唾液腺腫瘤の鑑別

耳下腺腫瘍

多形腺腫:
70%を占める。被膜を認め分葉状の腫瘍。
中年女性に多い。
上皮成分の増殖と粘液腫様基質増生、さらに、軟骨様組織の形成など多様な像を呈するため、混合腫瘍ともいわれる。
良性腫瘍だが、耳下腺腫瘍核出術ではかなりの頻度で再発するので注意が必要。
15%で悪性への移行がみられる。
T2で低信号の被膜を持つ分葉状の所見は他の耳下腺腫瘤では見られず鑑別に有用。



Warthin腫瘍:
15%を占める。中高年男性、耳下腺尾部(後下極)。
薄い線維性被膜を有する楕円形の腫瘤。
両側性、多発性が10%に見られる。
99mTcシンチグラムで集積。
リンパ濾胞を有するリンパ組織を間質として、その中に2層性の上皮性細胞からなる小嚢胞の増殖を示す。
ときに、この嚢胞が発達して肉眼的嚢胞を形成する。
造影効果は乏しい。
リンパ間質部分はT2低信号、嚢胞部分はT2高信号を呈する。


残り15%がその他の腫瘍。



多形腺腫、Warthin腫瘍はT2高信号を呈する場合が多いが、多形腺腫の10-20%、Warthin腫瘍の30-40%は等~低信号を呈し、T2の信号値のみでは鑑別が難しい。
T2低信号の場合は悪性腫瘍が多いとされるが、腺様嚢胞癌はT2高信号を呈しやすいので注意する。

ダイナミック造影では、多形腺腫は漸増パターン、急増急減型は悪性腫瘍とする報告が多い。また、Warthin腫瘍は80-90%で増強効果が乏しいとされる。

参考文献
頭頸部のCT・MRI 第3版. pp731-762
メディカル・サイエンス・インターナショナル. 2019.


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