。図書館にあった豪華な装丁の本は「お宝」のように見えた。大人になったら、天井まで届くような高く広い本棚を壁一面に設置して、好きな本をずらりと並べよう。その前に寝転がって、よし今日はあの棚の本を一気に読んでみるか、などと考えて過ごそう。そんなことを夢想する「よくわからない」子供だった。 ここ数年、少しずつ古書を買うようになったのも、子供のころの読書体験からきているものだと思う。買ってきた本を机の上に置

「古書を買う」と、いうこと。 夏目漱石「漾虚集(大倉書店)」

ここに一冊の古書がある。 夏目漱石「漾虚集(大倉書店)」である。以前、地方の古書店で見つけ手に入れたものだ。 一見して「だいぶ古そうな本ですね」と、いう佇まいをしている。奥付けを見てみよう。発行は大正六年。そう、今から100年以上前の本になる。ご高齢である。ちょっと力を入れて開くと、バラバラになってしまいそうな気配がある。 この古書を開くと、中に新聞の切り抜きが折りたたんで挟まれていた。すでに端の方から劣化が進み、指で触れるとボロボロに欠けてしまう。慎重に開いて眺めてみる

古本を巡る冒険 塚原健二郎「七階の子供たち」

本棚の中から、装丁が魅力的な書籍を紹介。今回は塚原健二郎「七回の子供たち(復刻版)」です。装幀は深澤省三氏。 「昭和っぽいテイストで」というイメージにぴったりの装幀です。ちなみに、木に登ろうとしている少年は東京の子。それを下で支えている二人は、地元の田舎の子という設定です。服装の違いも面白いですね。 あとがきの中で、作者の塚原健二郎氏は、 私には童話の本が出るたびに、此世の中に寶が一つづづふえて行くやうな、子供つぽい氣持が多分にある。装幀とか、挿繪とか、新しい本特有の手

古本を巡る冒険 夏目漱石「切抜帖より」

本棚の中から、装丁が魅力的な書籍を紹介。今回は夏目漱石「切抜帖より(復刻版)」です。ご覧の通り、とてもシンプルな装丁です。上品な佇まいで、それだけでも魅力を感じますが、今回特筆したいのはこのサイズ。 大きさを表すために、近くにあったマッキー(極細)を置いてみました。おおむねイメージしていただけたでしょうか? 片手で持ちやすそうなコンパクトなサイズをしていますね。角の丸みも絶妙です。 実際に持ってみました。やはり片手で開く時にちょうどよいサイズです。表紙も厚みがあるので

古本をめぐる冒険 佐藤春夫「殉情詩集」

古本屋で「佐藤春夫 殉情詩集」の復刻版を見つけた。レトロかわいいデザインです。アンカットも油紙も、きれいに保存されていました。

古本をめぐる冒険 宮沢賢治「グスコーブドリの伝記」

本棚の中から、装丁が魅力的な書籍を紹介。今回は「宮沢賢治 グスコードブリの伝記」の復刻版です。装丁と挿絵を手がけたのは、画家の横井弘三氏。 あとがきに、横井弘三氏の文章が収録されている。その中には、横井氏が汽車で上野から12時間かけて花巻まで取材に行ったこと。現地では盛んに取材をし、語り合い、スケッチをしたこと。帰ってから昼も夜も描き続けたことが記されている。そして、 「わけても、「グスコー・ブドリ」と「北守将軍」と「雁の童子」の原色畫には、力のあらん限りを尽くしまし