見出し画像

再び、ICT支援員への道へ?

Facebookで、教育とICTとの関わりをテーマとするグループにいくつか参加してみた。

去年の後半を学校のICT支援員として過ごしてきたが、持ち前の知識でどうにか乗り切ってきただけで、「教育とICT」というテーマに関しては知らないことがたくさんある。グループ内の投稿やそこで紹介される記事を読むことで、いろいろと勉強になりそうだ。

そうと決めた訳ではないのだが、おそらく今後は教育の世界でICT支援員として働くことになるかと思う。

思えば、学校のICT支援員という仕事は、もともと私が望んでいた働き方に近しいものかもしれない。
その働き方とは、「専門性を武器に、職場の中で他の人とはちょっと違ったポジションで働く」というものだ。

これまでの“別動隊”としての生き方

20代後半の5年間を、私は大学病院の医療事務員として過ごした。
最初の2年間は、主に初めて病院を受診する患者の受け付けを担当する部署にいたが、後半の3年間は健康保険の適用を受けない患者(仕事中のケガで来院し労災保険の適用を受ける患者や、生活保護法・精神保健福祉法・結核予防法などの法律が適用される患者)に対応する部署に所属した。
前者は20名近くの職員(大半が女性)が所属する大所帯で、私は数あるコマの一つに過ぎない存在だったが、後者は3名ほどの小所帯で、一人ひとりが専門分野を持ち(「労災担当」「生活保護担当」など)他の医療事務員から込み入った質問を受けることも少なくなかった。
そんなポジションや仕事内容に満足していたにもかかわらず私は退職したが、それは仕事そのものが嫌だったからではなく、組織への不満や「どんなに好きな仕事でも、いつかは異動で離れなければならないかもしれない」という考えがあってのことだった。

それから約20年。五十代を目前にして、私は社会福祉法人に相談員として再就職した。
それは、「昔病院で生活保護患者を担当していた経験を多少なりとも活かして再就職できれば」という苦肉の策が実を結んでのことだったが、そもそも福祉業界で働こうと思ったのは「病院で医療ソーシャルワーカーとして働きたい」という気持ちがあったからだった。
病院には、診療費の支払いが困難な患者の相談に乗り、さまざまな制度の適用を模索することで患者の負担の軽減を図る医療ソーシャルワーカーという人々がいる。この仕事に就くには、社会福祉士という国家資格の取得が必要となるケースが一般的だ。「病院ではないけど、福祉業界で相談員として働きながら資格取得を目指せば、いつかは病院で働けるだろう」と考えたのだ。
結局は、「医療ソーシャルワーカーの給与水準が低いこと」「病院によっては、無資格でも務まる医療事務員と同レベルの扱いしか受けないらしいこと」「社会福祉士の資格取得までに相当な時間と労力を要すること」を理由に、その道を断念することになった。

さらに1年後。遂に五十代に突入し新型コロナウイルスの流行もあって再就職が困難を極める中、予期せぬ形で学校のICT支援員として働くことになった。
かつて一生徒として出入りしていた学校の職員室が、今度は自分の職場になったのだ。
職員室にいる人の大多数は、教員免許を持った先生。私は“別動隊”として、先生方とは違った形で学校運営にあたる。
授業時間が終わり各教室から戻ってきた先生方から相談を受けることも多かったが、そこは持ち前の知識や新たに仕入れた情報で対応していった。

テレビドラマで活躍する“別動隊”

思えば、テレビドラマでもこういう“別動隊”のポジションが登場する作品が存在する。
例を挙げると、『振り返れば奴がいる』(フジテレビ)の医療ソーシャルワーカー・稲村(佐藤B作)。
『名探偵保健室のオバさん』(テレビ朝日)の養護教諭・遠山櫻子(松雪泰子)。
広義では、『相棒』(テレビ朝日)の杉下右京(水谷豊)をはじめとする特命係の刑事達もこのカテゴリに入るだろう。

これらの登場人物には「組織の中で勢力としては小さいが、その存在価値は認められている」「常識の範囲内で自由に動きながら、独自の視点を発揮して活躍する」という共通要素がある。

どうやら、集団行動を好まず組織を動かすことにも関心がない私には、そういうポジションが合っているのだ。
社会人として働きながら生きていくうえで、ずっと追い求めてきた形かも知れない。
医療ソーシャルワーカーがダメでもICT支援員であれば、自分の思いは満たされるように思う。

本当にICT支援員で良いのか?

なお、別の可能性として、ヘルプデスク(職場に常駐して、パソコンやネットワーク関連のトラブルに現場で対応するポジション)として働く道もある。
ただ、教育業界に特化した形で同じようなことをするほうが、生き残る道があるのかな、と思う。
働き口は少なくなってしまうが、世の中に五万といる一般的なヘルプデスク職よりも専門性が高く、教育分野でのICTの導入が未だ不十分なことを考えると将来性も上のような気がする(給与水準はあまり高いとはいえないようだが……)。

私はかねてから、「五十代は、他人に何かを教える・他人をサポートするという生き方をしていこう」と決心していた。ICT支援員という仕事は、それとの親和性も高いと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?