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Behind the Scene

令和元年の年賀状をつくろうと思い立って頭に浮かんだテーマは皇居と東京オリンピック。天皇交代の意味で皇居はふさわしいと思ったが、大きく変化することのないその佇まいの「いま」を見せるには周辺の景色を写し込むしかなく、皇居周辺でなかなかふさわしいシーンを見つけ出せず断念。まったくベタだが東京オリンピック2020のメインスタジアム、建設中の新国立競技場を撮ることにした。

高いビルから俯瞰出来るポイントはほとんどなかったので基本に戻って路上から。朝日が競技場の側面を照らすことを期待して通うこと数日、4月9日ようやく快晴の朝を迎える。日の出前にカメラをセットして待っていると向かって左の側面を朝日が照らし始めた。カメラはクラシックな4x5だがデジタルバック仕様に改造してあるのでフィルムの残り枚数を心配せず刻々と変わるシーンに躊躇なくシャッターを切っていく。スタジアムの左半分を覆う木立にサイドライトが当たればパーフェクト!・・しかしこのあと無情にも太陽は道の向かいに建設中のビルの影の中へ入ってしまう。右端の木立の向こうのビルの窓に朝日が反射して輝いた瞬間がこの朝のハイライトだった。このシーンのあと待つこと2時間、建設工事の関係者が続々と競技場に向かって「出勤」していくシーンも悪くはなかったのだが・・
〜令月にして気淑く風和らぎ〜のイメージは静かなこのカットだと思った。
一日が始まる前の静かなひととき。
新しい時代が始まる前の静かなひととき。

奉賀令和元年。

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