ピッコロトランペットの基礎練習?

(旧サイトの「オンラインレッスン」のコラム記事のアーカイブです。2017-11-28の記事です。)

◼️ピッコロトランペットの基礎練習に対する2つの立場

ピッコロトランペットの基礎練習は、B管やC管のような通常の管種のもののように多くは一般にあまり知られていません。そこには、ピッコロの基礎練習に対して2つの立場がある事が関係していると私は思います。

一つの立場は、「ピッコロトランペットは<練習>するものではなく<演奏>するものだ。」という言い方に象徴されるように、B管など通常の管での基礎が良いものであれば、ピッコロで特別に基礎練習する必要はなく、ピッコロでは曲を演奏するだけだ、という考え方です。

もう一方の立場は、ピッコロは他の管とは違う長さの楽器である以上(約半分の長さ)、基礎練習はした方が良い、という考え方です。

とは言え、後者の立場でさえも、実際には、ピッコロトランペットだから特別な練習というのはほとんど存在しないと言って良いかと思います。楽器に慣れるための、シンプルな練習内容がある程度です。

これは、ピッコロトランペットの特性を理解すれば納得のいくことかもしれません。

◼️ピッコロトランペットの特性と練習

ピッコロトランペットは、吹いたことのある方ならおそらく多くの方は同意されると思いますが、(B管などではとりあえず許容され得る)力ずくの吹き方ではほとんど吹けません。尚且つ、唇に対するダメージは大きなものです。B管などでは無理矢理な吹き方でもとりあえずある程度は吹き続ける事ができ(てしまい)ますが、ピッコロではそれができません。音自体が比較的すぐに鳴らなくなっていってしまいます。つまり、ピッコロトランペットは吹き方の効率性が顕著に影響する、裏を返せば、変な吹き方での唇への負担はとても大きい、と言えます。

このような特性から、ピッコロトランペットをたくさん練習して吹き方を見つける、というのはあまり現実的ではありません。それよりは、負担やリスクの少ないB管などで良い基礎を身につけてから、ピッコロに適用する、という方が賢明だと言えます。

このような事由から、ピッコロトランペットの教則本というのはあまり多くは存在しないのでしょう。

もちろん、逆に、効率性が顕著に求められるピッコロトランペットを練習する事によって力ずくではない吹き方を見つけていく、という事がB管などでの演奏に好影響となる事もあります。

◼️ピッコロトランペットの教則本

ピッコロトランペットの教則本は、それほど多くはないものの、いくつかは存在します。ここには4つほど簡単にご紹介したいと思います。

■クリス・ゲッカー『ピッコロトランペットのための15の練習 ~レパートリー、スタイル、道具についてのテキスト付き』(チャールズ・コリン出版)
Chris Gekker “Fifteen Studies for Piccolo Trumpet – plus text on repertoire, style and equipment” (Charles Colin Music)

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言わずと知れたアメリカの名手クリス・ゲッカ―によるピッコロトランペットのための教本です。
内容はとてもシンプルで、音階や3度進行など、ごくごく基本的なパターンが15パターン掲載されています。全てのパターンで、ピッコロの下の音域から上の実音Fまでがカバーされるように、調を変えて10~15の練習フレーズがありまます。

拙い実演で恐縮ながら、この教本からいくつか抜粋です。


日本では、パイパーズのサイトよりネット購入できます。

■ジェラルド・ウェブスター『ピッコロトランペット教本』(Bim出版)
Gerald Webster “Method for Piccolo Trumpet” (Editions Bim)

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ピッコロトランペットの教本としてはおそらく最も有名なものではないでしょうか。ピッコロの楽器のことから練習について、移調や装飾音について、などの説明文が豊富に書かれています。楽譜としては、ウォームアップ、トリル、エチュード、デュエットなど。

■デイヴィッド・ヒックマン『ピッコロ・トランペット ~デュエット、エチュード、オーケストラスタディ』(トロンバ出版)
David Hickman “The Piccolo Trumpet – Duets Etudes Orchestral Excerpts” (Tromba)

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簡単な予備的練習が1ページあり、あとは、デュエットとエチュードで構成されています。

■デイヴィッド・ヒックマン『ピッコロ・トランペット ビッグ・ブック』(トロンバ出版)
David Hickman “The Piccolo Trumpet Big Book” (Tromba)

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ピッコロトランペットの歴史、楽器のタイプやブランド、マウスピース、ミュート、移調、チューニング、装飾、ソロレパートリー(楽譜付き)、そしてトップ奏者へのインタビューで構成されています。

インタビューは、Allan Dean, Donald Green, Konradin Groth, Hakan Hardenberger, Adlph Herseth, Raymond Mase, Fred Mills, Bo Nilsson, Anthony Plog, Otto Sauter, Charles Schlueter, Philip Smith, Edward H.Tar, Allen Vizzuttiが、いくつかの質問に答える形式で、彼らのアイディアを紹介しています。
使用楽器、マウスピース(ピッコロ時、B・C管時)、ピッコロ練習メニュー、ピッコロがある時のウォームアップ、ピッコロでの小さいマウスピースで問題が起きた時の対処、ピッコロではアンブシュアや息や音のコンセプトは変えるかどうか、聴くべき奏者、アドヴァイス、が質問項目です。

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