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つまり、佐藤の本棚。

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今まで読んできた本にまつわる「記憶」の記録です。
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2017年6月の記事一覧

読書の記憶 五十七冊目「魔術 芥川龍之介」

自分は「マニュアル世代」と呼ばれる世代になるらしい。どちらかというと、この「マニュアル世代」という言葉は「マニュアルがなければ何もできない」と、批判的なニュアンスで使われていたような印象がある。「マニュアルのお陰で効率良く作業は進められるが、逆にマニュアルに書かれていないことには対応できない。つまり自分の頭で考えて行動することができない」といった類の批判だったように記憶している。 そういえば、小論文の練習課題として「マニュアル世代の問題点」のようなテーマで、書かされた記憶が

読書の記憶 五十六冊目 「模試の小説」は、わりと好きだった。

受験生の思い出と言えば「模試」である。毎月一回(または二回)定期的に行われる「それ」を受験しては、その結果に一喜一憂する。いや、実際のところ、ほとんど対策らしい対策もせずに模試を受験していたのだから、結果はでないのは当然で「一憂」する資格などないはずである。 それなのに結果を見ながら「今回は調子が悪かった!」などと考えていたのだから、実にどうしようもない受験生だったと思う。勉強の成果を確認するのではなく、勉強をしていないことを確認するために模試を受けていたようなものだ。なん