今回はビジョナリー・カンパニーの書評を書いています。
会社でミッション・ビジョン・バリューを設定する際に非常に有用だと思ってまとめてみることにしました。
本書の内容まとめ
・ビジョナリー・カンパニーの定義
→成功企業の中でも特に優れた企業の事を指している。
ビジョナリー・カンパニーの特徴
■時を告げず、時計をつくる
→組織として成長し続ける「仕組み」をつくる
■ORの抑圧ではなくANDの才能を重視する
→相反しやすい2つの要素(理念と利益等)をどちらも追い求めて両立させる
■基本理念を維持し、進歩を促す
→理念は維持しつつも、やり方や方法論は常に改善していく
→重要なのは理念を体現し続けること。中身よりも大切。
■組織が一貫性を持っている
■カルト的な文化を持つ
基本理念
・基本理念=基本的価値観 + 目的
・基本理念の維持
→カルト的なカルチャー
ディズニー:スタッフのことを「キャスト」を呼び、徹底した社員教育で有名
ウォルマート:みんなで体操をやる
社員の同質性を追求することで基本理念を浸透させる。
そのうえで、
-深く共感する人だけをメンバーにする
-その中で実践度が高いメンバーを経営幹部にする
・進歩を促す
-大胆な目標を設定する(BHAG)
→5年から10年のスパンで大きな目標
-大量に試して成功した取組のみを残す
→綿密な計画より偶然や試行錯誤。
-徹底した改善に絶え間なく取り組む
本の内容で気になったこと
・素晴らしいアイデアは不要。
→初期のアイデアはだいたい変わる。
→ソニーもアイデアもなく起業して、設立当初はいろいろ試した。炊飯器とかテープレコーダーとか。全部失敗した。
→アメリカのウォルマートは創業して「20年後」にディスカウントショップのアイデアができて1号店を出した。
・天才的な経営者よりも組織のほうが重要
→長期的にマイナスにすらなりうる。偉大な指導者よりも長く続く組織がとにかく大事。
・ウサギとカメでいうとカメが勝つ。
→ビジョナリー・カンパニーはだいたい他の企業が先行して最初は負けている。あとから巻き返して勝つことがほとんど。
・会社自体が作品で、プロダクトは手段。
→プロダクトや事業が変わっても、根本の思い=会社自体は絶対にあきらめない。粘り強くやり続けると成功につながる。
・Orの抑圧に負けずANDで考える。
→一見矛盾したような問題を両立させていく思考が大事。
→ここはめちゃくちゃハッとした。目的ややりたいことと利益のバランスは、Canvasでも「ロマンとそろばん」という言葉で説明しているけど、いかに会社としてバランスを取っていくかが経営なんだなと理解した。
・「利益の最大化」は企業の目的ではない。
→お金儲けを超えた基本的な価値観や目的が重要。
→それでもビジョナリー・カンパニーは利益優先の企業よりも利益を上げている。
・細かい事業の部分に入り込むのではなく、とにかく仕組みを作る。
・顧客第一、従業員と経営陣が第二、株主が第三。
→ジョンソン&ジョンソンの社訓に明確に書かれている言葉で、個人的にインパクトがあった。ステークホルダー同士で利害が対立したときにこういった明確な方針を打ち出してるのはわかりやすくていい。
しかも株主の優先順位を下げているのはなかなか勇気がいることだと感じる。
・正しい理念や価値観はない。
→理念の内容よりもそれを貫いているかのほうがよほど重要。
→たばこメーカーのフィリップモリスの例が出ていたが、確かに社会的なミッションが立てやすい業種(医療等)とそうでない業種(タバコ等)があると思っていて、それでも大事なのは社内のメンバーがミッションに共感、熱狂して前に進んでいくことだと感じた。
常に正解できるわけではない
→フォードは不祥事を起こしたし、GEは数字と理想の間で揺れ動いている。
・基本理念はだいたい5以下。短い文章。
・『人にしてもらいたいと思うことを、人にもしなさい』。
→めちゃくちゃいい言葉だなと思った。社員にも顧客にも株主にも様々なステークホルダーに対して言えるなと。
カルト的な要素が大事。
理念への熱狂、教化への努力、同質性の追求、エリート主義
・一貫性を持つことが大事。
理念だけではダメで、制度や文化、戦略などがすべて一致していることが重要。
その他気になった点