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株式投資という「プラスサムのゲーム」に参加する
こんにちは、上原です。
当noteは「バリュー投資 実践講座」の第1回です。
記念すべき第1回である当noteでは、株式投資の初心者やまだ投資手法が確立していない方向けに、株式投資の本質的な部分についてお話します。
これからお話しするのは「株式投資はプラスサムのゲーム。リスクを恐れて株式投資をしない人はもったいない」という内容です。
株式投資はプラスサムのゲーム
日本人は株式投資に対して「怖い」「リスクが大きい」「損を出したくない」といったネガティブな印象を持っている人が多いですが、まず大前提として知ってもらいたいのは「株式投資はプラスサムのゲームである」ということです。
「プラスサムのゲーム」とは、市場参加者全員の損益を合計するとプラスになる、つまり平均的な投資家であっても利益を出すことができるという意味です。
「プラスサムのゲーム」の反対語が「ゼロサム」や「マイナスサム」という言葉です。これは市場参加者の損益を合計するとゼロもしくはマイナスになるゲームを指します。
例えば1,000円を賭けて友達同士でジャンケンをするゲームはゼロサムゲームです。買ったほうは、1,000円もらえますが負けたほうは1,000円を払います。2人の損益を合計したらゼロ円なので、全体として何も価値を生み出していません。
他にもFX取引はゼロサムもしくはマイナスサムゲームの良い例です。FXは参加者同士で通貨を交換しているだけで、市場全体の規模が拡大しているわけではありません。全員の損益を合計するとプラスマイナスゼロとなります。証券会社が手数料を受け取っている分、マイナスサムのゲームであるとも言えます。
しかし、株式投資の場合はFX取引とは状況が異なります。
FX取引は大きさの変わらないパイを市場参加者で奪い合っている状況です。一方で株式投資では、市場参加者でパイを奪い合う状況には変わりありませんが、パイの大きさそのものが大きくなっているんです。
世界の株式市場全体が拡大しているので、株式投資はプラスサムのゲームになります。市場平均並みのリターンしか出せない投資家であっても、市場全体が拡大しているので利益を得ることができる、それが株式投資はプラスサムのゲームであるという意味です。
なぜ株式投資はプラスサムのゲームになるのか?
では、なぜ株式投資はプラスサムのゲームになるのでしょうか?
その理由はとてもシンプルで、世界経済が成長を続けるからです。経済成長に伴って世界の株式市場も拡大するので、株式投資はプラスサムのゲームとなるんです。
順を追って説明していきます。
まず、株価は企業の利益と連動して動きます。企業の利益が拡大すれば株価も上昇しますし、利益が減れば株価も下落します。つまり企業の利益と企業の時価総額は連動して動きます。
企業利益と経済の間にも相関関係があります。国の経済規模を表す指標としてよくGDPが使われますが、GDPとはその国で生み出された付加価値の総額であり、企業の利益(厳密に言うと売上総利益)の合計でもあるからです。
そして、国の経済規模は「人口」と「1人当たりの生産性(1人当たりGDP)」で決まります。残念ながら日本の人口は減少の傾向にありますが、世界全体で見ると人口はものすごい勢いで伸びています。
1人当たりの生産性も工場の自動化などテクノロジーの進化によって年々向上しています。
世界の人口増加はこれからもまだまだ続きますし、テクノロジーの進化がある限りは生産性も改善し続けます。そもそも、新興国の経済レベルが先進国に追いつくだけでも大きな経済拡大のポテンシャルがあります。
つまり、世界経済の拡大はこれからも続く見込みであり、それと連動して企業の利益も拡大します。そうなると利益と連動して世界の時価総額も拡大することになります。
株式市場全体が拡大するので、株式を保有しているだけで利益が出る、つまり「株式投資はプラスサムのゲーム」となるんです。
世界の株式市場のパフォーマンス
実際に過去の株式投資のパフォーマンスを見てみましょう。
下のグラフは世界の株式市場時価総額とGDPの推移を表しています。世界経済の拡大とともに株式市場も拡大してきたのがよく分かります。
1980年から2018年までに世界の株式市場は年率9%で拡大してきました。
上のグラフは世界の株式市場ですがが、日本とアメリカの株式市場の長期推移も見てみましょう。
実は、日本の株式市場も超長期では右肩上がり
アメリカ株がずっと右肩上がりで上がってきているのはよく知られた事実ですが、1950年からの超長期で見れば日本株ですら年率8%のリターンとなります。
日本の株式市場はバブル期が異常だったので右肩下がりのイメージが強いですが、超長期で見れば右肩上がりですし、今年の株価はリーマンショック前の水準を超えています。
日本企業の利益は成長している
日本経済を①人口と②生産性(1人当たりGDP)で分けて考えると、人口はこれから緩やかに減少が見込まれます。一方で1人当たりGDPは10年以上も下落が続いていましたが、2012年以降は毎年2%弱で拡大しています。
また、海外売上高の拡大と企業の収益性向上により、純利益も波はあるものの右肩上がりで拡大しています。
改めて、株式投資はプラスサムのゲームである
どこの国の株式に投資すべきなのかという議論はいったん置いておいて、ここで言いたいのは人口減少が見込まれる日本ですら企業の利益成長と共に株式市場は拡大しているという事実です。
確かに株式投資にはリスクはありますが、大きさの変わらないパイの奪い合いであるFX取引やギャンブルに対して、株式投資は分け合うパイそのものが大きくなっている期待値プラスのプラスサムのゲームになるんです。
「株式投資はプラスサムのゲームである。」
第1回目の当noteでは、これだけしっかりと覚えてもらえたら嬉しいです。
本日のまとめ
・世界経済が成長している限り、株式市場も拡大し続ける
・人口の増加と生産性の改善がある限り、世界経済は成長を続ける
・株式市場が拡大を続けるなら、平均的な成績でも株式投資のリターンはプラスになる
・結論:「株式投資はプラスサムのゲームである」
株式投資のリスク(損失)を最小化するには?
世界全体で見ると株式市場はプラスサムのゲームですが、実際には損をしてしまっている株式投資家も数多くいると思います。
市場に参入したタイミングが悪いと損をすることもあります。また、市場が拡大している局面であっても下手にトレードをして損してしまうこともあります。
そこで次回のnoteでは、株式投資のリスク(損失)をコントロールする方法について解説します。
株式市場は毎日の値動きが激しいので、「投資はリスクが高くて怖い」というイメージがどうしてもつきまといます。次回のnoteでは、そういった不安を少しでも取り除けるように、損失を最小化できる投資法についてご紹介します。
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